下腿中央の横断面を図に示す。矢印の筋の作用で正しいのはどれか。2つ選べ。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・3番
解説
図の矢印が示す筋は、下腿区画のうち後区画の深層に位置する脛骨神経支配の後脛骨筋です。この筋は足関節を横断して足根骨の内側を通り、足底の舟状骨、楔状骨、立方骨、第2〜4中足骨に付着するため、足関節の底屈と足の内がえし(内転・回外)の両方に作用します。
選択肢ごとの解説
- 1. 膝関節の屈曲に作用するのは、下腿後面の筋群のうち大腿骨に起始を持つ筋(腓腹筋など)や、ハムストリングスです。後脛骨筋は膝関節を跨いでいないため、この作用はありません。正しくは:膝関節の屈曲は、ハムストリングス(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)や腓腹筋の作用です。選びやすい理由:下腿の筋であるため、下肢全体の関節運動と関連があると考えやすいですが、膝関節を直接動かす筋ではないことを注意深く区別する必要があります。混同注意:腓腹筋など大腿骨に起始を持つ下腿後面の筋群の作用。
- 2. 正解。後脛骨筋は、脛骨と腓骨の間の骨間膜および両骨後面から起始し、腱が内果の後方を通過して足底へと向かい、舟状骨粗面などに停止するため、足関節を底屈させる作用があります。選びやすい理由:後脛骨筋は下腿後区画深層に位置し、底屈筋群の一部を形成するため、この作用は理解しやすいです。混同注意:特になし。これは直接的な作用です。
- 3. 正解。後脛骨筋の腱は、内果の後方を通り足底の内側部(舟状骨、楔状骨、立方骨、第2〜4中足骨)に停止します。この停止部への牽引により、足部を内側に引き上げ、回外させる足の内がえし作用が生じます。選びやすい理由:足の内がえしに関与する他の筋(前脛骨筋など)と混同しやすいですが、後脛骨筋も主要な内がえし筋の一つであることを理解しておく必要があります。混同注意:前脛骨筋(足関節の背屈と内がえし)の作用。
- 4. 母指の屈曲に作用するのは、長母指屈筋です。図の矢印は後脛骨筋を示しており、長母指屈筋は後脛骨筋のさらに外側(腓骨側)に位置します。正しくは:母指の屈曲は長母指屈筋の作用です。選びやすい理由:後脛骨筋と同じ下腿後区画の深層筋であるため、作用を混同しやすい可能性があります。混同注意:長母指屈筋の作用。
- 5. 第2〜5指の屈曲に作用するのは、長指屈筋です。図の矢印は後脛骨筋であり、長指屈筋は後脛骨筋のさらに内側(脛骨側)に位置します。正しくは:第2〜5指の屈曲は長指屈筋の作用です。選びやすい理由:後脛骨筋と同じ下腿後区画の深層筋であるため、作用を混同しやすい可能性があります。混同注意:長指屈筋の作用。
国試ポイント
下腿の筋群の解剖学的知識と作用、特に後脛骨筋の作用を理解しているか。
混同注意
長腓骨筋や腓骨筋群(外がえし)、前脛骨筋(背屈・内がえし)、長指屈筋(足趾屈曲)など、他の下腿筋の作用と混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
下腿の横断面図が提示された場合、脛骨・腓骨の位置関係と、それぞれの骨に付着する筋群の起始停止、走行を明確に把握し、その筋がどの関節をどのように跨いでいるかを確認して作用を判断します。
関連知識
下腿の筋は区画ごとに作用が異なり、前区画は足関節の背屈、外側区画は足関節の外がえし、後区画は足関節の底屈に主に作用します。特に後脛骨筋は足底縦アーチの維持にも重要な役割を果たします。