災害時の作業療法士の対応で優先度が低いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
災害発生直後から急性期にかけての作業療法士の介入は、まず生命の安全確保、避難所の環境整備、集団的な健康管理と感染症予防が最優先されます。その中で、避難者の全体的な状況を把握し、生活不活発病の予防など集団的かつ早期から介入できる活動が求められます。個別の筋力増強訓練のような専門性の高い個別リハビリテーションは、より状況が安定し、基礎的なニーズが満たされた後の段階で優先度が上がります。災害初期においては、全体としての対応が個別対応に先行します。
選択肢ごとの解説
- 1. 災害時は衛生環境が悪化し、感染症が蔓延しやすい状況にあるため、感染予防対策は避難者の健康と生命を守る上で非常に高い優先度を持ちます。正しくは:感染症対策は最優先事項の一つです。選びやすい理由:災害時の基本対応として真っ先に思い浮かぶため、正しいと判断されやすいですが、問題は「優先度が低いのはどれか」です。混同注意:災害時の「緊急性」と「重要性」の区別。これは緊急かつ重要です。
- 2. 避難者のニーズを特定し、効果的な支援を計画するためには、避難所の状況や環境を迅速に把握することが不可欠です。これは初期段階で高い優先度を持ちます。正しくは:状況把握は支援活動の基盤であり、高い優先度を持ちます。選びやすい理由:全体像を把握することはどの活動においても重要であるため、正しいと判断されやすいです。混同注意:個別支援と全体支援の優先度。初期は全体支援が優先されます。
- 3. 避難生活が長期化すると、活動量の減少により生活不活発病(廃用症候群)のリスクが高まります。これを防ぐための早期からの介入(集団体操指導など)は、避難者の身体的健康を維持するために重要であり、優先度が高いです。正しくは:廃用症候群の予防は、特に高齢者や障害者にとって高い優先度を持ちます。選びやすい理由:作業療法士らしい介入内容であり、重要であることは間違いないため、正しいと判断されやすいです。混同注意:急性期(生命維持)と亜急性期(機能維持・回復)の介入のタイミング。これは比較的早期から介入が必要です。
- 4. 避難所内での転倒や事故を防ぎ、特に高齢者や障害を持つ人々が安全かつスムーズに生活できる環境を整えることは、避難者の安全と自立的な生活を支える上で高い優先度を持ちます。正しくは:動線整備は避難者の安全確保と生活の質向上に直結し、高い優先度を持ちます。選びやすい理由:環境整備は作業療法士の専門性とも関連が深く、重要であると認識されやすいです。混同注意:物理的環境整備の重要性。
- 5. 正解。災害発生直後の混乱期においては、避難者全体の生命の安全確保、感染症予防、基本的な生活環境の整備、集団での健康維持活動(集団体操など)が最優先されます。個別の筋力増強訓練は、より状況が落ち着き、個々のニーズが明確になった亜急性期以降に優先度が上がります。緊急対応が求められる初期段階では、優先度が相対的に低くなります。選びやすい理由:作業療法士の専門分野であるため、重要だと誤解しやすいかもしれません。しかし、問題は「災害発生時」の「優先度」を問うています。混同注意:個別リハビリテーションの重要性と、災害時のフェーズごとの介入の優先順位。
国試ポイント
災害時の作業療法士の役割と介入の優先順位を理解しているかが問われる問題です。特に、災害急性期における緊急性の高い対応(生命の安全、環境整備、感染症予防、集団的健康維持)と、その後の時期に行われる個別リハビリテーションとの違いを区別できるかがポイントとなります。
混同注意
災害時に「作業療法士として何ができるか」という問いと、「災害時の優先度」という問いを混同しやすいです。作業療法士ができることは多岐にわたりますが、災害のフェーズや緊急性によって優先順位は大きく異なります。特に「個別介入」と「集団・環境介入」の優先順位を見誤らないことが重要です。
次に同じ論点が出たら
次にこの論点が出題された場合、災害時の「フェーズごとの」作業療法士の役割や、集団への介入と個別介入の具体的な内容、または、災害支援チーム(DMAT、DPATなど)との連携のあり方などが問われる可能性があります。
関連知識
災害リハビリテーションにおけるフェーズごとの役割(急性期、亜急性期、慢性期・復興期)。災害時のDMAT/DPAT、日本作業療法士協会の災害支援ガイドライン。生活不活発病(廃用症候群)の予防の重要性。