良性腫瘍と比較した悪性腫瘍の特徴はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
悪性腫瘍の最も特徴的な増殖様式は浸潤性であり、周囲の正常組織に境界なく広がりながら破壊します。この点が、良性腫瘍が被膜を持つ、発育が遅い、分化度が高い、核分裂が少ないといった特徴と対比されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 悪性腫瘍は被膜を持たず、周囲組織に浸潤するため境界が不明瞭です。被膜を持つのは良性腫瘍の典型的な特徴です。正しくは:被膜を持たないこと。選びやすい理由:全てのがんが非常に不明瞭な境界を持つわけではないという誤解から、被膜の有無を断定できないと考えるかもしれません。混同注意:良性腫瘍の形態的特徴と混同しやすいです。
- 2. 悪性腫瘍は細胞の増殖が活発で、一般的に発育速度が速いです。良性腫瘍は発育が遅い傾向があります。正しくは:一般的に成長速度が速いこと。選びやすい理由:良性腫瘍の中にも急成長するものがあるため、相対的な遅さを想像すると迷う可能性があります。混同注意:良性腫瘍の生物学的特徴と混同しやすいです。
- 3. 正解。悪性腫瘍は、その増殖様式として周囲の正常組織へ積極的に広がりながら(浸潤)発育します。これにより、組織破壊や機能障害を引き起こします。
- 4. 悪性腫瘍の細胞は、元の組織の細胞との形態や機能の類似性が低い、つまり分化度が低い(異型性が強い)ことが特徴です。分化度が高いのは良性腫瘍の特徴です。正しくは:細胞の分化度が低い状態であること。選びやすい理由:「分化」という言葉から、がん細胞も特定の機能を持つという意味で「高い」と誤解する可能性があります。混同注意:良性腫瘍の組織学的特徴(正常細胞に近い分化度)と混同しやすいです。
- 5. 悪性腫瘍の細胞は無制限に増殖するため、核分裂像が多数観察されます。これは活発な細胞増殖を示唆しており、細胞の核分裂が少ないのは良性腫瘍や正常組織の特徴です。正しくは:細胞の核分裂活動が多いこと。選びやすい理由:がん細胞が休止期に入ることもあるため、常に分裂しているわけではないという側面を捉えてしまうと迷う可能性があります。混同注意:良性腫瘍の細胞分裂の特徴と混同しやすいです。
国試ポイント
良性腫瘍と悪性腫瘍の基本的な違い、特に増殖様式、組織学的特徴、および生物学的挙動に関する知識が問われています。これらの区別は、腫瘍学の基礎であり、鑑別診断や治療方針の決定に不可欠な情報です。
混同注意
良性腫瘍と悪性腫瘍の特徴がそれぞれ混同されやすいです。特に「分化度」や「核分裂」は、良性=正常に近い=分化度が高い、悪性=異常=分化度が低い、と理解しないと逆にとらえてしまうことがあります。また、「浸潤」と「転移」の違い(浸潤は局所的な広がり、転移は離れた部位への播種)も混乱の原因となりやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、良性・悪性腫瘍の鑑別における以下の点に注目して判断しましょう。1.増殖様式(浸潤性か膨張性か)、2.被膜の有無(被膜があるか/ないか)、3.転移の有無(転移能があるか/ないか)、4.細胞の分化度(高いか/低いか)、5.核分裂像(多いか/少ないか)、6.発育速度(速いか/遅いか)、7.組織破壊性(周囲組織を破壊するか)。
関連知識
悪性腫瘍は、無制限な増殖能、浸潤性発育、転移能、悪液質などを特徴とします。対して良性腫瘍は、限局性で被膜を持つことが多く、浸潤や転移を起こしません。分化度とは細胞が元の正常組織の形態・機能にどれだけ似ているかを示す指標で、悪性腫瘍では分化度が低い(未分化)ほど悪性度が高い傾向があります。また、悪性腫瘍細胞には、形態の異常(核の大小不同、核小体の増大、N/C比の増大など)を伴う異型性が見られます。