45歳の女性。右乳癌の診断で、右乳房切除および腋窩リンパ節郭清術を受けた。術後1年経過。右上肢にリンパ浮腫(病期分類Ⅰ期)を生じた。患側の生活指導で最も正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
リンパ浮腫の治療と管理では、患肢の挙上、弾性着衣による圧迫、適切な運動、リンパドレナージ、スキンケアなどが複合的に行われます。このうち、患肢の挙上は重力を用いてリンパ液の還流を促す基本的な方法であり、特に臥位や座位での休憩時に推奨されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。リンパ浮腫の管理において、患肢を心臓よりも高く挙上することは、重力によってリンパ液の還流を促進し、浮腫の軽減に有効な方法です。
- 2. リンパ浮腫のある上肢に過度な負荷をかけると、組織への負担が増大し、リンパ液の貯留を悪化させる可能性があります。正しくは:上肢への過度な負荷は避け、軽い運動やストレッチに留めます。選びやすい理由:適度な運動は推奨されるため、負荷をかけるという表現に運動の必要性を連想してしまいがちですが、過度な負荷は避けるべきです。混同注意:患肢の運動はリンパ還流を促しますが、運動の『負荷』は慎重に調整する必要がある点。
- 3. リンパドレナージは、皮膚表面に沿ってリンパ管の流れを促進する優しい手技であり、強いマッサージは毛細リンパ管を損傷したり、炎症を悪化させたりする危険があるため不適切です。正しくは:マッサージはリンパ液の流れを促すように優しく行います(医療リンパドレナージなど)。選びやすい理由:マッサージ自体はリンパ浮腫の治療法として知られているため、マッサージと聞くと正しいように感じるかもしれません。混同注意:一般的なリラクゼーションマッサージと、リンパ浮腫治療における医療リンパドレナージの専門的な手技や力加減の違い。
- 4. 術後の肩関節の可動域訓練は、拘縮を予防し、機能維持のために非常に重要です。リンパ浮腫がある場合でも、痛みのない範囲で適切な運動を行うことはリンパ還流の促進にもつながります。正しくは:肩関節の可動域訓練は積極的に、痛みのない範囲で行います。選びやすい理由:患部を安静にすべきという考えから、運動を避けるべきだと誤解する可能性があります。混同注意:炎症や急性期の症状がある場合の安静と、慢性期の機能維持のための運動(特に肩関節の可動域訓練)の区別。
- 5. リンパ浮腫治療に用いられる弾性スリーブの圧迫圧は、通常20〜30mmHg程度が適切とされます。50mmHgは非常に強く、循環障害や皮膚トラブルを引き起こすリスクがあるため不適切です。正しくは:適切な圧(例:20~30mmHg)の上肢スリーブを装着します。選びやすい理由:弾性スリーブの装着自体はリンパ浮腫治療の重要な要素であるため、正しい選択肢のように感じやすいです。混同注意:弾性スリーブの装着の必要性と、適切な圧迫圧の具体的な数値(目安)。
国試ポイント
乳がん術後リンパ浮腫患者への生活指導や基本的な治療原則について問う問題です。特に、患肢の取り扱い(挙上、運動)、弾性着衣の適切な使用、マッサージの注意点などが頻出論点となります。
混同注意
リンパ浮腫治療における運動の『量と質(負荷)』、弾性着衣の『必要性と適切な圧迫圧』、マッサージの『種類と手技』、患肢の『安静と活動』のバランスが混同されやすい点です。
次に同じ論点が出たら
次に類似の論点が出題された場合、リンパ浮腫の病期に応じた治療内容の違い、弾性着衣の具体的な圧迫圧の範囲、各治療法(ドレナージ、圧迫療法、運動療法)の禁忌事項や注意点、特に理学療法士・作業療法士の役割に焦点を当てた出題が考えられます。
関連知識
リンパ浮腫の病期分類(Ⅰ〜Ⅲ期)、複合的理学療法(Complex Decongestive Therapy: CDT)の構成要素(スキンケア、医療リンパドレナージ、圧迫療法、運動療法)、乳がん術後の合併症(リンパ浮腫、肩関節拘縮、知覚障害など)とその予防・管理。