数字の順唱によって評価できる記憶で最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
数字の順唱は、聴覚で提示された数字列を数秒間心の中で保持し、そのまま順序通りに声に出して復唱する課題です。この能力は、非常に短い期間(数秒程度)の情報を保持する即時記憶の機能を最も直接的に評価します。
選択肢ごとの解説
- 1. 数字の順唱は、数年前の情報を思い出す能力とは直接関係しないため、この選択肢は不適切です。正しくは:長期間にわたって保持されている情報(例:自身の生年月日、歴史的出来事)を思い出すときに用いられる記憶です。選びやすい理由:記憶全般の分類として知られていますが、課題が評価する時間スケールとは大きく異なります。混同注意:即時記憶や近時記憶といった時間軸での分類と混同しやすいですが、保持期間が全く異なります。
- 2. 数字の順唱は、聞いた直後(数秒以内)の情報を保持する能力を評価するものであり、数分から数日単位の記憶ではありません。正しくは:少し前の出来事(例:今日の朝食の内容、数時間前の会話)を思い出すときに用いられる記憶です。選びやすい理由:記憶の分類として一般的であり、即時記憶と混同し、近時記憶も比較的短い期間を指すため選んでしまう可能性があります。混同注意:即時記憶(数秒以内)と近時記憶(数分〜数日)の保持期間の違いです。
- 3. 作動記憶(ワーキングメモリー)は情報を保持しつつ処理する側面を含みますが、数字の順唱(特に単純な順唱)は主に情報をそのまま保持する即時記憶の側面が強いです。順唱は情報の「処理」よりも「保持と再生」に重点が置かれます。逆唱であれば作動記憶の要素が強くなりますが、順唱であるため即時記憶がより適切です。正しくは:情報を一時的に保持しながら、他の認知的な作業を行う能力(例:計算、文章の要約)です。選びやすい理由:作動記憶も一時的な記憶であるため、迷いやすい選択肢です。また、順唱もワーキングメモリーの一部として評価されることがあるため、関連性が高く見えます。混同注意:即時記憶が「保持」に特化しているのに対し、作動記憶は「保持」に加えて「処理・操作」の要素を含む点です。
- 4. 正解。数字の順唱は、提示された数字列を直後に正確に復唱する課題であり、数秒間というごく短時間の情報を保持する能力(即時記憶)を直接的に評価します。これは短期記憶の中でも最も保持期間が短い種類です。
- 5. 数字の順唱は、意識的な情報の想起であり、自転車に乗る、楽器を演奏するなどのような身体的な技能や習慣に関する記憶(手続き記憶)とは異なります。正しくは:無意識のうちに習得・実行される技能(例:自転車に乗る、泳ぐ)や習慣に関する記憶です。選びやすい理由:記憶の分類として一般的ですが、順唱課題とは内容が大きく異なります。混同注意:陳述記憶(エピソード記憶、意味記憶)と対比されることが多い記憶です。
国試ポイント
記憶の種類とその評価方法(代表的な検査や課題)の組み合わせを問う問題は頻出です。特に、即時記憶、近時記憶、作動記憶といった「一時的な記憶」の区別と、それぞれの評価課題が重要になります。
混同注意
即時記憶と作動記憶(ワーキングメモリー)の区別が最も重要です。単純な順唱は即時記憶の側面が強いですが、逆唱や他の処理を伴う課題は作動記憶の側面が強くなります。また、即時記憶と近時記憶の保持時間の違いも混同しやすい点です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点の問題が出た場合、問題文が「順唱」か「逆唱」か、または「保持のみ」か「保持と操作・処理」かを注意して読み解くことが重要です。提示された情報の「保持期間」も、即時・近時・遠隔記憶の判断に役立ちます。
関連知識
記憶は様々な観点から分類されます。時間軸による分類として即時記憶(数秒)、近時記憶(数分〜数日)、遠隔記憶(数年以上)があります。また、短期記憶の概念の中に即時記憶と作動記憶が含まれることが多く、作動記憶は情報を一時的に保持しつつ操作・処理する能力を指します。記憶の評価においては、数唱(順唱:即時記憶、逆唱:作動記憶)、語音復唱、記銘力検査などが用いられます。