関節リウマチ患者の動作と自助具の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
関節リウマチ患者は、手指の関節変形や炎症による痛み、握力の低下などにより、つまむ、握る、回すといった動作が困難になります。一般的な丸いドアノブは、強い握力と回す動作を必要とするため、患者にとっては非常に難しい操作です。ドアノブレバーは、テコの原理を利用して少ない力でドアを開閉できるように設計されており、手指ではなく腕や肘を使って操作できるため、関節負担の軽減に繋がります。これは、自助具選定の基本的な考え方である「残存機能の活用」と「関節保護」に合致するため、適切な組み合わせです。
選択肢ごとの解説
- 1. ソックスエイドは靴下を履くための自助具であり、脱ぐ動作には適していません。正しくは:靴下を履く動作にソックスエイドを使用する。または、靴下を脱ぐ動作には、長い柄のついたフックや靴下脱ぎ具が適切です。選びやすい理由:ソックスエイドという言葉が靴下に関連するため、反射的に正しいと感じる可能性があります。また、リウマチ患者の更衣動作の困難さを解決する自助具であることは正しいですが、その用途が「履く」と「脱ぐ」で異なる点を見落としやすいです。混同注意:ソックスエイドが靴下を『履く』ための自助具であることと、靴下を『脱ぐ』ための自助具を混同しやすいです。
- 2. 正解。関節リウマチ患者は手指の変形や痛みにより、通常の丸いドアノブを回す動作が困難になることが多いです。ドアノブレバーは軽い力で肘や腕を使って操作できるため、手指への負担を軽減し、ドアの開閉を容易にします。
- 3. ループ付きタオルは、タオルを絞る動作を直接補助するものではありません。主にフックなどに掛けて使用するためのものです。タオルを絞る動作は、手指の握力や巧緻性を要するため、リウマチ患者にとっては困難な動作の一つです。正しくは:タオルを絞る動作には、握力が少なくても使用できるローラー式の絞り器や、水を含ませた後に絞る必要のないマイクロファイバータオルなどが適切です。選びやすい理由:ループ付きタオルも一般的な自助具として認識されているため、何となく選んでしまう可能性があります。タオルの使用に関連するため、選択肢として違和感がないように感じるかもしれません。混同注意:ループ付きタオルがタオルを『掛ける』ためのものと、タオルを『絞る』ためのものを混同しやすいです。
- 4. マジックハンド(リーチャー)は、遠くの物を掴んだり拾ったりするための自助具です。瓶の蓋を開ける動作には、蓋をしっかり掴んで回すためのグリップ力やトルクが必要であり、マジックハンドはこれに適していません。正しくは:瓶の蓋を開ける動作には、オープナー(滑り止めシート付き、レバー式、多機能タイプなど)が適切です。選びやすい理由:マジックハンドが物を掴む道具であるため、瓶の蓋を掴むというイメージから誤って選んでしまう可能性があります。遠隔操作という点で自助具の有用性を感じるかもしれませんが、目的が異なります。混同注意:マジックハンドが『遠隔で物を掴む』ための自助具であることと、『固い蓋を開ける』ための自助具を混同しやすいです。
- 5. キーボードカバー15という特定の製品名が何を指すのか不明確ですが、一般的にキーボードカバーは防塵・防水目的やキーボードの保護のためのものです。関節リウマチ患者のキーボード操作を補助する自助具としては、キーガード(誤って隣のキーを押すのを防ぐ)、エルゴノミクスキーボード、または音声入力ソフトなどが考えられます。正しくは:キーボード操作には、キーガード、エルゴノミクスキーボード、または音声入力ソフトなどが適切です。選びやすい理由:キーボード操作がリウマチ患者にとって困難な動作であることは事実であり、キーボードカバーという言葉から何かしらの補助具であると誤解する可能性があります。具体的な製品名であるため、知識不足から判断に迷いやすいかもしれません。混同注意:キーボードの保護や清潔保持のための『キーボードカバー』と、キーボード操作を補助する『キーガード』などの自助具を混同しやすいです。
国試ポイント
関節リウマチ患者の具体的なADL困難と、それを解決するための自助具の知識が問われています。個々の自助具の名称と、その本来の用途や目的を正確に理解しているかが重要です。特に、関節リウマチ患者の関節保護の原則に基づいた自助具の選択眼が求められます。
混同注意
各自助具の名称と、その機能・用途を混同しやすいです。特に、類似した名称や用途を持つ自助具の区別が重要です(例:ソックスエイドとソックス脱ぎ具)。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まず設問で問われている疾患(この場合は関節リウマチ)の特性を把握し、その疾患のADL困難につながる症状を想起します。次に、各選択肢の自助具が具体的にどのような動作を補助するものなのか、その機能とメリット・デメリットを正確に判断し、患者の症状に最も合致する組み合わせを選びます。特に「関節保護」の視点から自助具を評価することが重要です。
関連知識
関節リウマチの病態と症状(手指変形、疼痛、握力低下、巧緻性低下)、関節保護の原則、各ADLにおける困難、および多様な自助具の種類と使用目的(食事、更衣、整容、排泄、移動、家事など)。