高齢者の身体機能評価結果で転倒リスクが最も高いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
高齢者の転倒リスク評価において、Timed Up and Go Test(TUG)の時間は非常に重要な指標となります。一般的に、TUGが13.5秒を超える場合、転倒リスクが高いと判断されます。20秒という結果は、このカットオフ値を大きく上回っており、提示された他の身体機能評価結果(筋力、BBS、片脚立位、Functional Reach)と比較して、最も高い転倒リスクを示唆するデータと言えます。BBS23点も転倒リスクが高いことを示しますが、TUG20秒の方がより即時的な転倒の危険性を強く示唆すると解釈されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 膝関節伸展筋力20kgfは、高齢者としては比較的良好な数値であり、直ちに転倒リスクが高いとは判断されません。筋力低下は転倒リスク要因ですが、この数値単独では「最も高い」とは言えません。正しくは:転倒リスクが高いとされるのは、例えば10kgf以下など、著しい筋力低下が見られる場合です。選びやすい理由:筋力低下が転倒リスクと関連することは知られているため、数値が提示されると何かしら関連があるのではないかと考えてしまうかもしれません。混同注意:筋力の基準値や、特定の活動に必要な最低筋力値との混同。
- 2. 正解。TUGテストは、高齢者の転倒リスクを評価する上で広く用いられる指標です。一般的に、TUGが13.5秒を超えると転倒リスクが高いと判断され、20秒という結果は非常に転倒リスクが高い状態を示唆しています。正しくは:この数値自体が転倒リスクが高いことを示しているため、修正の必要はありません。選びやすい理由:TUGテストの評価基準値を正確に覚えていないと、この秒数がどの程度の危険度を示すのか判断に迷う可能性があります。混同注意:他のバランス評価スケールのカットオフ値との混同。
- 3. BBSは最大56点満点のバランス評価尺度です。一般的に、45点未満で転倒リスクあり、40点未満で転倒リスクが高いとされます。23点という数値は確かに転倒リスクが高い状態を示唆しますが、TUGの20秒と比較すると「最も高い」とは断言できません。BBS23点はADLに大きく影響が出るレベルであり、転倒の危険性も高いです。正しくは:TUGの20秒と比較すると、BBS23点も高い転倒リスクを示しますが、「最も高い」という設問に対してはTUGのデータの方がより重度と解釈されやすいです。BBSの基準値としては、45点未満で転倒リスクあり、36点未満で転倒リスクが非常に高いとされることが多いです。選びやすい理由:23点という低い点数から、転倒リスクが高いことは明らかであるため、これを選んでしまう可能性があります。混同注意:TUGテストや他のバランス評価尺度のカットオフ値との混同。
- 4. 片脚立位テストはバランス能力を評価するもので、高齢者において60秒間維持できるのは非常に良好な結果であり、転倒リスクは低いと考えられます。一般的に、高齢者では5秒未満で転倒リスクが高いと判断されることが多いです。正しくは:転倒リスクが高いとされるのは、例えば5秒未満など、短時間しか維持できない場合です。選びやすい理由:片脚立位が転倒リスク評価に用いられることを知っていると、この選択肢が気にかかるかもしれませんが、数値の意味を理解していれば誤りだと分かります。混同注意:片脚立位テストの基準値や、閉眼でのテストとの混同。
- 5. Functional Reach Testは重心移動能力を評価するテストです。一般的に、高齢者では15cm未満で転倒リスクが高いと判断されます。30cmという結果は良好な数値であり、転倒リスクは低いと考えられます。正しくは:転倒リスクが高いとされるのは、例えば15cm未満など、リーチ距離が短い場合です。選びやすい理由:Functional Reach Testが転倒リスク評価に用いられることは知られているため、数値の基準値を曖昧に記憶していると判断を誤る可能性があります。混同注意:Functional Reach Testのカットオフ値や、他のリーチ系テストとの混同。
国試ポイント
高齢者の転倒リスク評価に用いられる主要な身体機能テスト(TUG, BBS, 片脚立位、Functional Reach Testなど)の目的と、それぞれのカットオフ値およびリスク判定基準を正確に理解しているかが問われる。複数の評価結果が提示された際に、最もリスクが高い状態を示す指標を識別する能力が必要となる。
混同注意
各評価スケールのカットオフ値や基準値を混同しやすい。特に、似たようなバランス評価スケール(BBSとFRTなど)の数値の解釈を誤りやすい。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、各評価尺度の『転倒リスクあり』と判断されるカットオフ値を明確に覚えているか、そして複数の評価結果が示された際に、その中で最もリスクが高い状態を示す値はどれかを判断する能力が問われる。
関連知識
・高齢者の転倒リスク要因(内在性、外在性) ・各評価尺度の実施方法と目的(TUG, BBS, FRT, 片脚立位、SPPBなど) ・地域在住高齢者や施設入所高齢者における各評価尺度の平均値やカットオフ値 ・転倒予防のための介入方法