注意欠如多動症〈注意欠如・多動性障害〉児と比較し、自閉スペクトラム症〈自閉症スペクトラム障害〉児の特徴はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
自閉スペクトラム症(ASD)の診断基準には「限定され反復する様式の行動、興味、活動」という項目があり、これにはルーティンや儀式的な行動への固執、変化への強い抵抗が含まれます。日頃の道順の変化は、この変化への抵抗がパニックとして現れる典型的な例です。一方、注意欠如多動症(ADHD)は主に不注意、多動性、衝動性を特徴とします。
選択肢ごとの解説
- 1. 自閉スペクトラム症の子どもは、社会性の発達に特性があり、同年齢の他児との相互的な遊びを苦手とすることが多いです。一緒に遊ぶことはあっても、協調的な遊びや感情の共有が難しい場合があります。正しくは:他の子どもとの相互的な遊びを苦手とすることがある。選びやすい理由:一見、子どもの元気な姿を表しているように見えるため、ADHDの子どもの多動性や衝動性と混同して選んでしまう可能性。混同注意:ASD児が全く他者と遊ばないわけではないが、「よく遊ぶ」という表現はASDの社会的交流の困難という核心と矛盾する。ADHDの子どもが衝動的に他者に近づきやすいことと混同する可能性もある。
- 2. 物をなくしやすいのは、注意散漫、衝動性、整理整頓の困難など、注意欠如多動症(ADHD)の特性としてよく見られます。自閉スペクトラム症の直接的な特性ではありません。正しくは:注意散漫や整理整頓の困難から、物をなくしやすい。選びやすい理由:どちらの障害も認知機能に特性を持つため、一般的に「不注意」と一括りにしてしまうと、両者の違いが見えにくくなる。混同注意:ADHDにおける不注意や実行機能障害(計画性、整理整頓の困難)と、ASDにおける特定の事柄へのこだわりや反復行動とは異なる。
- 3. 順番を待つのが難しい、我慢できないといった行動は、衝動性や多動性といった注意欠如多動症(ADHD)の核となる特性として顕著に現れます。自閉スペクトラム症の直接的な特性ではありません。正しくは:衝動性や多動性により、待つことが難しい。選びやすい理由:ASD児も変化への抵抗や特定のルーティンへのこだわりから、予定外の待ち時間に対応できないことはあるが、「待てない」という直接的な行動はADHDに典型的。混同注意:ADHDの衝動性と、ASDにおける変化への強い抵抗や融通の利かなさによるパニック反応を混同しやすい。
- 4. 集中力が持続せず、すぐに別の活動に移ってしまう、注意がそれやすいといった特徴は、注意欠如多動症(ADHD)の不注意や多動性に関連する特性です。自閉スペクトラム症の直接的な特性ではありません。正しくは:注意の持続が難しく、すぐに他の活動に移る。選びやすい理由:ASD児も興味のないことには集中しにくいが、過度な集中(過集中)が見られることもある。ADHD児の不注意との区別が曖昧になりやすい。混同注意:ADHDの不注意による「注意の転導性」と、ASDの興味の範囲の限定性や、特定の対象への過集中とを混同しやすい。
- 5. 正解。自閉スペクトラム症の子どもは、特定のルーティンや習慣への強いこだわりがあり、予期せぬ変化やいつもと異なる状況に対して、強い不安を感じたり、パニックになったりすることがあります。これはASDの診断基準の一つである「限定され反復する様式の行動、興味、活動」に関連する特徴です。
国試ポイント
この問題は、発達障害の中でも特に注意欠如多動症(ADHD)と自閉スペクトラム症(ASD)の中核的な症状の違いを正確に理解しているかを問うものです。それぞれの障害の特性を混同せず、鑑別できる知識が求められます。
混同注意
ADHDとASDはそれぞれ異なる特性を持つ発達障害ですが、共存することもあり、一部の症状(例えば不注意や社会性の困難など)が重複して見えることがあります。しかし、その根底にあるメカニズムや表現の仕方は異なります。ADHDの不注意とASDの特定の興味への過集中、ADHDの衝動性とASDの変化への抵抗による混乱などを混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同じような問題が出た場合は、各選択肢がADHDの核症状(不注意、多動性、衝動性)のいずれに該当するか、あるいはASDの核症状(社会的コミュニケーションの困難、限定され反復する行動・興味・活動)のいずれに該当するかを丁寧に吟味する必要があります。特に、提示される行動が「なぜ起きているのか」という背景にある特性まで深く理解することが鑑別能力を高めます。
関連知識
DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)におけるASDとADHDの診断基準を理解することが重要です。ASDでは、社会的コミュニケーションと相互作用における持続的な欠陥、および限定され反復する様式の行動、興味、活動が核となります。ADHDでは、不注意、多動性、衝動性の症状が中心です。感覚特性(過敏・鈍麻)もASDに多く見られる特徴の一つです。