脊髄損傷患者において、仙髄領域の評価でASIAの評価表に含まれているのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・2番
解説
ASIAの国際標準神経学的分類(ISNCSCI)において、仙髄(S4-S5)領域の評価は、運動機能では肛門括約筋の随意収縮、感覚機能では深部肛門周囲(S4-S5デルマトーム)の触覚と痛覚が主要な評価項目となります。これらは脊髄損傷の完全性・不完全性を判断する上で極めて重要な要素です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。ASIAの評価項目では、仙髄(S4-S5)の運動機能として肛門括約筋の随意収縮の有無を評価します。これは残存機能の有無や完全性・不完全性の判断に重要な指標となります。
- 2. 正解。ASIAの評価項目では、仙髄(S4-S5)の感覚機能として深部肛門周囲の触覚と痛覚を評価します。これは残存機能の有無や完全性・不完全性の判断に重要な指標となります。
- 3. 球海綿体反射は脊髄ショックからの回復を判断する際に用いられる脊髄反射ですが、ASIAの国際標準神経学的分類の評価表には直接含まれていません。これは自律神経系の反射であり、随意運動や皮膚感覚とは評価の目的が異なります。正しくは:球海綿体反射は脊髄ショックからの回復の有無を判断する反射であり、ASIAの国際標準神経学的分類の評価表の運動・感覚項目には含まれません。選びやすい理由:脊髄損傷と関連の深い反射であるため、評価項目に含まれると誤解しやすいかもしれません。混同注意:ASIAの評価項目(随意運動・感覚)と、脊髄ショックの評価(反射)との違い。
- 4. 肛門の筋緊張は、痙性や肛門反射の評価で関連する可能性がありますが、ASIAの評価表で直接的にS4-S5の運動機能として評価されるのは『随意収縮』の有無です。筋緊張は主に上位運動ニューロン障害でみられる現象ですが、ASIAの運動機能は特定の筋の随意収縮に焦点を当てます。正しくは:肛門の筋緊張ではなく、肛門括約筋の『随意収縮』の有無が評価されます。選びやすい理由:肛門括約筋の機能と関連が深いため、評価項目に含まれると誤解しやすいです。混同注意:随意収縮の評価と、反射や受動的な筋緊張の評価との違い。
- 5. 肛門反射(外肛門括約筋反射)は脊髄反射の一つであり、脊髄ショックからの回復などを評価する際には有用ですが、ASIAの国際標準神経学的分類の評価表には直接含まれていません。ASIAの評価項目は、特定のデルマトームにおける感覚と、特定の筋節における随意運動を評価するものです。正しくは:肛門反射は脊髄反射であり、ASIAの国際標準神経学的分類の評価表の運動・感覚項目には含まれません。選びやすい理由:仙髄領域の機能評価として反射が重要であるため、含まれると誤解しやすいです。混同注意:ASIAの評価項目(随意運動・感覚)と、脊髄反射の評価との違い。
国試ポイント
脊髄損傷の国際標準神経学的分類(ASIA分類)における評価項目、特に完全性・不完全性の判断に直結する仙髄領域の評価内容について問われています。具体的な評価項目を正確に理解しているかが重要です。
混同注意
ASIA分類の運動・感覚評価項目と、脊髄ショックの回復判断に用いられる反射(球海綿体反射、肛門反射)とを混同しやすいです。また、随意収縮と筋緊張といった表現のニュアンスの違いも注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出た場合、ASIA分類における各運動・感覚レベルの評価点数化の基準や、ASIA Impairment Scale (AIS) の判定基準、そして脊髄損傷の種類ごとの特徴(例:ブラウン・セカール症候群、前脊髄症候群など)についても問われる可能性があるため、これらの知識を重点的に確認する必要があります。
関連知識
脊髄損傷の分類(完全麻痺/不完全麻痺)、ASIA Impairment Scale (AIS)、各脊髄レベルのデルマトームとミオトーム、脊髄ショックの概念と診断基準、その他の脊髄反射(膝蓋腱反射、アキレス腱反射など)。