非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉の副作用として正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
NSAIDsはプロスタグランジン合成酵素(シクロオキシゲナーゼ、COX)を阻害することで、抗炎症、鎮痛、解熱作用を発揮します。しかし、プロスタグランジンは胃粘膜保護作用も担っているため、その合成が阻害されることで胃粘膜の防御機能が低下し、胃潰瘍や胃炎、消化管出血といった消化器系の副作用が頻繁に発生します。これはNSAIDsの最もよく知られた副作用の一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。NSAIDsはプロスタグランジン合成を阻害することで炎症や痛みを抑えますが、このプロスタグランジンは胃粘膜保護にも関与しています。そのため、NSAIDsの服用により胃粘膜保護作用が低下し、胃潰瘍や消化管出血を引き起こしやすくなります。
- 2. 低血糖は主に糖尿病治療薬(インスリン製剤やスルホニル尿素薬など)の副作用として起こります。NSAIDsは通常、低血糖を引き起こすことはありません。正しくは:低血糖は、糖尿病治療薬の副作用として起こりやすい症状です。選びやすい理由:薬の副作用全般として考えると、血糖値の異常はあり得ると思われがちですが、NSAIDsの特異的な副作用ではありません。混同注意:血糖値の異常(高血糖や低血糖)と、消化器系の副作用(胃潰瘍、消化管出血)を混同する可能性があります。
- 3. 多幸感は、モルヒネなどのオピオイド系鎮痛薬やステロイド、一部の精神安定剤などで見られることがあります。NSAIDsは多幸感を引き起こす作用はありません。正しくは:多幸感は、オピオイド系鎮痛薬やステロイドの副作用として報告されることがあります。選びやすい理由:痛み止めが効いて気分が良くなることを、間接的に多幸感と結びつける誤解が生じるかもしれません。混同注意:鎮痛作用を持つ薬の精神作用と、NSAIDsの薬理作用を混同する可能性があります。
- 4. 骨粗鬆症は、長期にわたる副腎皮質ステロイド薬の服用などで見られる副作用です。NSAIDsは骨代謝に直接的な影響を与え、骨粗鬆症を引き起こすことはありません。正しくは:骨粗鬆症は、副腎皮質ステロイド薬の長期服用により引き起こされることがあります。選びやすい理由:関節炎などの炎症性疾患の患者がNSAIDsを服用していることが多く、これらの患者は高齢であることも多いため、骨粗鬆症と関連付けて考えてしまう可能性があります。混同注意:ステロイド性抗炎症薬と非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の副作用を混同する可能性があります。
- 5. 中心性肥満は、クッシング症候群の症状や、副腎皮質ステロイド薬の長期服用による代表的な副作用です。NSAIDsは中心性肥満を引き起こしません。正しくは:中心性肥満は、副腎皮質ステロイド薬の長期服用による特徴的な副作用です。選びやすい理由:ステロイド性抗炎症薬の副作用である中心性肥満を、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の副作用と誤解する可能性があります。混同注意:ステロイド性抗炎症薬とNSAIDsを混同し、ステロイドの副作用がNSAIDsにも当てはまると考えてしまう可能性があります。
国試ポイント
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の主要な薬理作用と、それに関連する副作用について正確に理解しているかを問う問題です。特に、プロスタグランジンが複数の生理機能に関与している点を把握しているかが重要になります。他の選択肢は、ステロイド薬や糖尿病治療薬など、異なる薬物の副作用が提示されており、それぞれの薬物の特徴的な副作用を区別できるかが試されています。
混同注意
NSAIDsとステロイド性抗炎症薬の副作用を混同しやすい。特に、ステロイド薬の代表的な副作用である骨粗鬆症や中心性肥満をNSAIDsの副作用と誤認することが考えられます。また、薬の副作用全般として、低血糖などの代謝異常を関連付けて考えてしまうこともあります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合は、NSAIDsの消化器系以外の副作用(腎機能障害、アスピリン喘息など)や、COX-2選択的阻害薬の利点と心血管系リスクについて問われる可能性があります。また、ステロイド薬との比較問題として、それぞれの副作用を詳細に区別する能力が求められるでしょう。
関連知識
NSAIDsの主な薬理作用(抗炎症、鎮痛、解熱)。COX-1とCOX-2の選択的阻害薬の違いとその副作用プロファイル。プロスタグランジンの生理作用(胃粘膜保護、腎血流調節、血小板凝集など)。ステロイド性抗炎症薬の主な副作用(クッシング様症状、骨粗鬆症、易感染性、糖尿病など)。