強迫性障害の患者に対する作業療法で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
強迫性障害の患者は、完璧主義や特定の思考・行動への固執が見られるため、自由度が高く、結果に完璧さを求めすぎない作業を提供することで、柔軟な思考や行動を促し、強迫観念や強迫行為へのとらわれを軽減することが期待されます。これにより、患者の精神的な負担が軽減され、達成感を得やすくなります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。強迫性障害の患者は、特定の思考や行為にとらわれやすく、完璧主義的な傾向を持つことがあります。そのため、自由度が高く、完璧を求めすぎない作業を提供することで、強迫観念や強迫行為へのとらわれを軽減し、柔軟な思考や行動を促すことができます。これにより、精神的な負担が軽減され、達成感を得やすくなります。
- 2. 強迫性障害の患者は、完璧主義や不安からくる正確性へのこだわりが強いため、精密さを求める作業は強迫観念を悪化させる可能性があります。正しくは:完璧を求めすぎず、おおらかに取り組めるような、柔軟性のある作業を提供することが適切です。選びやすい理由:作業療法において技能の向上を目指す際には正確性が求められることもあるため、一見すると適切に思えるかもしれません。しかし、強迫性障害の特性を考慮すると、症状を悪化させるリスクがあります。混同注意:通常の作業療法で技能向上を目指す場合の「正確性」と、強迫性障害の特性における「完璧主義」による正確性へのこだわりを混同しやすいです。
- 3. 強迫行為が出現した際にすぐに作業を中断させることは、患者の不安を増大させたり、治療関係を損なったりする可能性があります。また、強迫行為への対処法を学ぶ機会を奪うことにも繋がります。正しくは:強迫行為を無理に止めさせるのではなく、その行為を許容しながら、少しずつ時間をずらしたり、別の行動に置き換えたりする練習を行う(暴露反応妨害法など)といった段階的なアプローチが望ましいです。選びやすい理由:強迫行為を止めることが治療目標の一つであるため、直ちに介入することが良いと誤解しがちです。混同注意:強迫行為への「介入」と「中断・禁止」を混同しやすいです。介入は段階的・教育的なものであり、一方的な中断は望ましくありません。
- 4. 強迫性障害の作業療法では、思考内容の探索よりも、行動変容(強迫行為への対処スキルの習得など)に焦点を当てることが多いです。強迫行為の原因を深く追求することは、患者の不安をかえって強める可能性があり、作業療法の直接的な役割とは異なります。正しくは:強迫行為が起こった際に、具体的な対処方法を一緒に考えたり、不安を感じても作業を継続できるようサポートしたりするなど、行動面へのアプローチが中心となります。選びやすい理由:精神科領域では洞察を促す療法もあるため、これも治療の一環だと捉えやすいですが、作業療法の目的とはずれることがあります。混同注意:精神分析的アプローチなど、他の精神療法における「洞察」と、作業療法の行動変容に焦点を当てたアプローチを混同しやすいです。
- 5. 作業療法士が患者に代わって確認を行うことは、患者の自律性を阻害し、強迫行為(例:過度な確認行為)への依存を助長する可能性があります。患者自身が確認行為と向き合い、適切な確認方法を学ぶ機会を奪うことにもなります。正しくは:患者が自身の確認行為のパターンを認識し、過度な確認を減らすための工夫や、確認にかかる時間を減らす練習をサポートすることが重要です。選びやすい理由:患者の不安や完璧主義を軽減しようとする意図から、一時的に代行することが良いと考えるかもしれませんが、長期的には逆効果です。混同注意:患者の負担軽減のための「サポート」と、患者の自律性を阻害する「代行」を混同しやすいです。作業療法は自立を促すことが基本です。
国試ポイント
強迫性障害の特性を理解した上で、その症状を悪化させず、かつ症状の軽減や機能改善に繋がるような作業療法の具体的な介入内容を問う問題です。特定の症状に対して、どのような介入が適切か、または不適切かを見極める知識が求められます。
混同注意
強迫性障害に対する作業療法では、強迫観念や強迫行為を直接取り除くのではなく、それらに対する患者の対処能力を高め、日常生活の障害を軽減することを目的とします。他の精神疾患に対する介入と混同しないよう注意が必要です。特に、行動療法的アプローチ(暴露反応妨害法など)の基本的な考え方を理解しておくことが重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、具体的な作業内容の選択だけでなく、作業中の声かけ、環境設定、段階的な介入方法など、より実践的な視点からの適切な対応が問われる可能性があります。
関連知識
強迫性障害の診断基準(DSM-5)、認知行動療法(特に暴露反応妨害法)、精神科作業療法における作業の治療的利用(症状緩和、適応行動促進、自己効力感向上など)。