複雑部分発作〈焦点意識減損発作〉を起こして自宅室内を徘徊しているてんかん患者に対して、まず行うのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
焦点意識減損発作中の患者は、意識が混濁しているため、周囲の状況を適切に判断したり、危険を回避したりすることができません。そのため、発作中に患者がぶつかったり、転倒したりして怪我をしないよう、周囲にある危険物(鋭利な物、熱源、硬い家具の角など)をあらかじめ取り除き、安全な空間を確保することが最も重要かつ最初の対応です。これは、患者の身体に直接介入せず、安全な環境を整えることで、発作による二次的な被害を防ぐことに繋がります。
選択肢ごとの解説
- 1. 複雑部分発作は通常、数分で自然に治まることが多く、多くの場合、即座の救急搬送は不要です。発作が5分以上持続する場合や、立て続けに発作が起こる場合、重篤な怪我を負った場合などに救急搬送を検討します。正しくは:発作が長時間持続したり、重篤な怪我を負ったりした場合に救急搬送を検討する。選びやすい理由:意識障害を伴うため、重大な事態と判断し、すぐに医療介入が必要だと考えるかもしれません。混同注意:全般性強直間代発作などで意識が回復せず、呼吸状態が悪化している場合など、より緊急性の高い状況と混同しやすいです。
- 2. 焦点意識減損発作中の患者は、意識が混濁しており、周囲の危険を認識できません。一人にすると、転倒や物にぶつかることによる怪我のリスクが高まります。安全を確保するためには見守りが必要です。正しくは:安全を確保しながら、発作が落ち着くまで見守る。選びやすい理由:発作中に無理に介助すると危険だという知識から、触らない方が良いという考えに繋がりやすいですが、見守りは必要です。混同注意:身体を強く拘束してはいけない、という点と混同し、一切関与しない方が良いと誤解しやすいです。
- 3. 正解。焦点意識減損発作中は、患者は意識が混濁しており、自己防衛的な行動がとれません。徘徊している状況では、家具の角、熱源、鋭利な物などにぶつかったり、転倒したりして怪我をする可能性があります。そのため、患者が安全に発作を終えられるよう、周囲から危険な物を取り除くことが最優先の安全確保行動です。
- 4. 発作中に患者の身体を無理に押さえつけると、骨折や捻挫などの二次的な怪我を引き起こす危険性があります。また、患者が抵抗して混乱を増大させる可能性もあります。発作は自然に収まるのを待つのが基本です。正しくは:身体は無理に押さえつけず、安全な体位を保つか、頭部などを守る。選びやすい理由:怪我から守ろうという善意から、体を支えたり押さえたりする方が良いと考えてしまうかもしれません。混同注意:転倒しそうな時にそっと支えることと、発作中に無理に拘束することとを混同しやすいです。
- 5. 発作中に口の中に物を入れると、気道を塞いで窒息させる危険性があります。また、患者が口を強く閉じることで、噛ませた物が喉に詰まったり、歯を損傷したりする可能性もあります。舌を噛むことを防ぐ目的で行われることがありますが、実際には危険です。正しくは:口の中に物を入れるのは避ける。選びやすい理由:舌を噛むのを防ぐためによく言われる民間療法や誤った知識に基づいています。混同注意:口の中の安全を確保するという目的自体は良いのですが、その方法として物が適切ではないという点が理解されていないと混同しやすいです。
国試ポイント
てんかん発作時の適切な初期対応、特に患者の安全確保に関する基本的な知識が問われています。身体を無理に拘束したり、口の中に物を入れたりする行為が危険であること、また、発作の種類に応じた対応の優先順位を理解しているかが重要です。
混同注意
てんかん発作時の対応について、民間療法や誤った知識(例:舌を噛ませるためにタオルを噛ませる、発作を止めるために身体を押さえつける)と、科学的根拠に基づいた正しい対応(例:周囲の安全確保、発作が治まるまでの見守り)が混同されやすいです。また、発作の種類によって緊急度が異なることも理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が問われた場合、まず「患者自身の身体に危害が及ばないよう環境を整える」という視点と、「発作に無理に介入しない」という原則を優先して判断します。特に、意識障害を伴う発作では、二次的な外傷の予防が最も重要となります。
関連知識
てんかん発作の分類(焦点性発作、全般性発作など)、各発作型の特徴と症状、てんかん発作時の一般的な応急処置、患者安全の原則、救急医療の判断基準。