疾患と病理学的変化の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
多発性硬化症は、中枢神経系(脳、脊髄、視神経など)のミエリンが自己免疫によって障害され、脱髄病変を生じる疾患です。これにより神経伝達が阻害され、多様な神経症状が引き起こされます。この組み合わせは、疾患とその病理学的特徴を正確に示しています。
選択肢ごとの解説
- 1. パーキンソン病の主要な病理学的変化は、中脳黒質のドーパミン作動性神経細胞の変性と消失、そしてLewy小体の出現です。大脳白質の変性はパーキンソン病の主な病変ではありません。正しくは:パーキンソン病:中脳黒質のドーパミン作動性神経変性、Lewy小体の出現選びやすい理由:神経変性疾患であるため、脳のどこかの変性という点で関連性を感じやすいかもしれません。混同注意:アルツハイマー病など他の認知症や血管性認知症の大脳白質病変と混同する可能性があります。
- 2. 正解。多発性硬化症は、脳、脊髄、視神経などの中枢神経系において、ミエリンが破壊される(脱髄)ことで神経伝達が障害される自己免疫疾患です。これはその病理学的な核心です。選びやすい理由:正しい選択肢なので、迷うことなく選べるはずです。混同注意:脱髄疾患の代表例として、ギラン・バレー症候群(こちらは末梢神経の脱髄)と混同しないように注意が必要です。
- 3. レビー小体型認知症の主要な病理学的特徴は、レビー小体(α-シヌクレインを主成分とする封入体)が脳幹、辺縁系、大脳皮質に広範に出現することです。大脳白質の虚血は血管性認知症でみられる病変であり、レビー小体型認知症の主要な病理ではありません。正しくは:レビー小体型認知症:レビー小体の大脳皮質などへの出現選びやすい理由:認知症という点で脳の病変であることは共通しますが、具体的な病理は異なります。混同注意:血管性認知症やアルツハイマー病と混同する可能性があります。特にレビー小体という名称からパーキンソン病の病理と関連することは理解しやすいですが、虚血というキーワードは別の疾患を指します。
- 4. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)の主な病理学的変化は、運動ニューロン(上位および下位運動ニューロン)の変性と消失です。脊髄では、主に前角細胞(下位運動ニューロン)や側索(上位運動ニューロンの経路)の変性が特徴です。脊髄後索は感覚経路であり、ALSでは通常変性しません。正しくは:筋萎縮性側索硬化症(ALS):脊髄前角や側索の運動ニューロン変性選びやすい理由:脊髄の病変であるという点は合っていますが、「後索」という部位が誤りです。運動器の疾患であるため、脊髄が関係することは想像しやすいです。混同注意:脊髄の後索は感覚路であるため、運動系のALSとは関連性が低いです。脊髄小脳変性症など他の神経変性疾患の病変部位と混同する可能性があります。
- 5. ギラン・バレー症候群は、末梢神経の急性炎症性脱髄性多発神経炎が特徴です。脊髄前角は中枢神経系の一部であり、ここが変性する病気ではありません。正しくは:ギラン・バレー症候群:末梢神経の脱髄選びやすい理由:麻痺を伴う神経疾患であるため、脊髄と関連があるように感じやすいかもしれません。しかし、病変部位と性質が異なります。混同注意:急性灰白髄炎(ポリオ)など、脊髄前角の運動ニューロンが障害される疾患と混同する可能性があります。また、多発性硬化症(中枢神経脱髄)との違いも明確にしておく必要があります。
国試ポイント
この問題は、主要な神経疾患における代表的な病理学的変化を正確に理解しているかを問うものです。特に、各疾患の病変部位と、それが『変性』『脱髄』『虚血』などのどの病理プロセスに該当するかを区別できるかが重要です。神経疾患は国家試験で頻出であり、病理を理解することは診断や治療、リハビリテーションの根拠となります。
混同注意
多発性硬化症とギラン・バレー症候群(中枢と末梢の脱髄)、パーキンソン病とレビー小体型認知症(Lewy小体)、ALSと他の運動ニューロン疾患や脊髄疾患の病変部位(前角、後索、側索)などが混同しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、疾患名だけでなく、病変の『部位』と『病理学的変化の種類(変性、脱髄、虚血、炎症など)』の両方を正確に確認することが求められます。
関連知識
神経変性疾患(アルツハイマー病、ALS、パーキンソン病など)、脱髄疾患(多発性硬化症、ギラン・バレー症候群など)、脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)それぞれの病理学的特徴を詳細に学ぶ必要があります。特に、病変が中枢神経系か末梢神経系か、変性か炎症か虚血かなどを区別することが重要です。