地域での精神科リハビリテーション実践の説明で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
ACT(Assertive Community Treatment:包括型地域生活支援プログラム)は、重い精神疾患を持つ人々が地域で生活を継続できるよう、多職種チームが自宅や職場、地域生活の場に積極的に訪問し、薬物療法、危機介入、心理社会的な支援などを統合的に提供するアウトリーチ型の支援モデルであるため、選択肢2が正しい。
選択肢ごとの解説
- 1. IPS(個別支援付き雇用)は、事前訓練を行わずに直接就職活動を支援し、就職後に必要なサポートを提供する「Place-then-Train」のアプローチが特徴であるため、事前訓練後に就職活動を行うとする記述は誤り。正しくは:IPSは事前訓練なしに直接就職活動を行い、就職後に継続的なサポートを行う。選びやすい理由:一般的な就労支援では事前訓練が伴うことが多いため、IPSも同様と誤解しやすい。混同注意:従来のステップバイステップの就労支援モデル。
- 2. 正解。ACT(包括型地域生活支援プログラム)は、重い精神疾患を持つ人々が地域で安定した生活を送れるよう、生活の場(自宅、職場、地域施設など)に多職種チームが積極的に訪問し、統合的な支援を提供するアウトリーチ型のモデルであるため正しい。選びやすい理由:ACTの包括的かつアウトリーチ型の特性を理解していれば、選択肢の記述が正しいと判断できるため。混同注意:医療機関内での一般的な外来診療やデイケアなどの施設内での支援。
- 3. 両立支援の対象疾患には、がん、脳卒中、糖尿病などの身体疾患だけでなく、うつ病や統合失調症などの精神疾患も含まれる。働く人が病気になっても治療と仕事を継続できるよう支援する制度であるため、対象疾患に統合失調症が含まれないとする記述は誤り。正しくは:両立支援の対象疾患に統合失調症が含まれる。選びやすい理由:両立支援は身体疾患のイメージが強いが、精神疾患も重要な対象であることを認識していないと誤りやすい。混同注意:身体疾患に限定された支援制度。
- 4. 認知症初期集中支援チームの開設主体は、地域包括ケアシステムの中核を担う市町村である。都道府県は設置主体ではないため誤り。正しくは:認知症初期集中支援チームの開設主体は市町村である。選びやすい理由:都道府県と市町村の役割分担が混同しやすいため、都道府県が主体と誤解しやすい。混同注意:都道府県が管轄する広域的な医療・保健・福祉の制度。
- 5. 災害派遣精神医療チーム(DPAT)の派遣は、災害の種類(自然災害、人為災害など)で決まるのではなく、被災地の都道府県知事からの要請に基づいて行われる。ニーズに応じた迅速な派遣が重要視されるため、誤り。正しくは:災害派遣精神医療チーム[DPAT]の派遣は都道府県知事からの要請で決まる。選びやすい理由:災害の種類によって被災状況や支援ニーズが異なるため、災害の種類が派遣決定に影響すると誤解しやすい。混同注意:災害の種類によって出動する他の専門チーム(例えば、医療救護班など)の派遣基準。
国試ポイント
精神科リハビリテーションの主要な支援モデル(IPS、ACT)の特徴と、関連する社会資源(両立支援、認知症初期集中支援チーム、DPAT)の役割と管轄を理解する。
混同注意
IPSとACTは、どちらも地域での精神科リハビリテーションに関する支援モデルであるが、IPSが就労支援に特化し、訓練なしで直接就労を目指すのに対し、ACTはより包括的な生活支援を対象とし、アウトリーチを特徴とする点で異なる。
次に同じ論点が出たら
地域での精神科リハビリテーションに関する問題が出た場合、各支援モデルの目的、対象、支援内容、提供主体、介入場所、プロセスに注目して判断する。
関連知識
IPSは「個別支援付き雇用(Individual Placement and Support)」の略で、精神疾患のある人が一般就労を目指す際に、事前の訓練を設けずに直接就労先を探し、就職後も継続的なサポートを提供するモデル。両立支援コーディネーターは、傷病を抱える労働者の治療と仕事の両立を支援する専門職で、精神疾患もその対象となる。認知症初期集中支援チームは市町村が設置主体。DPATの派遣は災害の種類ではなく、都道府県知事からの要請に基づいて行われる。