65歳の男性。喫煙歴40年。最近、階段を昇ると強い息切れを感じるようになり受診。FEV1:1.2 L、%VC:82 %、FEV1/FVC:55 %、SpO2:95 %(安静時)、mMRCスケールはGrade 2であった。日中は自宅で過ごすことが多く、洗濯や簡単な料理などは自分で行っている。 この患者に当てはまる疾患で最も適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
症例は喫煙歴40年の男性で、労作時の息切れがあり、FEV1/FVC(1秒率)が55 %と70 %未満に低下している一方、%VCは82 %と保たれています。これは閉塞性換気障害を示し、喫煙歴と合わせてCOPD(慢性閉塞性肺疾患)が最も適切です(公式正答1)。肺線維症は%VCが低下する拘束性換気障害を示します。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。COPDは喫煙などの有害物質曝露が原因で慢性的な気道炎症と肺胞破壊が生じ、非可逆的な気流閉塞を特徴とする疾患です。労作時呼吸困難、慢性咳嗽、喀痰が主な症状であり、この患者の症状と合致します。選びやすい理由:症状がCOPDの典型的な症状と一致するため、最も適切な診断として選びやすいです。混同注意:喘息
- 2. 肺線維症は肺の間質に線維化が進行する疾患であり、拘束性換気障害が主病態です。COPDのような気流閉塞とは異なります。症状は労作時呼吸困難、乾性咳嗽が主ですが、病態が異なります。正しくは:診断には高分解能CTで線維化のパターンを確認し、スパイロメトリーでは拘束性換気障害を呈します。選びやすい理由:労作時呼吸困難は共通する症状であるため、混同しやすいですが、病態生理が異なります。混同注意:COPD(閉塞性換気障害と拘束性換気障害の区別)
- 3. 肺結核後遺症は過去の結核感染により肺組織に線維化や空洞形成、気管支拡張などが生じた状態です。呼吸困難を呈することがありますが、結核の既往が診断には不可欠であり、本症例の情報だけでは判断できません。正しくは:胸部X線やCTで陳旧性病変を確認し、過去の結核感染歴の確認が必要です。選びやすい理由:慢性的な呼吸器症状があるため、可能性の一つとして考えがちですが、特異的な既往歴がないため、最も適切とは言えません。混同注意:他の慢性呼吸器疾患一般
- 4. 原発性肺高血圧症は、肺動脈圧が上昇する疾患で、心臓や肺の基礎疾患がない場合に診断されます。労作時呼吸困難は主要症状ですが、COPDのような気流閉塞を直接的に示すものではありません。正しくは:心エコー検査や右心カテーテル検査で肺動脈圧の上昇を確認します。選びやすい理由:労作時呼吸困難は共通の症状であるため、混同しやすいですが、病態が循環器系に主たる原因があります。混同注意:肺性心(COPDの合併症としての肺高血圧症)
- 5. Duchenne型筋ジストロフィーは、X連鎖劣性遺伝性の進行性筋力低下を特徴とする神経筋疾患です。進行すると呼吸筋麻痺による呼吸不全を呈しますが、直接的な肺疾患ではありません。正しくは:筋生検や遺伝子検査で診断し、筋力低下やCPK上昇などの所見を伴います。選びやすい理由:進行すると呼吸困難を引き起こす可能性があるため、呼吸器症状から連想されるかもしれませんが、病態が大きく異なります。混同注意:呼吸筋麻痺を伴う他の神経筋疾患
国試ポイント
COPDの診断基準、病態生理、および他の呼吸器疾患との鑑別点を理解することが重要です。
混同注意
喘息は可逆性の気道閉塞が特徴であるのに対し、COPDは非可逆性の気流閉塞が特徴です。間質性肺炎は肺胞壁の線維化が主病変であり、閉塞性換気障害を呈するCOPDとは病態が異なります。
次に同じ論点が出たら
患者の病歴(喫煙歴など)、症状(労作時呼吸困難、慢性的な咳・痰)、身体所見、およびスパイロメトリーの結果を総合的に評価し、気流閉塞の有無と程度を判断します。
関連知識
COPDの診断はスパイロメトリーによる気流閉塞の確認(FEV1/FVC<70%)が必須です。GOLD分類による重症度分類、禁煙指導、薬物療法(気管支拡張薬など)、呼吸リハビリテーションが治療の柱となります。