心不全の症状はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
右心不全では全身の静脈還流が滞り、末梢の静脈圧が上昇することで、重力の影響を強く受ける下肢、特に下腿に水分が貯留し浮腫が発生します。これは心不全の典型的な身体所見の一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. 心不全では腎血流の低下や抗利尿ホルモンの分泌増加により、尿量が減少することが一般的です。正しくは:心不全では尿量が減少することが多い。選びやすい理由:浮腫があるため、尿量が増えるのではないかと思いやすい。混同注意:腎臓疾患による多尿や、利尿薬投与後の反応と混同しやすい。
- 2. 心不全が進行すると、心臓の拍出量減少により血圧は低下傾向になることが多いです。ただし、代償機構として末梢血管抵抗が増加し一時的に高血圧を示すこともありますが、中心的な症状ではありません。正しくは:心不全では血圧は低下傾向を示すことが多い。選びやすい理由:心疾患と高血圧の関連が深いため、高血圧が直接の症状だと誤解しやすい。混同注意:高血圧が心不全の原因となることと、心不全の症状が混同しやすい。
- 3. 正解。右心不全では、全身からの血液が心臓に戻りにくくなるため、静脈圧が上昇し、特に重力の影響を受けやすい下腿に水分が貯留し浮腫が生じます。正しくは:これは右心不全の典型的な症状です。選びやすい理由:最もよく知られた心不全の症状の一つです。混同注意:腎臓病や肝臓病、甲状腺機能低下症など他の疾患による浮腫と鑑別が必要ですが、心不全の主要な症状の一つです。
- 4. 羽ばたき振戦(asterixis)は、肝性脳症や尿毒症、薬物中毒など代謝性脳症で認められる症状であり、心不全に特有の症状ではありません。正しくは:羽ばたき振戦は肝性脳症などでみられる症状である。選びやすい理由:振戦という神経系の症状が、全身疾患で起こることを知っていると選んでしまうかもしれない。混同注意:他の振戦(パーキンソン病の安静時振戦、本態性振戦など)や、様々な全身疾患で起こる神経症状と混同しやすい。
- 5. チェーン・ストークス呼吸は、心不全の末期や脳血管障害、尿毒症などで脳の呼吸中枢の機能が障害された際に現れる異常呼吸であり、心不全の初期や一般的な症状ではありません。進行した心不全で見られることはありますが、特異的な症状とは言えません。正しくは:チェーン・ストークス呼吸は心不全の末期や脳病変などで見られる異常呼吸である。選びやすい理由:心不全と呼吸器症状が関連するため、選んでしまう可能性がある。混同注意:他の異常呼吸(クスマウル呼吸、ビオー呼吸など)や、単なる呼吸困難と混同しやすい。
国試ポイント
心不全の主要な症状、特に左右の心不全で現れる特徴的な症状を理解しているか問う問題です。他の疾患で見られる症状との鑑別も重要です。
混同注意
心不全の症状は多岐にわたるため、他の全身疾患(腎疾患、肝疾患、甲状腺疾患、呼吸器疾患、神経疾患など)の症状と混同しやすい点に注意が必要です。特に浮腫、呼吸困難、倦怠感などは多くの疾患で共通して見られます。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、心不全の左右それぞれの症状を具体的に想起できるか、また代表的な異常身体所見(浮腫、頸静脈怒張、ラ音など)がどの心不全と関連するかを判断する視点が必要です。
関連知識
右心不全の症状:下腿浮腫、肝腫大、頸静脈怒張。左心不全の症状:肺うっ血(呼吸困難、起座呼吸、ピンク色の泡沫痰)。心不全の共通症状:全身倦怠感、食欲不振、疲労感。異常呼吸パターン(チェーン・ストークス呼吸、クスマウル呼吸など)とそれらが示す疾患の関連。