車椅子で自走する場合の住環境整備の留意点で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
車椅子用スロープの勾配は1/12が一般的かつ安全な基準とされています。この基準に基づくと、50cmの段差(0.5m)を解消するためには、0.5m × 12 = 6m(600cm)の長さのスロープが必要となります。これは、安全に車椅子を昇降させるための最低限の長さであり、適切な住環境整備の留意点です。
選択肢ごとの解説
- 1. スイッチ類は、車椅子から操作しやすい高さ(一般的に床面から80〜100cm程度)に設置するのが適切です。床面から10cmでは低すぎて操作が困難です。正しくは:スイッチ類は床面から80〜100cm程度の高さに設置する。選びやすい理由:車椅子からの操作性を考慮するという点では正しい方向性ですが、具体的な高さが極端すぎて不適切です。混同注意:車椅子利用者の操作性を考慮した低い位置への設置と、具体的な適切な高さを混同している可能性があります。
- 2. 自走式車椅子であっても、段差は転倒や乗り上げの原因となり、通行は容易ではありません。介助なしでの段差の乗り越えは困難であり、住環境整備では段差解消が重要です。正しくは:車椅子での段差通行は困難であるため、段差解消が重要である。選びやすい理由:車椅子に乗っていると多少の段差は気にならないのではないか、と誤解する可能性があります。混同注意:車椅子は万能だと誤解している、または段差の危険性を過小評価している可能性があります。
- 3. 正解。一般的に、車椅子の安全なスロープ勾配は1/12が推奨されています。勾配1/12の場合、50cm(0.5m)の段差に対しては、0.5m × 12 = 6m(600cm)の長さが必要です。正しくは:この選択肢は正しい記述です。選びやすい理由:具体的な数値計算が伴うため、知識がないと判断しにくいかもしれませんが、正しい情報です。混同注意:スロープの勾配に関する基準(1/12、1/15など)や、具体的な計算方法を把握していないと正誤判断が難しいかもしれません。
- 4. 廊下の直進に必要な幅員は、車椅子のアームサポート外側最大寸法だけでなく、車椅子を操作する利用者の肘や手、または荷物などが干渉しないよう、さらにゆとりを持たせた寸法で考慮する必要があります。正しくは:廊下の直進に必要な幅員は、車椅子のアームサポート外側最大寸法だけでなく、操作のゆとりや荷物なども考慮した寸法で判断する。選びやすい理由:車椅子の幅を基準にするという点では一見正しそうに見えますが、『操作のゆとり』が欠けている点が誤りです。混同注意:車椅子の物理的な幅と、人が操作する上での必要な空間を混同している可能性があります。
- 5. 廊下を直角に曲がる場合、車椅子を回転させるスペースが必要となるため、直角部分の前後だけでなく、曲がる場所自体に十分な回転スペースが必要です。一般的に、直角に曲がるには、幅だけでなく、回転スペースを確保するために広い面積(例:140cm x 140cm)が必要です。70cmでは、車椅子の回転には不十分です。正しくは:廊下を直角に曲がるには、十分な回転スペース(例:140cm x 140cm)が必要となる。選びやすい理由:70cmという数値は、介助用車椅子がやっと通過できる最小限の直線幅として知られているため、妥当な数値に思えるかもしれませんが、直角旋回には不十分です。混同注意:直線通路の最低幅と、直角に曲がるために必要な回転スペースの幅を混同している可能性があります。
国試ポイント
車椅子での住環境整備に関する具体的な数値基準(スロープ勾配、通路幅、スイッチ高さなど)の知識が問われています。特に、スロープの勾配とそれに伴う必要長さの計算は頻出です。
混同注意
スロープの勾配(1/12, 1/15など)とその適応条件、および各設備の推奨される高さや幅の具体的な数値。直線通行に必要な幅と、曲がる際に必要な回転スペースの区別。
次に同じ論点が出たら
今後も、車椅子利用者の住環境整備に関する具体的な寸法(ドアの有効幅、玄関アプローチ、トイレの広さ、手すりの高さなど)や、各設備(スロープ、スイッチ、手すり)の設置基準について、数値を含めて正確に理解しているかを問う問題が出題される可能性が高いです。
関連知識
バリアフリー設計指針、高齢者・障害者の住まいづくりのためのガイドライン、建築基準法関連、車椅子の種類と寸法、ユニバーサルデザインの原則。