作業における段階付けと目標機能の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
織物の模様を複雑にすることは、視覚的なパターンを正確に追跡し、複数の情報を同時に処理し、ミスなく作業を継続するために、持続的注意、選択的注意、転換性注意といった多様な注意機能が強く求められます。そのため、作業の段階付けとして注意機能を目標とする際に非常に有効な手段と言えます。
選択肢ごとの解説
- 1. 塗り絵で色の数を増やすことは、遂行機能ではなく、主に視覚認知や色弁別能力、あるいは単調さへの耐性に関連します。遂行機能は目標設定、計画、実行、結果評価など高次な認知プロセスを指します。正しくは:塗り絵で使う色の数を増やすこと → 視覚認知、色弁別選びやすい理由:「遂行」という言葉の響きから、何かをやり遂げる能力と誤解する可能性がある。混同注意:遂行機能と単純な作業の遂行能力を混同しやすい。
- 2. 正解。織物の模様を複雑にする場合、パターンを記憶し、糸の順番や種類を間違えないように集中し続ける必要があります。これは、注意の持続、選択的注意、転換性注意など、様々な注意機能を要求するため、適切な組み合わせです。選びやすい理由:織物作成には様々な要素が含まれるため、注意機能以外にも認知機能全般が関わると考えるかもしれないが、特に複雑な模様は注意機能への負荷が大きい。混同注意:注意機能と視覚認知を混同する可能性。しかし、複雑なパターンを正しく再現するためには、単なる視覚認知だけでなく、選択的注意や持続的注意が不可欠である。
- 3. ビーズの大きさを変えることは、主に手指の巧緻性(細かいものを扱う器用さ)や視覚と手の協調性(目と手の協調)に影響を与えます。記憶機能とは直接的な関連が薄いです。正しくは:ビーズの大きさを変えること → 手指巧緻性、視覚運動協応選びやすい理由:ビーズの並び順を記憶する必要があると勘違いするかもしれないが、ここでは「ビーズの大きさ」に焦点を当てている。混同注意:作業手順の記憶と、材料の物理的特性が要求する能力を混同しやすい。
- 4. 陶芸で粘土の硬さを変えることは、主に握力や腕力、手の感覚入力(固有受容覚や触覚)への影響が大きいです。手指の巧緻性(微細な手の動き)よりも、より粗大な運動能力や筋力、協調性が問われる側面が強いです。正しくは:陶芸で扱う粘土の硬さを変えること → 筋力、協調性、手の感覚選びやすい理由:手を使う作業なので、手指巧緻性と結びつけやすいが、粘土の硬さは抵抗として作用するため、巧緻性よりも筋力や協調性への影響が大きい。混同注意:手指を使う全ての作業が手指巧緻性に関わると誤解しやすい。
- 5. 革の厚さを変えることは、革を切る・縫う・加工する際に必要となる筋力や、工具を扱う際の力加減(圧覚、固有受容覚)に主に影響を与えます。視覚運動協応(目と手の協調)への影響は限定的です。正しくは:革の厚さを変えること → 筋力、固有受容覚、作業耐性選びやすい理由:革細工全体では視覚運動協応が重要だが、特に「革の厚さ」という要素に限定した場合、直接的な関連は薄い。混同注意:作業全体で必要とされる能力と、特定の材料特性が段階付けとして影響する能力を混同しやすい。
国試ポイント
作業活動の段階付けにおいて、材料や作業条件の変化が、具体的にどのような身体機能や認知機能に影響を与えるかを理解しているかが問われる問題です。各選択肢の「作業における変化」がどの「目標機能」と最も適切に結びつくかを正確に判断する能力が必要です。
混同注意
各作業活動が複合的な機能を使うため、一つの変化が複数の機能に影響を与え得ますが、設問では『最も関連が深いもの』を選ぶ必要があります。特に、手指巧緻性、視覚運動協応、遂行機能、注意機能といった概念は混同されやすい傾向にあります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、まず『作業における変化』が具体的にどの感覚入力(視覚、触覚、固有受容覚など)や運動出力(筋力、巧緻性、協調性など)、あるいは認知プロセス(注意、記憶、遂行機能など)に直接影響を与えるかを分析する。次に、その影響が『目標機能』と最も強く関連するかどうかを判断する視点を持つと良いでしょう。
関連知識
・手指巧緻性:微細な指の動きを伴う作業(例:ボタンかけ、文字書き、細かいビーズ作業)。 ・視覚運動協応:目と手の動きを一致させる作業(例:線引き、ボールキャッチ、型はめ)。 ・注意機能:集中力、持続力、切り替え、複数の情報処理(例:複雑なパズル、複数指示の同時処理)。 ・遂行機能:計画立案、問題解決、行動の開始と終了、抑制(例:料理の献立作成と実行、複雑な組み立て作業)。 ・筋力、関節可動域、感覚:粘土の硬さ、革の厚さなど、材料の物理的特性が直接影響する身体機能。