慢性腰痛に対する生活指導で最も適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
慢性腰痛の生活指導では、腰への負担を軽減する姿勢や動作の習慣化が非常に重要です。重い荷物を持ち上げる際は、重心を体に近づけ、膝を曲げて腰を落とし、体幹を安定させた状態で持ち上げることが、腰への負担を最も少なくする方法であり、腰痛予防の基本です。
選択肢ごとの解説
- 1. 慢性腰痛では、痛みの悪化を避けるための短期間の安静は考慮されるものの、長期間の安静は筋力低下や身体機能の低下を招き、回復を遅らせる可能性があるため適切ではありません。活動と休息のバランスが重要です。正しくは:痛みに合わせて適度な運動や活動を取り入れるよう指導する。選びやすい理由:急性期の腰痛の場合には安静が推奨されるため、混同して選んでしまう可能性があります。混同注意:急性腰痛の安静指導と慢性腰痛の活動指導。
- 2. ヒールの高い靴を履くと、体の重心が前に移動し、バランスを取るために腰椎の反り(腰椎前弯)が強くなります。これにより、腰部への負担が増大し、腰痛を悪化させる可能性があります。正しくは:踵の低い、安定した靴を選ぶように指導する。選びやすい理由:見た目を重視する患者がいる場合、深く考えずに選んでしまう可能性があります。直接的に腰痛と結びつきにくいと感じるかもしれません。混同注意:ファッションと健康のバランス。
- 3. 中腰の姿勢は、腰椎に大きな剪断力や圧縮力がかかり、椎間板や関節、筋肉への負担が著しく増大します。特に持続的な作業でこの姿勢を続けることは、腰痛の悪化に直結します。正しくは:作業台の高さを調整したり、椅子に座る、膝をつくなどして、中腰姿勢を避け、腰への負担が少ない姿勢で行うよう指導する。選びやすい理由:少し屈むことで作業がしやすくなると誤解している場合。また、完全にしゃがむよりも楽だと感じてしまうことがあります。混同注意:しゃがむ姿勢(スクワット)と中腰姿勢。
- 4. 一般的に、あぐら座りは骨盤が後傾しやすく、腰椎の生理的なS字カーブが失われやすいため、腰への負担が増大する傾向があります。正座は骨盤が比較的立ちやすく、腰椎の自然なカーブを保ちやすいとされています。ただし、個人の体型や柔軟性により負担は異なります。正しくは:あぐら座位を避けるか、背筋を伸ばし骨盤を立てて座るように意識させる。または、椅子座位など腰に負担の少ない座り方を推奨する。選びやすい理由:あぐらの方が楽だと感じる人がいるため。また、正座が膝に負担をかけることから、腰に良いと誤解してしまう可能性があります。混同注意:膝への負担と腰への負担。
- 5. 正解。重い物を持ち上げる際、対象物を体から離すと、腰椎を支点としたテコの原理により、腰にかかる負担が劇的に増大します。体に近づけて持ち上げることで、重心が体幹の近くに保たれ、腰への負荷が最小限に抑えられます。これは腰痛予防の基本的な原則です。
国試ポイント
慢性腰痛患者に対する生活指導の基本的な知識と、腰への負担を軽減するための具体的な動作指導が問われています。特に、腰に不適切な姿勢や動作と、適切な姿勢や動作を識別する能力が求められます。
混同注意
急性腰痛と慢性腰痛における安静の捉え方、あるいは膝関節への負担と腰椎への負担を混同しやすいです。また、一般的な常識と医学的根拠に基づいた指導を区別する必要があります。
次に同じ論点が出たら
次回同様の論点が出題された場合、腰痛における様々な状況での姿勢、動作、運動に関する具体的な指導内容(例:座り方、立ち方、物の拾い方、寝方など)や、各活動が腰椎に与える力学的負荷について、より詳細な知識が問われる可能性があります。
関連知識
腰痛体操、コルセットの適切な使用、作業環境の調整、体重管理、ストレス管理、疼痛教育。また、物理療法(温熱、寒冷、電気療法)、薬物療法、運動療法、徒手療法などの治療法も関連知識として挙げられます。