73歳の女性。3年前から特に誘因なく歩行時の左膝痛が出現し、徐々に悪化してきたため外来を受診した。左膝の熱感、腫脹なく関節裂隙の圧痛を軽度に認めた。立位のX線写真(別冊No. 2)を別に示す。この患者の指導で推奨されるのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
変形性膝関節症患者への運動指導では、関節への負担を減らしつつ筋力維持・向上、関節可動域の改善を図ることが重要です。水中歩行は浮力によって膝への負荷が大幅に軽減されるため、痛みを感じにくく、安全に運動が行える優れた方法です。これにより、大腿四頭筋の強化や関節の柔軟性維持が可能となり、症状の改善に繋がります。
選択肢ごとの解説
- 1. 膝関節痛の管理において、過度な安静は関節拘縮や筋力低下を招くため推奨されません。適切な運動と活動のバランスが重要です。正しくは:活動と休息のバランスを取り、痛みのない範囲で適度な運動を行う。選びやすい理由:痛みがあるため、まず安静にすべきだと直感的に考えるかもしれません。混同注意:急性期の炎症が強い場合や、特定の外傷後の安静と混同する可能性があります。
- 2. 正座は膝関節を深く屈曲させるため、関節軟骨や半月板に大きな負担をかけ、痛みを悪化させる可能性があります。変形性膝関節症の患者には避けるべき動作です。正しくは:膝に負担のかからない範囲で可動域を維持する運動を行う。選びやすい理由:関節の可動域を広げると勘違いするかもしれません。混同注意:関節可動域訓練と、特定の負担のかかる動作を混同する可能性があります。
- 3. 階段昇降は膝関節に体重の数倍の負荷がかかるため、変形性膝関節症の患者には痛みを増悪させるリスクが高いです。特に症状がある場合は避けるべきです。正しくは:膝への負担が少ない運動方法を選択する(例:平地の歩行、自転車エルゴメーター)。選びやすい理由:日常動作の一部であり、足腰を鍛えるために良いと考えるかもしれません。混同注意:一般的な運動としての階段昇降と、疾患を持つ患者における運動負荷の考慮を混同する可能性があります。
- 4. 正解。水中歩行は浮力により膝関節への体重負荷が軽減され、痛みを感じにくい状態で運動を行うことができます。筋力維持・向上、関節可動域の改善、全身持久力の向上に効果的であり、変形性膝関節症の患者に特に推奨される運動です。正しくは:(正答のため修正不要)選びやすい理由:(正答のため該当なし)混同注意:(正答のため該当なし)
- 5. ジョギングは膝関節に大きな衝撃と繰り返し負荷がかかるため、変形性膝関節症の患者には関節の損傷を悪化させ、痛みを増強させる危険性が非常に高いです。一般的に推奨されません。正しくは:膝に衝撃の少ない運動(例:ウォーキング、水中運動、自転車エルゴメーター)を選択する。選びやすい理由:運動不足解消や体力向上に良い運動だと考えるかもしれませんが、膝への負荷を考慮していません。混同注意:健康な人の運動療法と、変形性膝関節症患者への指導を混同する可能性があります。
国試ポイント
変形性膝関節症の病態と、それに対する適切な運動療法(特に避けるべき動作と推奨される動作)の知識が問われています。膝関節への負担の大小を理解し、患者の症状を悪化させずに効果的なリハビリテーションを促す選択肢を見極める能力が必要です。
混同注意
痛みがあるからといって過度な安静が良いという誤解や、膝の可動域を広げるための積極的な動作(正座など)が必ずしも良いとは限らないという点。また、一般的な運動(ジョギング、階段昇降)と疾患を持つ患者への運動指導の違い。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、変形性膝関節症の患者に対して「膝関節への負担軽減」と「筋力維持・強化」を両立できる運動かどうかを判断の軸とします。特に、浮力や非荷重下での運動が有効な選択肢となりやすいです。
関連知識
変形性膝関節症の病期に応じた治療方針(保存療法、手術療法)、薬物療法、装具療法、運動療法の具体的な内容(大腿四頭筋強化訓練、ストレッチングなど)、日常生活指導(体重管理、生活環境の調整)。