自閉スペクトラム症〈自閉症スペクトラム障害〉児にみられる特徴はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
自閉スペクトラム症の診断基準では、『社会情動的相互作用の欠如』や『非言語的コミュニケーション行動の異常』が中核症状として挙げられています。表情の変化が乏しいことは、これらの非言語的コミュニケーションの困難に該当し、自閉スペクトラム症の主要な特徴の一つです。他者の表情を読み取ることや自身の感情を表情で表現することに困難を抱えるため、表情のバリエーションが乏しく見えることがあります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。自閉スペクトラム症のある子どもは、非言語的コミュニケーションの理解や表現に困難を抱えることが多く、表情の変化が乏しいという特徴が見られることがあります。これは社会性や対人関係の質的偏りに関連する主要な診断基準の一つです。
- 2. 自閉スペクトラム症のある子どもは、他者の感情を読み取ったり、共感したりすることに困難を抱えることが多いです。正しくは:他者の感情への共感性に困難がある。選びやすい理由:子どもは一般的に共感性を育むものというイメージがあるため、混乱しやすいかもしれません。しかし、ASDの特性として共感の困難は重要です。混同注意:共感性が『全くない』と誤解されがちですが、程度問題であり、その表現や理解の仕方が定型発達とは異なる点がポイントです。
- 3. 自閉スペクトラム症のある子どもは、特定の興味やこだわりを持つことが多く、その対象は図鑑や時刻表など、事実に基づいた情報を好む傾向が見られます。想像力を要する物語よりも、体系的な情報に魅力を感じる場合があります。正しくは:物語よりも図鑑のような事実に基づいた情報を好む傾向がある。選びやすい理由:子どもは物語を好むものという一般的なイメージから、一見正しい選択肢に見えるかもしれません。混同注意:定型発達の子どもが物語の世界に没頭するのに対し、ASDの子どもは情報収集やパターン認識に特化した興味を示すことが多い点を理解する必要があります。
- 4. 自閉スペクトラム症のある子どもは、想像力を要するごっこ遊びや象徴遊びよりも、積み木を並べるなど、規則性やパターンに基づいた遊びを好む傾向が見られます。社会性やコミュニケーションの質的偏りに関連して、想像力の困難が指摘されることがあります。正しくは:繰り返しやパターンに基づいた遊びを好むか、想像力を要する遊びに苦手さがある。選びやすい理由:子どもにとって遊びは創造的なものであるという一般的な認識から、正しい選択肢に見える可能性があります。混同注意:『遊び』そのものを嫌うわけではなく、その『内容』が想像力や他者との協調性を強く求めるものかどうかがポイントです。
- 5. 自閉スペクトラム症のある子どもは、言語的な指示がない暗黙のルールや、場の雰囲気から社会的な状況を判断することに困難を抱えることが多いです。これは社会性やコミュニケーションの質的偏りに関連する重要な特徴です。正しくは:暗黙のルールを理解することに困難がある。選びやすい理由:社会生活において暗黙のルールは誰もが学ぶべきことであるため、理解が良好であると誤って判断してしまう可能性があります。混同注意:明示的なルール(例:交通ルール)の理解は良好な場合が多いですが、非明示的な、状況によって変化する『暗黙のルール』の理解が難しい点が鑑別点です。
国試ポイント
自閉スペクトラム症の中核症状である『社会性や対人関係の質的偏り』と『限定的・反復的な行動、興味、活動』を正しく理解しているかが問われています。特に、非言語的コミュニケーションの困難や、想像力の欠如、特定の興味への没頭などが代表的な特徴として挙げられます。
混同注意
自閉スペクトラム症の特性は多岐にわたり、個人差も大きいため、一般的な子どもの発達と混同して誤った選択肢を選んでしまう可能性があります。特に、共感性の欠如、想像力の困難、暗黙のルール理解の困難といった点が、定型発達の子どもとは異なる典型的な特徴として出題されやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、自閉スペクトラム症の中核症状である「社会的コミュニケーションと相互作用の困難」および「限定的・反復的な行動、興味、活動」の具体的な内容を正確に理解できているかを確認する必要があります。特に、視線や表情、ジェスチャーといった非言語的コミュニケーションの側面、そして想像力や共感性といった社会的な認知能力に関する特徴に注目して判断すると良いでしょう。
関連知識
DSM-5やICD-11における自閉スペクトラム症の診断基準(A.社会的コミュニケーションおよび対人的相互作用における持続的欠陥、B.限定的で反復的な様式の行動、興味、活動)。特に、A項目に含まれる『非言語的コミュニケーション行動の異常』や『対人関係の発展・維持・理解の欠陥』は本問題の選択肢と密接に関連します。