PTSDに対する作業療法で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
心的外傷体験後の心理反応は多岐にわたり、しばしば患者自身が「おかしいのではないか」「自分だけなのではないか」と孤独感や自己批判に陥りがちです。このような状況で、PTSDの一般的な症状や、それが誰にでも起こりうる正常な反応であることを説明する(サイコエデュケーション)ことは、患者が自身の状態を理解し、不安を軽減し、自己受容を促す上で非常に重要です。これは、その後の治療への導入としても機能します。
選択肢ごとの解説
- 1. PTSD治療において認知行動療法(特にトラウマ焦点型認知行動療法)は、最も有効性が高いとされる治療法の一つであり、第一選択肢として推奨されます。正しくは:認知行動療法は有効な治療法の一つである。選びやすい理由:心理療法全般がすぐに効果が出にくいという印象から、一部の治療法が無効だと誤解する可能性がある。混同注意:特定の重症ケースや急性期には適用が難しい場合があることと、治療法自体の有効性を混同する。
- 2. 心的外傷直後の詳細な体験の聞き取りは、かえって再トラウマ化を招いたり、症状を悪化させたりするリスクがあるため、避けるべきです。初期段階では、安全の確保、安心感の提供、安定化が優先されます。正しくは:外傷体験の直後は、安全の確保と心理的安定化を最優先し、無理に詳細を聞き出さない。選びやすい理由:傾聴が重要という一般的な認識から、早期に情報を把握することが良いと誤解する。混同注意:後々の治療段階で行われるトラウマ曝露療法と、急性期の対応を混同する。
- 3. 適切に構造化された集団療法は、PTSD患者が自身の体験を共有し、孤立感を解消し、他者からの共感を得る上で有効な場合があります。ただし、強制的な語り合いや、参加者の準備が整っていない状態でのグループセッションは避けるべきです。一概に「控えるべき」とするのは不適切です。正しくは:適切に構造化され、専門家によって導かれる集団療法は有効な場合がある。選びやすい理由:外傷体験の語り合いは個人差が大きく、集団では困難が生じやすいという側面から、避けるべきと判断してしまう。混同注意:急性期の集団デブリーフィングの危険性と、慢性期の支援的な集団療法の効果を混同する。
- 4. 正解。心的外傷後の一般的な心理反応(例えば、フラッシュバック、過覚醒、回避行動など)について説明し、それが異常なことではないと理解させることは、患者の混乱を軽減し、自己批判を減らし、回復プロセスを促進するために非常に重要です。これはサイコエデュケーションの主要な要素です。
- 5. 心理的応急処置(PFA)は、心的外傷体験直後や急性期の心理的動揺が著しい時期に、苦痛を軽減し、安全と安心を提供することを目的として実施されます。動揺が収まってから行うものではなく、むしろ動揺している状態で行うべきものです。正しくは:心理的動揺があるときに、早期に心理的応急処置を実施する。選びやすい理由:落ち着いてからでないと介入が難しいという一般論や、本格的な心理療法を混同する。混同注意:心理的応急処置(PFA)の実施タイミングと、より本格的な心理療法の導入タイミングを混同する。
国試ポイント
PTSDに対する作業療法の初期介入や治療原則に関する基本的な知識、特にサイコエデュケーション、心理的応急処置(PFA)、認知行動療法、曝露療法などの適用タイミングや有効性について問われています。
混同注意
心理的応急処置(PFA)と本格的な心理療法(認知行動療法、曝露療法など)の実施タイミング、および急性期の支援と慢性期の治療の区別が混同されやすい点です。また、傾聴と無理な聞き取り、集団での共有の危険性と集団療法の効果の違いも誤解されがちです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、PTSDの介入段階(急性期、亜急性期、慢性期)に応じた適切な支援内容や、各治療法の具体的な内容(例:認知行動療法の構成要素、曝露療法の目的)について深く理解しているかを確認しましょう。特に『初期に何をするべきか』『何をしてはいけないか』という点を重視する傾向があります。
関連知識
PTSDの治療ガイドラインでは、トラウマ焦点型認知行動療法や眼球運動脱感作再処理法(EMDR)が推奨されています。作業療法では、これらと並行して、生活リズムの再構築、安全な環境設定、ストレス管理、自己肯定感の向上、活動参加への段階的アプローチなどが含まれます。心理的応急処置(PFA)は、大規模災害などで活用される早期支援で、詳細な外傷体験の聞き取りはせず、安全の確保、安心感の提供、社会資源への接続などが中心となります。