自宅で電話の応対ができないといった認知症症状の進行があり、意思疎通の困難さがあるが、介助者が注意していれば日常生活は自立できている。認知症高齢者の日常生活自立度判定基準のランクはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
認知症高齢者の日常生活自立度判定基準のⅡbは、『介助者が注意していれば日常生活は自立できるが、意思疎通の困難さがある』状態を指します。問題文の「電話の応対ができないといった認知症症状の進行があり、意思疎通の困難さがあるが、介助者が注意していれば日常生活は自立できている」という記述は、このⅡbの定義に完全に一致します。
選択肢ごとの解説
- 1. Ⅱaは、外出時や金銭管理で部分的に介助が必要な状態で、日常生活はほぼ自立しているが、意思疎通の困難さがこの記述よりも軽い場合が多いです。正しくは:Ⅱaは、外出時や金銭管理など、一部の複雑なADLに介助が必要な程度ですが、記述の「意思疎通の困難さ」や「介助者が注意していれば日常生活は自立」という表現には合いません。選びやすい理由:「日常生活は自立できている」という部分に注目すると、Ⅱaのように軽度な印象を受けるかもしれませんが、意思疎通の困難さや介助者の注意の必要性がより強調されています。混同注意:Ⅱaは、買い物や金銭管理、服薬管理などで部分的な介助が必要な状態であり、より介助を要するⅡbとは異なります。
- 2. 正解。Ⅱbは、『介助者が注意していれば日常生活は自立できるが、意思疎通に困難がある』という記述に合致します。電話応対の困難は、複雑なコミュニケーションが難しい状態を示しており、介助者の注意でADLが保たれるという条件と合わせてⅡbと判断されます。
- 3. Ⅲaは、排泄や着替えなど、簡単なADLにも部分的な介助が必要な状態を指します。設問の『介助者が注意していれば日常生活は自立できている』という状態よりも介助の必要性が高いため、誤りです。正しくは:Ⅲaは、食事や排泄、着替えなど、日常生活の基本的なADLでも部分的な介助が必要な状態です。選びやすい理由:『認知症症状の進行があり、意思疎通の困難さがある』という記述から、症状がやや進行していると捉え、Ⅲaを選ぶ人もいるかもしれません。混同注意:Ⅲaは基本的なADLの一部に介助が必要なレベルであり、介助者の注意で自立できるⅡbとは異なります。
- 4. Ⅲbは、食事や排泄、着替えなど、日常生活の基本的なADLのほとんどに介助が必要な状態を指します。設問の『介助者が注意していれば日常生活は自立できている』という記述とは明らかに異なります。正しくは:Ⅲbは、食事や排泄、着替えなど、日常生活の基本的なADLのほとんどに常に介助が必要な状態です。選びやすい理由:症状の進行や意思疎通の困難さに着目し、介助量が多めに必要と考えるかもしれませんが、ADLが『自立できている』という条件には合致しません。混同注意:Ⅲbはより重度な認知症で、基本的なADLの多くに介助が必要な状態です。ⅡbとはADLの介助量が大きく異なります。
- 5. Ⅳは、精神症状や行動異常が著しく、専門医療を必要とする重度の状態を指します。日常生活が『自立できている』という記述とは大きく乖離するため、誤りです。正しくは:Ⅳは、精神症状や行動異常が頻繁に起こり、専門医療を要する重度な状態です。選びやすい理由:『認知症症状の進行があり』という部分だけを強調して捉えると、重度の状態を連想する可能性もありますが、『介助者が注意していれば日常生活は自立できている』という記述と矛盾します。混同注意:Ⅳは認知症の症状が重く、医療的な介入が不可欠なレベルです。自立度判定の他の段階とは性質が大きく異なります。
国試ポイント
認知症高齢者の日常生活自立度判定基準の各ランクの具体的な状態像を正確に理解しているかが問われています。特に、ⅡaとⅡb、ⅢaとⅢbの区別は重要です。ADLの自立度と、精神症状や意思疎通の困難さの程度を総合的に判断する能力が必要です。
混同注意
ⅡaとⅡbは、ADLの自立度と介助の必要性のバランスで混同しやすいです。Ⅱaは日常生活にほぼ問題ないが、外出時など一部に介助が必要な程度で、より重度な症状が少ない段階です。一方、Ⅱbは日常生活は自立しているものの、意思疎通に困難があり、介助者の『注意』が必要な点が特徴です。
次に同じ論点が出たら
この問題で理解が不十分だった場合、まずはⅡaとⅡb、ⅢaとⅢbの具体的な違いを比較表などで整理し、それぞれの段階でどのようなADL、IADL、コミュニケーションの問題が生じ、どの程度の介助が必要になるかを詳細に学習します。特に『介助者の注意』というキーワードに注目し、その意味するところを把握することがポイントです。また、過去問で各ランクの事例問題が出た場合、どの記述がそのランクに合致するかを繰り返し演習することも有効です。
関連知識
認知症高齢者の日常生活自立度判定基準(I, Ⅱa, Ⅱb, Ⅲa, Ⅲb, Ⅳ, M)の全段階と、それぞれの代表的な症状や介助の必要性。また、これと類似する障害高齢者の日常生活自立度判定基準(寝たきり度)との違いも理解しておくことが重要です。