標準予防策〈standard precautions〉について正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
標準予防策は、感染源の特定によらず、すべての患者に対して適用される普遍的な感染予防策です。この原則に基づき、汗を除く全ての体液、血液、分泌物、排泄物、損傷した皮膚、粘膜は感染性を持つ可能性があるものとして取り扱われます。これにより、医療従事者から患者、患者から医療従事者、そして患者から患者への病原体伝播のリスクを低減することを目的としています。
選択肢ごとの解説
- 1. 標準予防策における手洗いは、石鹸と水を用いた場合、少なくとも15秒から30秒間、アルコール製剤を用いた場合も規定された時間(通常は20~30秒)をかけて適切に行うことが推奨されています。7秒では不十分です。正しくは:手洗いは少なくとも15秒以上かけて適切に行う。選びやすい理由:手洗いの重要性は理解していても、具体的な推奨時間を正確に覚えていない場合に、短時間で済ませるイメージで誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:単に「手洗い」という行為の重要性と、その具体的な「実施時間」や「方法」が混同されやすいです。
- 2. 血圧測定は通常、血液や体液、損傷した皮膚、粘膜などへの接触が予期されないため、手袋の着用は必須ではありません。手袋は、これらの物質に接触する可能性がある場合に着用します。正しくは:血液や体液、損傷した皮膚、粘膜などに接触する可能性がある処置を行う際に手袋を着用する。選びやすい理由:感染予防の意識が高いと、あらゆる医療行為で手袋を着用することが良いことだと考えがちですが、標準予防策は状況に応じて適切な対応を求めるため、過剰な対策は必ずしも正しいとは限りません。混同注意:一般的な「感染対策」と、具体的な「標準予防策」における手袋着用の「必要性判断」が混同されやすいです。
- 3. 患者の隔離は、標準予防策ではなく「感染経路別予防策」の一部です。標準予防策は、すべての患者に対して適用される基本的な感染予防策であり、特定の感染症の有無に関わらず実施されます。正しくは:特定の感染経路で伝播する可能性のある感染症患者に対しては、感染経路別予防策として隔離などの対策を講じる。選びやすい理由:「感染症予防」という広い概念の中で、隔離が重要な対策の一つであるため、標準予防策にも含まれると誤解しやすいです。混同注意:「標準予防策」と「感染経路別予防策(空気感染予防策、飛沫感染予防策、接触感染予防策)」の区別が混同されやすいです。
- 4. 標準予防策の目的は、すべての患者の血液、体液、排泄物、損傷皮膚、粘膜などを感染性があるものとみなし、医療従事者がそれらに接触する機会から自身を守るとともに、患者から患者へ、または患者から医療従事者への感染伝播を防ぐことです。患者間だけでなく、医療従事者を含めた広い範囲での感染予防が目的です。正しくは:すべての患者の血液、体液、排泄物、損傷皮膚、粘膜などを感染性があるものとみなし、それらからの感染伝播を多方向的に防ぐことが目的である。選びやすい理由:「感染予防」というキーワードから、患者間の感染予防が主要な目的の一つであると認識しやすいため、正しい選択肢のように感じてしまうことがあります。混同注意:標準予防策の目的が「誰に対して」「何を対象に」「何を防ぐのか」という具体的な範囲と、漠然とした「感染予防」という概念が混同されやすいです。
- 5. 正解。標準予防策の基本原則は「Universal Precautions」の考え方に基づき、すべての患者の血液、体液、排泄物(汗を除く)、損傷皮膚、粘膜を感染性があるものとみなして対処することです。これにより、診断の有無にかかわらず、未知の病原体からの感染リスクを低減します。
国試ポイント
標準予防策の基本的な概念と、その具体的な適用範囲および実践内容(手洗い、個人防護具の着用、医療器具の取り扱いなど)を正確に理解しているかが問われます。特に、感染経路別予防策との違いや、すべての患者を対象とすることの重要性がポイントです。
混同注意
標準予防策(Standard Precautions)と感染経路別予防策(Transmission-Based Precautions)がよく混同されます。また、手洗いの具体的な方法や個人防護具(PPE)着用の判断基準についても誤解が生じやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合は、各個人防護具(手袋、マスク、ガウン、ゴーグル)の適切な着用場面や、針刺し事故発生時の対応、医療廃棄物の分別方法など、より具体的な状況設定での判断能力が問われる可能性があります。
関連知識
医療安全、感染管理、病院感染対策、個人防護具(PPE)の種類と使用方法、医療廃棄物の処理、安全な針の取り扱い。