鼻腔からの喀痰吸引で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
成人の鼻腔からの喀痰吸引における吸引時の陰圧設定は、気道粘膜への損傷を最小限に抑えつつ、効果的に痰を除去するために非常に重要です。一般的に、成人では15~20kPa(約100~150mmHg)が推奨される適切な吸引圧の範囲とされており、選択肢1の16~20kPaはこの基準に合致しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。喀痰吸引における吸引圧は、成人では通常15~20kPa(約100~150mmHg)が適切とされており、この範囲は気道粘膜への損傷を最小限に抑えつつ効果的な吸引を可能にします。提示された16~20kPaはその推奨範囲内です。
- 2. 鼻腔からの吸引では、カテーテルは通常、咽頭後壁に達するまでおおよそ10~15cm程度の挿入が目安とされています。30cmは過剰な挿入長であり、気道粘膜を損傷するリスクがあります。正しくは:カテーテルは咽頭後壁に達するまで、おおよそ10~15cm程度挿入する。選びやすい理由:気管内吸引(成人で約20-25cm)や経鼻胃管の挿入長(約40-50cm)と混同しやすいため、長い挿入長が正しいと誤認する可能性があります。混同注意:気管内吸引カテーテルの挿入長や経鼻胃管の挿入長。
- 3. 一回の吸引時間は、低酸素血症や迷走神経反射による不整脈のリスクを避けるため、通常5~15秒以内にとどめるべきです。30秒以上は非常に長く、患者に深刻な影響を及ぼす可能性があります。正しくは:一回の吸引は10~15秒以内で行う。選びやすい理由:吸引の必要性を強く感じると、長く吸引した方が効果的だと誤解しやすい心理が働くことがあります。混同注意:吸引の総回数や、吸引以外の他の処置の実施時間。
- 4. 一般的に、口腔内の刺激は嘔吐反射を誘発しやすい部位が多く、鼻腔からの吸引に比べて口腔からの吸引の方が嘔吐反射は出現しやすいとされています。鼻腔からの吸引は比較的嘔吐反射が出にくい傾向があります。正しくは:口腔からの吸引に比べ、嘔吐反射が出現しにくい。選びやすい理由:鼻腔へのカテーテル挿入も不快感を伴うため、不快感と嘔吐反射を直結させて考えてしまう可能性があります。また、咽頭後壁への刺激は嘔吐反射を起こしやすいため、カテーテルが深く挿入されれば鼻腔からでも嘔吐反射は起こりえますが、口腔と比較した場合の一般論としては誤りです。混同注意:刺激による不快感と嘔吐反射の誘発頻度。
- 5. 経鼻胃管が留置されている患者でも、鼻腔からの喀痰吸引は実施可能です。経鼻胃管が挿入されている側の鼻腔は狭くなっているため、反対側の鼻腔を使用するか、細いカテーテルを使用するなどの配慮が必要ですが、実施自体が不可能というわけではありません。正しくは:経鼻胃管が留置されている患者にも、反対側の鼻腔から実施できる場合がある。選びやすい理由:鼻腔が経鼻胃管によって物理的に塞がれているため、実施が困難である、あるいは禁忌であると誤解しやすいです。混同注意:鼻腔の閉塞状態が吸引手技の絶対的な禁忌であるという誤解。
国試ポイント
喀痰吸引は、その手技が患者の呼吸と生命に直結する医療行為であるため、手技の具体的な手順、適切な器具の選択、安全管理、禁忌事項、合併症に関する知識が頻繁に問われます。特に、吸引圧、吸引時間、カテーテルの挿入長、カテーテルサイズ、実施可能な状況とできない状況といった具体的な数値や条件について正確な知識が求められます。
混同注意
鼻腔からの吸引、口腔からの吸引、気管内吸引のそれぞれの特徴、特にカテーテル挿入長や嘔吐反射の出やすさ、および吸引圧や吸引時間の基準を混同しやすいです。また、小児や乳児と成人での吸引圧やカテーテルサイズの基準も異なるため注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が問われた場合、吸引圧、吸引時間、カテーテル挿入長、カテーテルサイズ、合併症、禁忌事項、患者への声かけなどの手技全体の流れや管理に関する具体的な数値や注意点に注目して選択肢を検討する視点を持つと良いでしょう。
関連知識
吸引圧の目安:成人15-20kPa(100-150mmHg)、小児10-13kPa(75-100mmHg)、乳児7-10kPa(50-75mmHg)。吸引時間:1回あたり5-15秒以内。カテーテル挿入長:鼻腔からの場合、咽頭後壁まで約10-15cm。気管内吸引の場合、気管内チューブ先端からさらに2-3cm(成人で約20-25cm)。合併症:低酸素血症、不整脈、気道粘膜損傷、感染、気管支痙攣、迷走神経反射(徐脈、血圧低下)など。禁忌:頭蓋底骨折、顔面骨折、凝固障害、喉頭痙攣、気管狭窄など。