小脳性運動失調の検査の目的で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
踵膝試験は小脳性運動失調の代表的な検査の一つであり、踵で目標の膝に正確に触れ、さらに脛骨上を滑らかに移動させることができるかを評価します。この一連の動作において、目標到達までの距離や方向がずれるのが測定障害であり、踵膝試験はこの測定障害を検出する上で極めて有効な手段です。
選択肢ごとの解説
- 1. 鼻指鼻試験は主に協調運動の測定障害や運動分解を評価するために用いられます。反復拮抗運動障害(dysdiadochokinesia)の評価には、手足を素早く交互に動かす動作(例:手のひらと甲を交互に打ちつける動作)がより適しています。正しくは:鼻指鼻試験で測定障害や運動分解を確認する。選びやすい理由:鼻指鼻試験は小脳性運動失調の検査でよく使われるため、関連性があるように感じられます。混同注意:鼻指鼻試験の目的(測定障害、運動分解)と、反復拮抗運動障害を評価する他の検査(例:ディアドキネシア)を混同しやすいです。
- 2. 線引き試験は、正確な線を描く能力を評価することで、主に測定障害や企図振戦を観察するものです。運動変換障害という用語は一般的ではなく、文脈によっては運動開始困難や運動の切り替えの障害を指す可能性がありますが、小脳性運動失調の評価でこの表現を用いることは稀です。正しくは:線引き試験で測定障害や企図振戦を調べる。選びやすい理由:何らかの運動障害を評価する検査であるため、選びやすいかもしれません。混同注意:線引き試験の正確な評価項目(測定障害、企図振戦)と、一般的でない「運動変換障害」という言葉を混同する可能性があります。
- 3. 跳ね返り現象(rebound phenomenon)は、他動的に屈曲させた腕を急に離した際に、拮抗筋の活動不全により腕が勢いよく跳ね返る現象で、拮抗作用の障害を評価します。運動分解(decomposition of movement)は、複雑な運動が滑らかに行われず、複数の単純な運動に分解されて行われる状態を指し、跳ね返り現象とは評価目的が異なります。正しくは:跳ね返り現象で拮抗作用の障害を評価する。選びやすい理由:跳ね返り現象も運動失調の検査項目であり、運動分解も運動失調の症状であるため、関連があるように感じられます。混同注意:跳ね返り現象の正確な病態(拮抗作用の障害)と、運動分解の病態を混同しやすいです。
- 4. 正解。踵膝試験は、仰臥位で踵を反対側の膝に置き、脛骨上を滑らせていく動作を評価するものです。この検査は、目標に正確に到達できない測定障害(dysmetria)や、運動がぎこちなくなる運動分解、さらには企図振戦などを観察する上で非常に有効な検査です。特に測定障害の評価に広く用いられます。選びやすい理由:これは正しい記述です。
- 5. 膝打ち試験(patellar tap test)は、主に深部腱反射(膝蓋腱反射)を評価するための検査であり、筋の伸張反射の状態を見ます。振戦(tremor)の有無や種類を直接的に評価するものではありません。振戦の評価には、姿勢保持時や動作時の観察、指鼻試験などが用いられます。正しくは:膝打ち試験で深部腱反射を評価する。選びやすい理由:膝を使う検査であり、運動失調の患者で振戦が見られることもあるため、関連があるように感じられるかもしれません。混同注意:膝打ち試験の本来の目的(腱反射)と、振戦の評価方法を混同しやすいです。
国試ポイント
小脳性運動失調の各症状(測定障害、運動分解、反復拮抗運動障害、構音障害、眼振、企図振戦、筋緊張低下、跳ね返り現象など)と、それぞれの症状を評価するための具体的な検査方法(例:指鼻試験、踵膝試験、ディアドキネシア、ロンベルグ試験など)の組み合わせを正確に理解しているかが問われます。特に、どの検査がどの症状を評価するのかを正確に把握することが重要です。
混同注意
各検査の名称と、それが評価する主要な症状(例:測定障害、運動分解、反復拮抗運動障害、企図振戦、拮抗作用の障害)の組み合わせが混同しやすいです。また、似たような名前の検査(例:指鼻試験と踵膝試験)の評価内容の違いも注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、小脳性運動失調の各症状を列挙し、それぞれを評価するためにどの検査(複数ある場合も考慮)が最も適切かをペアで覚えているかを確認すると良いでしょう。また、各検査の具体的な実施手順と、どのような異常所見が見られるかをイメージできるようにしておくことも重要です。
関連知識
小脳の機能(運動の協調、平衡機能、筋緊張調節など)、小脳の各部位(小脳虫部、小脳半球、片葉小節葉)の障害による症状の違い。運動失調の種類(小脳性、脊髄性、前庭性、感覚性など)とその鑑別。各検査の実施方法と正常所見。