図はアテトーゼ型脳性麻痺児の摂食訓練の様子である。実施している手技(オーラルコントロール)の目的として適切でないのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
オーラルコントロールは、摂食時に適切な姿勢を保ち、口腔周囲の感覚を調整し、口唇の閉鎖や舌の制御を支援することで、安全かつ効率的な摂食を促すことを目的としています。しかし、咀嚼運動は口腔内の筋肉が複雑に協調して行う動きであり、オーラルコントロールの外部からの手技によって直接的に促通する範囲ではありません。咀嚼訓練は別の専門的な介入を要します。
選択肢ごとの解説
- 1. オーラルコントロールは、摂食時に適切な頭位を保持できるよう、頭部や頚部を間接的に安定させる目的も持ちます。正しい姿勢は安全な摂食に不可欠です。正しくは:この選択肢はオーラルコントロールの適切な目的に合致します。選びやすい理由:頭部と口は直接的な関係がないように思えるかもしれませんが、摂食時の姿勢は密接に関連しています。混同注意:オーラルコントロールが口腔内や口唇への直接的な介入とだけ捉えられがちですが、全身の姿勢も重要な要素です。
- 2. アテトーゼ型脳性麻痺の児は、口腔周囲の感覚過敏を示すことがよくあります。オーラルコントロールによって口周囲に適切な圧刺激を与えることで、脱感作を促し、摂食を円滑にする目的があります。正しくは:この選択肢はオーラルコントロールの適切な目的に合致します。選びやすい理由:感覚過敏の脱感作は、リハビリテーションの基本的なアプローチとして知られているため、正しい目的と判断しやすいです。混同注意:感覚鈍麻と混同して、刺激を増やすことと捉える可能性もありますが、過敏な場合は適度な刺激で慣らしていくことが目的です。
- 3. オーラルコントロールは、口唇を閉鎖させて食物を口腔内に保持し、嚥下の準備を整えることを目的としています。口唇閉鎖は誤嚥防止や食べこぼし防止に非常に重要です。正しくは:この選択肢はオーラルコントロールの適切な目的に合致します。選びやすい理由:口唇閉鎖は摂食機能の基本であり、オーラルコントロールの具体的な手技としてイメージしやすい項目です。混同注意:口唇の開閉運動と混同する可能性がありますが、特に閉鎖を促すことが重要です。
- 4. 正解。オーラルコントロールは、主に口唇や舌、頬への外部からの手技を通じて、摂食時の姿勢保持や口腔機能の安定化を図るものです。咀嚼運動自体を直接的に促通する手技ではありません。咀嚼は、より口腔内の複雑な運動として捉えられ、別の専門的なアプローチが求められることが多いです。正しくは:オーラルコントロールの目的は、口唇閉鎖、舌の動きのコントロール、適切な嚥下姿勢の確立などであり、咀嚼運動の直接的な促通は含まれません。選びやすい理由:摂食訓練全体で見れば咀嚼は重要な要素であるため、一見正しい目的のように思えるかもしれません。混同注意:摂食訓練の目的全般と、オーラルコントロールという特定の手技の目的とを混同しやすいです。オーラルコントロールは口腔周囲への外的な介入であり、口腔内の複雑な運動である咀嚼とは性質が異なります。
- 5. アテトーゼ型脳性麻痺の児は、不随意運動によって舌が前方へ突出することが多く、食物の口腔内保持や嚥下を妨げます。オーラルコントロールは、下顎や舌への適切な圧を加えることで、舌突出を抑制し、効率的な摂食を助ける目的があります。正しくは:この選択肢はオーラルコントロールの適切な目的に合致します。選びやすい理由:舌突出は脳性麻痺児によく見られる摂食の問題であるため、その抑制がオーラルコントロールの目的であることは理解しやすいです。混同注意:舌の突出と後退運動を混同する可能性がありますが、摂食においては適切な位置での保持が重要です。
国試ポイント
脳性麻痺児の摂食訓練における『オーラルコントロール』の具体的な目的と、その限界について理解しているかが問われています。特に、その手技が『どこまで』介入できるのか、他の摂食訓練と何が違うのかを区別できるかが重要です。
混同注意
『摂食訓練全体の目的』と『オーラルコントロールという特定の手技の目的』を混同しやすい点に注意が必要です。また、口腔周囲への介入が『促通』を意味するのか『抑制』を意味するのかも、状況によって異なるため注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
この論点から次に問われるとすれば、他の摂食訓練手技(例:ポジショニング)の目的や、特定の摂食嚥下障害(例:脳卒中後の嚥下障害)に対するアプローチの違いなどが考えられます。また、オーラルコントロールの具体的な手技や、その手技がどこの筋肉に作用しているか、という解剖学的な知識も問われる可能性があります。
関連知識
脳性麻痺の種類ごとの摂食嚥下障害の特徴(例:アテトーゼ型では不随意運動による舌突出や口唇閉鎖困難、痙直型では筋緊張亢進による固形物の摂取困難など)、摂食嚥下障害の評価方法(摂食嚥下機能検査、VF/VEなど)、摂食嚥下訓練の他のアプローチ(ポジショニング、食形態の調整、口腔内刺激法など)。