注意欠如多動症〈注意欠如・多動性障害〉患者に対する支援で、正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
ADHDを持つ人々は、不注意、多動性、衝動性といった中核症状に加え、二次的な精神疾患(うつ病、不安障害、物質乱用など)を合併するリスクが高いです。ADHDの症状による学業や社会生活での困難、対人関係の問題などが自己肯定感の低下や慢性的なストレスを引き起こし、うつ病の発症につながりやすいため、支援においてはうつ病の併存に注意し、早期発見と適切な介入を行うことが極めて重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。ADHDを持つ人々は、不注意、多動性、衝動性といった中核症状に加え、自己肯定感の低下や社会生活での困難から、うつ病や不安障害などの二次的な精神疾患を合併しやすいことが知られています。そのため、支援においてはうつ病の併存に注意し、早期発見と適切な介入を行うことが極めて重要です。
- 2. ADHDの薬物療法は、小児期から思春期、成人期まで年齢に関わらず効果が認められており、医師の判断により20歳未満の患者にも行われます。特にメチルフェニデートやアトモキセチンなどは小児期のADHD治療薬として承認されています。正しくは:薬物療法は、年齢にかかわらず医師の判断と同意のもとで行われることがあります。選びやすい理由:一般的に精神科の薬物療法に抵抗がある方や、子どもの薬物療法に慎重な考えを持つ方は選びやすいかもしれません。または、発達障害の薬物療法についての知識が不足している場合に誤解しやすいです。混同注意:特定の薬剤が成人や小児に限定される場合がある、という知識と混同するかもしれませんが、ADHDの薬物療法全体が20歳未満に行われないわけではありません。
- 3. ADHDの患者は注意集中が困難であるため、作業中に無関係な雑談をすることは注意を散漫にさせ、課題遂行を妨げる可能性が高いです。集中を促すためには、環境を整え、必要最低限のコミュニケーションに留めるべきです。正しくは:作業中は、集中を促すために作業に関連する指示や声かけに留めるべきです。選びやすい理由:ラポール形成のためには雑談も有効と考えるかもしれませんが、ADHDの特性を考慮すると、作業中の雑談は逆効果となります。混同注意:一般的なリハビリテーションにおける良好な人間関係構築のための雑談と混同しやすいですが、ADHDの注意集中の困難さという特性を理解していれば、不適切と判断できます。
- 4. ADHDの患者は計画性や順序立てて物事を進めることに困難を抱えることが多いため、優先順位を明確にし、構造化された予定を立てる支援が非常に重要です。こだわらないように説明することは、問題解決を放棄することにつながり、混乱を招きます。正しくは:1日の予定の優先順位を明確にする方法を教え、構造化されたサポートを提供すべきです。選びやすい理由:柔軟性を持つことが良いと解釈してしまうかもしれませんが、ADHDの場合は「柔軟性」と「構造化の欠如」を混同してはなりません。混同注意:完璧主義を緩和するような指導と混同するかもしれませんが、ADHDの特性では、むしろ構造化と優先順位付けが困難さの中核にあるため、それらを支援することが重要です。
- 5. ADHDの患者は、時間管理や予定の記憶に困難を抱えることが多いため、スマートフォンのリマインダーやスケジュール管理アプリなどの外部補助ツールは非常に有効な支援策となります。これを禁止することは、自立を阻害し、不利益をもたらします。正しくは:スマートフォンのスケジュール管理機能やリマインダーなどのデジタルツールを有効活用することを推奨し、その使い方を支援すべきです。選びやすい理由:スマートフォンの使用が注意散漫につながると考えるかもしれませんが、スケジュール管理機能はADHDの苦手分野を補完するポジティブなツールです。混同注意:スマートフォンのゲームやSNS利用がADHDの症状悪化や注意散漫につながるという側面と、スケジュール管理機能という補助ツールの有用性とを混同しやすいです。
国試ポイント
ADHDの基本的な特性と、それに対する具体的な支援方法、特に二次障害の予防と対応に関する知識が問われています。ADHDの症状そのものへの対処だけでなく、併存しやすい精神疾患や、効果的な環境調整・ツール活用についても理解しているかが試されます。
混同注意
一般的な精神疾患の対応原則と、ADHDという特定の特性を持つ患者への対応原則の区別。特に、注意集中が困難な特性に対して、どのような環境調整やコミュニケーションが適切かを判断する点で混乱しやすいです。また、デジタルツールの「禁止」と「有効活用」の判断も混同しやすい点です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、ADHDの特性を理解した上で、その特性によって生じる困難を補完または軽減するための具体的な支援策(特に構造化、視覚化、外部補助ツールの活用、環境調整)や、二次障害(特に精神疾患の合併)への対応に焦点を当てて選択肢を吟味する。また、安易な「禁止」や「しない」といった否定的な支援は誤りであることが多い点に注意する。
関連知識
ADHDの中核症状(不注意、多動性、衝動性)と診断基準(DSM-5など)。ADHDに合併しやすい精神疾患(うつ病、不安障害、適応障害、素行症、物質関連障害など)。ADHDに対する薬物療法(メチルフェニデート、アトモキセチンなど)と非薬物療法(行動療法、認知行動療法、環境調整、ペアレントトレーニングなど)の基本。ADHDの特性に合わせた具体的な支援策(構造化、視覚化、リマインダー、外部補助ツールの活用、環境調整、指示の明確化など)。