代謝について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
選択肢1の「エネルギー代謝率(RMR)は基礎代謝量を基準とした運動強度である」は、RMRが安静時代謝量を基準とするエネルギー消費率を意味し、運動強度を示す指標として解釈できるため正しいです。厳密にはMETs(代謝当量)が運動強度を示す主要な指標として使われますが、RMRも活動時のエネルギー消費を評価する上で基礎代謝量を基準とする概念であるため、この記述は適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。エネルギー代謝率(RMR: Resting Metabolic Rate)は、身体活動時のエネルギー消費量が基礎代謝量の何倍にあたるかを示す指標であり、運動強度を表します。選択肢でRMRと記載されていますが、通常は運動強度を示す指標としてはMETs(Metabolic Equivalent of Task:代謝当量)が用いられることが多いです。しかし、RMRも安静時代謝量を基準としたエネルギー消費率を指すため、運動強度を示す概念として広く捉えれば正しい記述となります。特に、BMR(基礎代謝量)を基準としている点が重要です。
- 2. 基礎代謝量(BMR: Basal Metabolic Rate)は、体重だけでなく、身長、年齢、性別、体表面積、筋肉量など様々な要因に影響されます。特に、体重に直接比例するわけではなく、体重あたりのBMRは個人差が大きく、筋肉量が多いほど高くなる傾向があります。正しくは:基礎代謝量(BMR)は、同じ性別で同年齢の場合でも、体格(特に体表面積や筋肉量)や年齢、性別などの複数の要因によって異なり、体重に直接比例するわけではありません。選びやすい理由:体重が重い人の方が消費エネルギーが多いというイメージから、体重に比例すると考えてしまいがちです。しかし、脂肪量と筋肉量では代謝量が異なるため、一概に体重に比例するとは言えません。混同注意:基礎代謝は体格が大きいほど高い傾向があるため、体重との関連性があることは事実ですが、比例関係にあるわけではない点です。特に筋肉量と脂肪量の違いを考慮しないと誤解しやすいです。
- 3. 呼吸商(RQ: Respiratory Quotient)は、生体内で消費される酸素量と産生される二酸化炭素量の比率であり、どの栄養素(糖質、脂質、タンパク質)が主にエネルギー源として使われているかによって値が変動します。糖質は約1.0、脂質は約0.7、タンパク質は約0.8となり、一定ではありません。正しくは:呼吸商(RQ)は、摂取する栄養素の種類(糖質、脂質、タンパク質など)によって異なる値を示します。選びやすい理由:呼吸商の概念は知っていても、具体的な数値と変動要因を曖昧に覚えていると、誤って一定だと判断してしまう可能性があります。混同注意:呼吸商がエネルギー代謝の指標であることは正しいですが、その値が変動する要因(栄養素の種類)を理解していないと間違いやすいです。
- 4. 代謝当量(MET: Metabolic Equivalent of Task)は、安静座位時(座位で静かにしている状態)の代謝量を1 METとして、様々な活動の強度を示す単位です。安静臥位時ではありません。正しくは:代謝当量(MET)は、安静座位時の代謝量を基準とした運動の強度を示す単位です。選びやすい理由:安静時の代謝量という点は合っていますが、「安静臥位」と「安静座位」の具体的な定義の違いを意識していないと、どちらでも同じだと誤解しやすいです。混同注意:基礎代謝と安静時代謝(RMR)の定義の違い、およびMETの基準が「安静座位時」であるという具体的な条件を混同しやすいです。
- 5. 特異動的作用(SDA: Specific Dynamic Action)とは、食物を摂取した後、消化・吸収・代謝の過程で体熱産生が増加し、エネルギー消費量が増大する現象を指します。減少するわけではありません。正しくは:特異動的作用(SDA)とは、食物を摂取した後に消化・吸収・代謝のために消費エネルギーが増加する現象を指します。選びやすい理由:SDAという言葉の響きから、特殊な作用でエネルギー消費が抑えられるのではないかと誤解する可能性があります。しかし実際は、消化・吸収そのものがエネルギーを消費する活動です。混同注意:エネルギー消費が増えるのか減るのか、その方向性を混同しやすいです。食物摂取は体にとって「仕事」であり、エネルギーを消費します。
国試ポイント
代謝に関する基本的な概念(エネルギー代謝率、基礎代謝量、呼吸商、代謝当量、特異動的作用)の定義と、それぞれの特徴・関連性を正確に理解しているかが問われています。特に、各用語が何を基準とし、何を示す指標であるかを区別することが重要です。
混同注意
RMRとMETsの違い、基礎代謝量と安静時代謝量の違い、安静臥位と安静座位の区別、呼吸商が変動する要因、特異動的作用がエネルギー消費を増やすか減らすか、といった点が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た際には、各代謝用語の『定義』『基準値』『変動要因』『臨床的意義』を正確に理解しているかを確認しましょう。特に、運動強度を示す指標の基準(BMRか安静座位か)を問う問題に注意が必要です。
関連知識
基礎代謝量(BMR)の計算式、METsの具体的な活用例、各栄養素の呼吸商の数値、エネルギーバランスの概念、体組成と代謝の関係。