熱傷部位と背臥位時の肢位の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
熱傷の理学療法では、瘢痕拘縮の予防が重要です。特に皮膚が薄く関節可動域が大きい部位では、適切な肢位保持が求められます。腋窩部の熱傷では、肩関節の内転拘縮を防ぐため、肩関節を90°外転位で保持することが標準的な管理です。これにより腋窩部の皮膚が最大限に伸展され、拘縮のリスクが低減されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 熱傷による拘縮を防ぐためには、頸部は伸展位を保つ必要があります。屈曲位では皮膚が短縮し、頸部屈曲拘縮を引き起こしやすくなります。正しくは:前頸部 - 頸部伸展選びやすい理由:安静を保つ意味で屈曲位を連想するかもしれないが、熱傷では拘縮予防が最優先となるため誤り。混同注意:他の部位での屈曲位での安静と混同しやすいが、頸部は伸展位が原則。
- 2. 正解。腋窩部の熱傷では、皮膚の短縮による肩関節内転拘縮が起こりやすいため、肩関節を90°外転位に保持することで拘縮を予防します。これは、皮膚の最大限の伸長を保つための機能的肢位です。
- 3. 会陰部の熱傷では、股関節の外旋拘縮を予防するため、股関節は中間位(内旋位)に保持することが推奨されます。外旋位では拘縮を助長する恐れがあります。正しくは:会陰部 - 両股関節中間位(または内旋位)選びやすい理由:仰臥位で自然な肢位が外旋位に近い場合があるため、誤って選択しやすい。混同注意:安静位と機能的肢位の違い。拘縮予防のための肢位は、必ずしも自然な安静位ではない。
- 4. 膝窩部の熱傷では、膝関節の屈曲拘縮を予防するため、膝関節は伸展位(または軽度屈曲位)を保つ必要があります。90°屈曲位では、膝窩部の皮膚が短縮し、屈曲拘縮を促進してしまいます。正しくは:膝窩部 - 膝関節伸展選びやすい理由:膝を曲げた方が楽に感じる場合があるため、安静位として連想されやすいが、拘縮予防の観点では誤り。混同注意:疼痛緩和のための安楽な肢位と、拘縮予防のための機能的肢位との混同。
- 5. 足背部の熱傷では、足関節の底屈拘縮を予防するため、足関節は背屈位を保つ必要があります。底屈位では足背部の皮膚が短縮し、尖足(底屈拘縮)を助長します。正しくは:足背部 - 背屈位選びやすい理由:足の安静位として底屈位をイメージしやすいが、足背部熱傷の拘縮予防では背屈が重要。混同注意:健常時の足の自然な安静位と、熱傷拘縮予防のための機能的肢位の混同。
国試ポイント
熱傷後の拘縮予防のための適切な肢位に関する知識が問われています。各部位で発生しやすい拘縮と、それを防ぐための機能的肢位を正確に理解しているかが鍵となります。特に、解剖学的な特徴(皮膚の薄さや関節の動きやすさ)と拘縮の関連性を把握しておく必要があります。
混同注意
熱傷部位の安静肢位は、単に患者が安楽に感じる肢位とは異なる場合が多く、拘縮予防という治療的観点からの『機能的肢位』であることが重要です。痛みを避けるための安楽肢位と混同しないよう注意が必要です。また、各関節の最大伸展位を保つことが拘縮予防に繋がるという原則を理解しているかが問われます。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合は、熱傷部位がどの関節の周囲にあり、その関節のどの方向の拘縮が最も起こりやすいか、そしてそれを防ぐためにはどの肢位を保持すべきかを、解剖学的な位置関係と皮膚の伸展性を考慮して判断する訓練が必要です。
関連知識
熱傷治療における初期介入(冷却、感染予防、疼痛管理)、創傷治癒の段階(炎症期、増殖期、成熟期)、瘢痕拘縮の種類とメカニズム、装具療法(スプリント)、運動療法、日常生活活動(ADL)指導。特に、各関節の機能的肢位とその理由を詳しく学習する必要があります。