疾患と自助具の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
頸髄損傷では、損傷レベルに応じて上肢機能が大きく制限されます。特に重度の頸髄損傷では手指の巧緻動作や把持が困難となるため、口で操作するマウススティック(ヘッドポインターやスイッチ操作など様々な形態がある)は、パソコン操作や環境制御のための有効な手段となります。これは疾患による機能障害と自助具の目的が合致した適切な組み合わせです。
選択肢ごとの解説
- 1. アテトーゼ型脳性麻痺では不随意運動により細かい動作が困難な場合が多いですが、ソックスエイドは主に体幹の可動域制限やリーチ動作が困難な場合に用いる自助具であり、症状との直接的な関連性は低いです。正しくは:アテトーゼ型脳性麻痺には、スプーンやフォークの柄を太くする、滑りにくい食器を使用する、重みのあるカトラリーを使用するなどの自助具が適している場合があります。選びやすい理由:ソックスエイドは下肢へのリーチが困難な場合に役立つため、何らかの運動機能障害を持つ患者全般に有効だと誤解する可能性があります。混同注意:ソックスエイドは股関節や体幹の可動域制限、筋力低下などによるリーチ困難に対して有効であり、アテトーゼによる不随意運動のコントロール困難とは異なる状況に適応します。
- 2. 関節リウマチでは手指の変形や痛みにより細かいキー操作が困難になることはありますが、キーボードカバー(キートップを覆い、キーを区切って打ち間違いを防ぐもの)は主に不随意運動や手の震え、視覚障害などによる誤操作を防ぐ目的で使用されます。関節リウマチの症状には直接的に適していません。正しくは:関節リウマチには、握りやすいように柄を太くしたペンや食器、プルトップオープナー、チャックの引き手を大きくするなどの手指の負担を軽減する自助具が適しています。選びやすい理由:キーボード操作が困難という点では共通するため、どのような原因であれキーボードカバーが有効だと考えてしまうかもしれません。混同注意:キーボードカバーは主に不随意運動や協調運動障害、視覚障害による誤入力を防ぐ目的で、関節リウマチによる関節痛や変形による操作困難とは異なるニーズに対応します。
- 3. 正解。頸髄損傷により上肢の機能が著しく障害され、手指でのキーボードやマウス操作が困難な場合、口やくわえ棒(マウススティック)を使ってパソコンを操作することは一般的な代償手段であり、非常に有効な自助具の組み合わせです。正しくは:この組み合わせは適切です。選びやすい理由:特になし。頸髄損傷における上肢機能障害は重度であることが多く、マウススティックのような補助具は容易に結びつきやすいです。混同注意:特に混同しやすい点はありません。
- 4. 脊髄小脳変性症では協調運動障害や平衡機能障害、構音障害などが主症状であり、リーチ動作の困難さもあるかもしれませんが、リーチャー(手の届かない物を取るための棒状の自助具)は主に体幹や股関節の可動域制限、筋力低下、低身長などによるリーチ困難に対して使用されます。不随意運動や巧緻運動障害が主たる原因となる脊髄小脳変性症のリーチ困難には直接的な解決策とはなりにくいです。正しくは:脊髄小脳変性症には、重心動揺を抑えるための重みのある食器やコップ、握りやすい柄のカトラリー、転倒予防のための歩行補助具などが適している場合があります。選びやすい理由:リーチ困難というキーワードから、リーチャーがどんな状況でも有効であると誤解する可能性があります。混同注意:リーチャーは可動域制限や筋力低下によるリーチ困難に対応し、脊髄小脳変性症の主症状である協調運動障害や不随意運動によるリーチ困難とはニーズが異なります。
- 5. Parkinson病の症状として固縮や振戦、動作緩慢、姿勢反射障害などがありますが、万能カフは主に握力低下や手指の変形により物品を把持しにくい場合に、スプーンや歯ブラシなどを保持するために用いられます。Parkinson病の主症状である振戦や固縮、動作緩慢に対する直接的な自助具としては不適切です。正しくは:Parkinson病には、重みのある食器やコップ(振戦対策)、滑り止めマット(食器の固定)、ボタンエイド、ジッパーフック(動作緩慢対策)などが適している場合があります。選びやすい理由:Parkinson病患者も握力低下や手指の操作困難を訴えることがあるため、万能カフが有効だと考えてしまう可能性があります。混同注意:万能カフは主に把持機能の低下(握力低下、手指変形など)に対応し、Parkinson病の主症状である振戦や固縮、動作緩慢による食事動作の困難とは異なる状況に適応します。
国試ポイント
この問題は、主要な疾患による身体機能障害と、それに対応する一般的な自助具の適切な組み合わせを問うものです。各疾患の主症状と、それぞれの自助具がどのような機能障害を補完するのかを正確に理解しているかが試されます。
混同注意
多くの学生が、各疾患におけるADL困難の一般的なイメージから、一見すると関連があるように見える誤った選択肢を選んでしまう可能性があります。自助具の『具体的な目的』と『対象とする機能障害』を明確に区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、疾患の『主たる機能障害』が何か、そしてその自助具が『どの機能障害を補う目的』で作られているのかを照らし合わせるように注意して選択肢を評価する必要があります。
関連知識
自助具の種類と適応、各疾患の主症状とADLへの影響、上肢機能障害と代償手段、ICTを活用した支援機器。