小児自閉症患者に勧める活動として最も適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
自閉スペクトラム症(ASD)の小児には、感覚統合の促進が重要であり、トランポリンは固有受容覚や前庭覚に直接的かつ反復的な刺激を与え、感覚調整能力の向上に役立ちます。また、ASD児は反復的な活動を好む傾向があるため、活動への参加意欲も高まりやすいです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。自閉スペクトラム症(ASD)の小児には、感覚統合を促す活動が有効とされています。トランポリンは、身体の動きを通じて固有受容覚や前庭覚に強い刺激を与えるため、感覚調整の改善に寄与すると考えられます。特に、反復的な動作はASD児が好む傾向があり、活動への参加を促しやすいです。
- 2. 自閉スペクトラム症(ASD)の小児は、社会性の発達に困難を抱えることが多く、特に役割演技のような複雑な社会的交流を必要とする活動は、ストレスや混乱を引き起こしやすい場合があります。指示された役割を演じることは、自身の興味やパターンから逸脱するため、困難を感じやすいです。正しくは:ASD児に社会的スキルを教える際は、構造化された環境で、具体的な指示や視覚的支援を用い、一貫した繰り返しの中で段階的に導入することが重要です。まず、一人遊びや並行遊びから始め、徐々に共同遊びへと移行していくのが望ましいでしょう。選びやすい理由:遊びを通じた社会性訓練は一般的に良いことと捉えられがちですが、ASD児にとっては難易度が高い可能性があります。混同注意:一般的な発達の子供に対する社会性訓練と、ASD児に対する介入方法を混同しやすいです。
- 3. 自閉スペクトラム症(ASD)の小児は、注意の配分や衝動性の制御に課題を抱えることが多く、複数の刺激が同時に存在する環境では集中が困難になりがちです。テレビは視覚的・聴覚的に強い刺激となるため、宿題への集中を妨げ、学習効率を低下させる可能性が高いです。正しくは:ASD児が集中して作業に取り組むためには、静かで刺激の少ない環境を整えることが重要です。視覚的な情報過多を避け、集中できるような工夫(例:パーテーションの使用、ノイズキャンセリングヘッドホンの使用など)が必要です。選びやすい理由:多くの子供が「ながら学習」をすることがあるため、一見問題ないと捉えられがちです。混同注意:多動性や注意欠陥の問題を持つ子供への環境調整の必要性と、一般的な学習環境の適応を混同しやすいです。
- 4. キャッチボールは、相手との非言語的なコミュニケーション(アイコンタクト、タイミングの読み取り)や予測、協調運動能力など、複数のスキルを同時に要求される活動です。自閉スペクトラム症(ASD)の小児は、これらのスキルに困難を抱えることが多く、特に相手との相互作用を伴う活動は挑戦的で、失敗体験につながりやすい可能性があります。正しくは:ASD児が身体活動に参加する際は、まず一人でできる反復的な運動や、構造化されたルールの中で行える活動から始めることが望ましいです。徐々に、限定的な相互作用を伴う活動へと移行していきます。例えば、目標物に向かってボールを投げる練習から始めるなどです。選びやすい理由:スポーツは身体活動として推奨されるため、良い活動だと思われがちです。混同注意:一般的な運動能力の発達を促す活動と、ASD児がスムーズに参加できる活動の種類を混同しやすいです。
- 5. 自閉スペクトラム症(ASD)の小児は、感覚過敏や感覚鈍麻など、感覚処理に特有の困難を抱えています。特に苦手な感覚刺激を無理に反復して受けさせることは、強い不快感や不安を引き起こし、ストレスを増大させるだけでなく、感覚に対する嫌悪感を強化する可能性があります。正しくは:感覚統合療法では、子どもが自ら選んで参加する遊びを通して、感覚刺激を遊びの中に統合していきます。苦手な感覚に対しては、まずは許容できる範囲から徐々に、かつ楽しい環境で、段階的に提示することが基本です。無理強いは避けるべきです。選びやすい理由:感覚統合療法において、様々な感覚刺激を与えることが重要だと誤解されがちですが、その方法論が誤っています。混同注意:感覚統合療法の原理を誤解し、嫌悪刺激の反復を「慣れさせる」ことだと混同しやすいです。
国試ポイント
自閉スペクトラム症(ASD)の特性と、それに応じた適切な介入方法、特に感覚統合の視点からの活動選択能力が問われています。単に「良い活動」を選ぶのではなく、ASD児の感覚処理や社会性、認知特性に合致しているかを評価する視点が重要です。
混同注意
一般的な児童の発達を促す活動と、自閉スペクトラム症児の特性に配慮した専門的な介入を混同しないように注意が必要です。特に、社会性を促す活動や学習環境の設定、感覚刺激の与え方について、ASD児には特別な配慮が求められます。
次に同じ論点が出たら
今後、同じ論点が出た場合は、自閉スペクトラム症児の特性(感覚処理、社会性、コミュニケーション、限定的・反復的行動パターンなど)を正確に理解し、それぞれの選択肢がその特性にどのように影響するかを具体的に判断することが求められます。特に、「過剰な刺激にならないか」「自発的な参加を促せるか」「構造化されているか」といった視点を持つことが重要です。
関連知識
感覚統合療法(AYERS Sensory Integration)、自閉スペクトラム症の診断基準(DSM-5)、感覚過敏・感覚鈍麻の概念、構造化された支援、視覚的支援、ソーシャルスキル・トレーニング(SST)の原則。