うつ病の急性期における治療で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
うつ病の急性期では、患者さんやご家族が病気について正しく理解し、治療に協力できるように心理教育を行うことが非常に重要です。これにより、病識の向上、不安の軽減、治療継続へのモチベーション維持が図られ、安全で効果的な治療の基盤が作られます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。うつ病の急性期では、患者やその家族が病気について正しく理解し、治療に主体的に関われるよう支援することが極めて重要です。心理教育によって、病状、治療の目的、予後、再発予防などに関する情報を提供することで、患者の不安を軽減し、治療へのコンプライアンスを高め、安心して治療に専念できる環境を整えることができます。これは急性期の治療基盤を築く上で不可欠な介入です。
- 2. うつ病の急性期は、自殺リスクが最も高まる時期の一つです。自殺念慮がある場合は、それを積極的に話題にし、患者の気持ちを傾聴するとともに、安全確保のための具体的な計画を立てることが最優先されます。自殺念慮を話題にしないことは、患者を孤立させ、支援の機会を失うことになり、非常に危険です。正しくは:自殺を考える気持ちがある場合は、積極的にその話題に触れ、患者の心情を傾聴し、安全を確保する。選びやすい理由:自殺念慮を刺激してしまわないか、話すことでかえって自殺を誘発するのではないかという誤解から、話題にしない方が良いと考えてしまうかもしれません。混同注意:患者を過度に問い詰めることと、自殺念慮があるかどうかを確認し、話しやすい環境を作ることを混同しやすいです。オープンに話す機会を設けることが重要です。
- 3. うつ病の急性期は、心身のエネルギーが著しく低下しており、強い疲労感や活動意欲の減退が見られます。この時期に積極的にレクリエーション参加を促すと、患者に過度の負担をかけ、症状を悪化させる危険性があります。急性期には、十分な休息と安静が最も重要であり、患者のペースに合わせた穏やかな活動のみが許容されます。正しくは:十分な休息と安静を確保し、心身への負担を避ける。選びやすい理由:リハビリテーションにおいて活動の促進は重要であるという一般的な認識から、早期介入が良いと誤解し、選択してしまうかもしれません。混同注意:うつ病の回復期や維持期においては、活動性の向上や社会参加を促すためにレクリエーションが有効ですが、急性期とは治療目標が異なります。
- 4. うつ病の急性期は、思考力や判断力が低下しており、冷静で合理的な判断が困難な状態にあります。このような時期に、退職や結婚、転居などの人生における重要な決断を促すことは、後で後悔するような選択を招く可能性が高く、患者にさらなる精神的ストレスを与えることになります。重要な決断は、症状が安定し、思考力が回復するまで延期することが原則です。正しくは:重要な決断は、症状が安定し、判断力が回復するまで延期するよう助言する。選びやすい理由:患者が抱える問題を早期に解決することが病状の改善につながる、あるいは問題を先延ばしにすることが良くないという考えから選んでしまうかもしれません。混同注意:患者の生活課題への対処はリハビリテーションの重要な側面ですが、その時期と方法を誤ると逆効果になることを混同しやすいです。
- 5. 抗うつ薬は、症状が改善した後も、再発予防のために一定期間(通常は数ヶ月から半年以上)継続して服用することが非常に重要です。自己判断で急に服用を中止すると、離脱症状が生じたり、うつ病が再発するリスクが著しく高まります。薬の中止や減量は、必ず医師の指示に基づいて、慎重に段階的に行うべきです。正しくは:症状が改善した後も、医師の指示に従い、一定期間は抗うつ薬の服用を継続するよう指導する。選びやすい理由:薬は症状があるときに飲むもので、症状がなくなれば不要という一般的な認識から、症状改善後の即時中止が適切だと考えてしまうかもしれません。混同注意:急性期の症状緩和と、その後の維持療法における再発予防の概念を混同しやすいです。
国試ポイント
うつ病の各病期(急性期、回復期、維持期)における治療原則や支援内容の違いを理解しているかが問われています。特に急性期は、安静と安全確保、症状緩和が最優先される時期であり、身体的・精神的な負担を避け、適切な情報提供と心理的な支持が求められます。
混同注意
この問題の選択肢は、うつ病の回復期や維持期における適切な介入、または他の精神疾患に対する介入と混同しやすい内容が含まれています。例えば、回復期や維持期では活動の促進や社会参加支援が重要になります。また、抗うつ薬の継続治療の重要性についても、症状の一時的な改善と病状の安定を混同しがちです。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、まず「うつ病のどの病期に関する問題か」を正確に読み取ることが重要です。その上で、その病期に特有の治療原則(急性期なら安静、休息、情報提供、安全確保など)が守られている選択肢を選ぶようにします。活動促進や重要な決断の促し、薬の中止など、患者に負担をかける可能性のある選択肢は急性期には不適切と判断します。
関連知識
うつ病の病期分類(急性期、回復期、維持期)とそれぞれの治療目標・介入方法。精神科リハビリテーションの段階的アプローチ。精神科薬物療法(抗うつ薬)の基本的な知識(効果発現までの期間、副作用、継続期間、離脱症状、再発予防)。自殺リスクのアセスメントと対応。