Hoehn & Yahrの重症度分類ステージⅢのParkinson病への作業療法で最も適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Hoehn&Yahrの重症度分類ステージⅢのパーキンソン病患者は、姿勢反射障害が見られ、転倒しやすい傾向にあります。そのため、体幹の屈曲姿勢を改善し、バランス能力を向上させる介入が重要です。棒体操による頸部体幹伸展運動は、姿勢の改善と転倒予防に直接的に寄与するため、このステージで最も適切な作業療法と言えます。その他の選択肢は、このステージの患者の現在の状態やニーズには合致しないか、時期尚早または困難を伴う可能性が高いです。
選択肢ごとの解説
- 1. Hoehn&YahrステージⅢでは、まだ自力での歩行が可能であり、車椅子を常用する段階ではありません。この時期は自立歩行の維持や転倒予防が主な焦点となります。正しくは:「歩行訓練やバランス練習」選びやすい理由:病気の進行を考えると将来的に車椅子が必要になるため、選択肢として考慮してしまう可能性があります。混同注意:ステージIVやVといった、さらに進行して歩行が困難になる段階での介入と混同しやすいです。
- 2. 万能カフは、手指の巧緻運動や握力の大幅な低下により、食事や整容動作が著しく困難になった場合に導入されることが多いです。ステージⅢではADLは自立しており、まだすぐに導入が必要な段階であることは稀です。より進行した段階や、個別の症状に応じて検討されます。正しくは:「箸やスプーンの柄の太さを調整するなどの工夫」選びやすい理由:手指の震えや動作緩慢が始まるため、何らかの自助具が必要だと考えやすいです。混同注意:手指機能がかなり低下した進行期の代償手段と混同しやすいです。
- 3. 音声入力によるパソコン操作は、書字やタイピング能力が著しく低下した場合に検討される代償手段です。ステージⅢではまだそこまでの機能低下は一般的ではなく、手による操作を維持・改善するアプローチが優先されます。正しくは:「キーボードやマウス操作を容易にするための環境調整や練習」選びやすい理由:パーキンソン病の進行で手指の巧緻性が低下することを考慮すると、代替手段として適切に見えるかもしれませんが、このステージでは時期尚早です。混同注意:手指機能が高度に低下した進行期の代償手段と混同しやすいです。
- 4. 正解。パーキンソン病患者は体幹の屈曲姿勢(前かがみ)や円背になりやすく、Hoehn&YahrステージⅢでは姿勢反射障害により転倒リスクが増大します。棒体操による頸部・体幹の伸展運動は、姿勢の改善とバランス能力の維持・向上に直接的に寄与し、転倒予防にも繋がるため、このステージにおいて最も適切な介入です。
- 5. パーキンソン病では、振戦、固縮、動作緩慢などの症状により、細かい巧緻運動が困難になりやすいです。ステージⅢではこれらの症状が既に現れていることが多いため、細かいビーズを使った手芸は達成感を得にくく、フラストレーションの原因となる可能性があります。正しくは:「比較的粗大運動を伴う手芸や園芸活動」選びやすい理由:手先の運動を促す活動として良いように見えますが、実際の身体能力に合わない可能性があります。混同注意:手先の運動を促す活動の重要性は理解しつつも、パーキンソン病の特性を考慮した適切な難易度設定と混同しやすいです。
国試ポイント
Hoehn&Yahrの重症度分類とパーキンソン病の各ステージにおける身体機能、ADL、およびそれらに対応する作業療法の具体的な介入内容を理解しているかが問われます。特に、ステージⅢで顕著になる姿勢反射障害と転倒リスク、およびそれに対する姿勢改善アプローチの重要性がポイントとなります。
混同注意
パーキンソン病の進行度に応じた介入内容の選択。特に、初期段階での機能維持・改善、中期段階での転倒予防・姿勢改善、後期段階での代償手段の導入といった段階的アプローチの区別がつきにくいです。各ステージでできることとできないこと、必要となる援助の内容を正確に把握していないと、時期尚早な介入や、難しすぎる介入を選択してしまう可能性があります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、まず「Hoehn&Yahr分類のどのステージか」を確認し、そのステージの患者が抱える「主要な問題点」を特定します。その後、「その問題点に対して最も効果的かつ実現可能な介入は何か」という視点で選択肢を評価します。特に、パーキンソン病の進行に伴う具体的な症状の変化と、それに合わせた作業療法の介入方法(例:代償手段、環境調整、運動療法)を再確認することが重要です。
関連知識
Hoehn&Yahrの重症度分類の各ステージの定義。パーキンソン病の主要症状(振戦、固縮、無動・動作緩慢、姿勢反射障害)。パーキンソン病に対する作業療法の原則(身体機能維持、ADL支援、転倒予防、精神的支援、環境調整、レクリエーション活動)。姿勢反射障害と転倒の関係。