びまん性軸索損傷の患者で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
びまん性軸索損傷は、脳全体に広がる神経線維の損傷であり、特に前頭葉など社会性や行動制御に関わる部位に影響を及ぼしやすいため、高次脳機能障害の中でも社会的行動異常が顕著に現れ、患者さんの社会復帰を妨げる大きな要因となります。
選択肢ごとの解説
- 1. びまん性軸索損傷では、広範な脳損傷により小脳や脳幹を含む運動制御に関わる神経経路が障害されるため、運動失調を呈することがあります。正しくは:びまん性軸索損傷では運動失調を呈することがあります。選びやすい理由:軸索損傷が認知機能や意識レベルに与える影響が大きいため、運動症状が注目されにくいと感じるかもしれない。混同注意:限局性脳損傷による特定の運動麻痺と混同し、広範な軸索損傷による協調運動障害の可能性を見落とす。
- 2. びまん性軸索損傷は、脳全体に広がる損傷であるため、特に高次脳機能障害としての認知機能障害は重度になりやすく、回復は一般的に困難であるか、時間がかかります。良好な回復は期待しにくいです。正しくは:びまん性軸索損傷では認知機能の回復は困難であるか、時間がかかることが多いです。選びやすい理由:外傷性脳損傷のリハビリテーションによってある程度の回復が見られることを知り、全般的に回復が良好だと解釈してしまう。混同注意:小児の脳損傷に見られる可塑性による回復の可能性と混同し、成人DAIにおける認知機能回復の厳しさを過小評価する。
- 3. びまん性軸索損傷は、交通事故や高所からの転落など、強い外力によるものが原因で発生します。そのため、脳損傷だけでなく、全身に多発性の外傷(四肢骨折、体幹損傷など)を合併するケースが非常に多いです。正しくは:びまん性軸索損傷の原因となる強い外力により、四肢や体幹に多発性の外傷を合併することが多いです。選びやすい理由:脳損傷自体が重篤であるため、他の部位の外傷が相対的に軽視される傾向があるかもしれない。混同注意:脳損傷の専門性と、全身管理を伴う外傷救急医療の側面が混同され、多発外傷との関連性を見落とす。
- 4. びまん性軸索損傷では、意識障害や運動麻痺が長期化することが多く、これにより臥床期間が長くなったり、適切な体位管理がなされないと、四肢や体幹に重度の関節拘縮を合併しやすいです。正しくは:びまん性軸索損傷では、意識障害や運動麻痺の長期化により、四肢や体幹に重度の関節拘縮を生じやすいです。選びやすい理由:拘縮はリハビリテーションで予防可能であるため、適切なケアがなされれば発生しないと誤解する。混同注意:拘縮が「起こりうる」という知識と、「必ず起こるわけではない」という事実を混同し、発生リスクが高いことを見落とす。
- 5. 正解。びまん性軸索損傷は前頭葉など高次脳機能に関わる領域に広範な損傷を与えるため、注意障害、記憶障害、遂行機能障害といった認知機能障害に加え、脱抑制や感情の不安定さ、意欲低下などの社会的行動異常(高次脳機能障害の症状の一つ)が高頻度で出現し、日常生活や社会生活への適応を著しく阻害する主要な問題となります。選びやすい理由:他の選択肢が明確に誤りであることが判断できれば、これが正答と導きやすい。混同注意:認知機能障害と行動障害を別のものとして捉えがちだが、DAIではしばしば併発し、行動障害が社会生活上の大きな障壁となる点を理解しているか問われている。
国試ポイント
びまん性軸索損傷の病態生理と、それに伴う特徴的な症状(特に高次脳機能障害)について理解しているかどうかが問われる問題です。特に、意識障害、運動機能障害、認知機能障害、そして社会行動障害の関連性を正確に把握している必要があります。他の外傷性脳損傷との違いを意識することも重要です。
混同注意
限局性脳損傷による特定の神経症状と、びまん性損傷による広範な症状を混同しやすい。また、意識障害からの回復過程における一過性の混乱と、永続的な認知・行動障害の区別がつきにくい可能性があります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、びまん性軸索損傷の急性期管理、リハビリテーション介入の具体的な内容、予後予測因子、高次脳機能障害に対するOT介入の原則などが問われる可能性があります。また、小児DAIと成人DAIの違いにも注意が必要かもしれません。
関連知識
外傷性脳損傷の種類(脳挫傷、急性硬膜下血腫、びまん性軸索損傷など)とそれぞれの病態・特徴。高次脳機能障害の分類(注意、記憶、遂行機能、社会的行動障害など)と症状。長期臥床による合併症(関節拘縮など)。