70歳の男性。5年前にParkinson病と診断。現在はHoehn & YahrステージⅢ。歩行は自立しているが、すくみ足、動作緩慢、姿勢反射障害を認め、屋内移動でバランスを崩すことがある。しゃがみ込みで後方への転倒歴あり。自宅は築30年の木造平屋である。最優先して取り組むべき住環境整備はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
パーキンソン病の患者はすくみ足や姿勢反射障害により転倒リスクが高く、特に後方転倒の既往があるため、段差をなくし、つまずきのリスクを低減することが優先されます。敷居やすき間はすくみ足の誘因ともなるため、すり付け板の設置は最も効果的な対策です。
選択肢ごとの解説
- 1. 浴槽は深いタイプであり、手すりの設置は必要だが、すくみ足や姿勢反射障害による屋内移動時の転倒リスクへの直接的な対応としては、段差解消の優先順位がより高い。この患者はすくみ足やバランスを崩す症状があるため、まず屋内移動の安全確保が優先される。正しくは:浴槽をまたぐ動作の負担を軽減するため、浴槽内に踏み台を置く、または浅い浴槽への交換、浴室手すりの設置も検討する。選びやすい理由:入浴動作は転倒リスクが高い活動の一つであるため、手すりの設置は一般的に有用な対策である。混同注意:一般的な高齢者の転倒予防策としての手すり設置と、パーキンソン病患者特有のすくみ足や姿勢反射障害に対する段差解消の優先順位。
- 2. 玄関の上り框への手すり設置は、バランス保持に役立つが、患者は家の中を移動する際にバランスを崩すことが多く、また、すくみ足も問題となっているため、屋内の段差解消の方が優先順位が高い。特に「家の中を移動する際にバランスを崩す」という記述から、室内での転倒リスクが高いことが示唆される。正しくは:玄関の上り框への手すり設置は、外出や帰宅時の安全確保に有効だが、まずは屋内での転倒リスクの高い箇所への対策を優先する。選びやすい理由:玄関は段差があり、靴の着脱動作を伴うため、手すりの設置は転倒予防に効果的と捉えられやすい。混同注意:玄関での転倒リスクと、屋内での転倒リスクの相対的な優先順位。
- 3. すり付け板の設置は、敷居の段差やすき間を解消し、すくみ足によるつまずきや転倒のリスクを軽減する。特にパーキンソン病の患者はすくみ足や姿勢反射障害により段差でバランスを崩しやすいため、家の中の移動の安全を確保するために最も優先される対策である。
- 4. 正解。和式便座から洋式便座への簡易取り付け型への変更は、立ち座りの動作を楽にするが、便座の高さが低いため、姿勢反射障害がある場合は立ち上がりにくく、むしろ転倒のリスクを高める可能性がある。便座の高さ調整ができるものや、手すりの設置の方が適切である。正しくは:洋式便座への変更と合わせて、立ち上がり動作を補助する便座の高さ調整や、手すりの設置を検討する。選びやすい理由:和式便座からの立ち上がりが困難になるため、洋式への変更は一見良い対策に見える。混同注意:一般的な高齢者のトイレ動作の負担軽減と、パーキンソン病患者の姿勢反射障害を考慮した適切なトイレ環境整備。
- 5. 畳を毛足の長いじゅうたんに変更すると、足が引っかかりやすくなり、すくみ足の患者にとってはむしろ転倒リスクが高まる。また、車椅子の使用なども考慮すると、床面は滑りにくく、つまずきにくい平坦な硬質床が望ましい。正しくは:畳は滑りにくく、つまずきにくいフローリングや、毛足の短いカーペット、または畳のままであれば滑り止め加工を施すなど、安全な床面に変更する。選びやすい理由:じゅうたんは転倒時の衝撃を吸収し、けがの程度を軽減する効果があると考えられやすい。混同注意:転倒時の衝撃緩和と、転倒自体を予防するための床材の選択。
国試ポイント
パーキンソン病患者の転倒リスクとその対策(住環境整備)
混同注意
転倒予防の住環境整備において、手すりの設置と段差解消の優先順位を混同しやすい。活動レベルに応じたリスクの高い場所の対策を優先する。
次に同じ論点が出たら
同様の症例が出た場合、パーキンソン病の病期、具体的な症状(すくみ足、姿勢反射障害、転倒の既往)、自宅の構造(平屋、段差の有無)を確認し、最も転倒リスクの高い場所や状況を改善する選択肢を選ぶ。
関連知識
パーキンソン病の姿勢反射障害は、特に後方への重心移動に対する平衡反応が障害されやすく、後方転倒のリスクが高い。Hoehn & YahrステージⅢは、日常生活活動は自立しているものの、姿勢反射障害が出現し、転倒の危険性が増す段階である。