70歳の男性。1年前から誘因なく四肢末梢の感覚障害と筋力低下が出現している。次第に脱力は進行し、手指の巧緻性低下と歩行障害をきたしている。頸部MRIのT2強調像(別冊No. 2)を別に示す。頸髄の変化が最も大きい部位はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
頸椎MRIで脊髄の圧迫と信号変化が最も強い部位は第4頸椎・第5頸椎間であり、ここが責任病巣と考えられます(公式正答3)。
選択肢ごとの解説
- 1. 第2頸椎・第3頸椎間には、責任病巣となる明らかな脊髄の圧迫は認められません。正しくは:T2強調像において高信号域が最も強く認められる部位を選択する。選びやすい理由:高位の脊髄病変を疑う可能性もあるが、画像所見との整合性がない。混同注意:他の椎間レベルとのMRI所見の比較ができていない可能性がある。
- 2. 第3頸椎・第4頸椎間は、最も強い圧迫部位ではありません。正しくは:T2強調像において高信号域が最も強く認められる部位を選択する。選びやすい理由:中位頸椎のレベルも脊髄症の好発部位の一つだが、提示画像では最も強い変化ではない。混同注意:画像から最も強い変化を読み取れていない可能性。
- 3. 正解。MRIで脊髄の圧迫と信号変化が最も強いのは第4頸椎・第5頸椎間であり、責任病巣と考えられます。選びやすい理由:最も高信号域が明瞭で、臨床症状とも関連が深い。混同注意:他の椎間レベルでのわずかな変化と混同する可能性。
- 4. 第5頸椎・第6頸椎間は、最も強い圧迫部位ではありません。正しくは:T2強調像において高信号域が最も強く認められる部位を選択する。選びやすい理由:C5/C6レベルと同様に頸髄症の好発部位であり、ある程度の変化は認められるため迷う可能性がある。混同注意:最も強い変化と、次いで強い変化を見分けることができていない可能性。
- 5. 第6頸椎・第7頸椎間には、責任病巣となる明らかな脊髄の圧迫は認められません。正しくは:T2強調像において高信号域が最も強く認められる部位を選択する。選びやすい理由:より末梢の症状があるため、胸椎に近い頸髄下部を考えるかもしれないが、画像所見と一致しない。混同注意:頸髄の解剖学的位置関係を正確に把握できていない可能性。
国試ポイント
本問題は、頸髄症患者の臨床症状とMRI画像所見(特にT2強調像における脊髄内の高信号変化)を関連付けて、病変の最も強い部位を特定する能力を問うものです。国家試験では、MRI画像読影の基礎知識、特に脊髄症におけるT2強調像の高信号域の意味、そしてその局在と症状の対応関係が頻繁に問われます。
混同注意
頸髄症は複数のレベルで病変が見られることも少なくありません。そのため、わずかな変化があるレベルと、最も強い変化を示すレベルを正確に区別することが重要です。また、T1強調像とT2強調像の違い、各撮像法で何が評価できるのかを混同しないように注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に類似問題が出題された場合、まず臨床症状から病変部位のおおよその見当をつけ、次に画像診断(特にMRIのT2強調像)で脊髄実質の高信号変化の有無とその程度、さらには脊髄の圧迫の程度や原因(椎間板ヘルニア、骨棘、後縦靭帯骨化症など)を確認し、最も顕著な病変部位を特定できるかを判断します。また、神経学的所見(感覚レベル、筋力、深部腱反射など)と画像所見の対応関係を問われる可能性もあります。
関連知識
頸髄症の診断には、X線、MRI、CTなどの画像診断が用いられます。特にMRIは脊髄実質や神経根、椎間板、靭帯などの軟部組織の状態を詳細に評価するのに優れています。T2強調像で脊髄内に高信号域が認められる場合、脊髄実質の浮腫や変性が示唆され、症状と合わせて重症度を評価する重要な所見となります。C5/C6レベルは頸椎の可動性が大きく、変性性変化や圧迫性脊髄症が生じやすい部位の一つです。