52歳の女性。右利き。脳梗塞による右片麻痺。この患者のSOAPによる作業療法記録の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
SOAP形式の'A'(Assessment)セクションでは、収集した主観的情報(S)と客観的情報(O)を分析・統合し、患者の問題点やリハビリテーションの進捗、潜在能力を評価します。その評価に基づいて、治療目標を設定することも'A'の重要な役割の一部です。したがって、短期目標の設定内容を記載することは'A'の記述として適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 患者さんからの主観的な訴えではなく、客観的に測定された数値であるため、'S'(Subjective)ではなく'O'(Objective)に分類されます。正しくは:O: 作業療法セッション開始時の血圧は120/80mmHgと記録された。選びやすい理由:'S'は患者の「状態」を指すため、血圧も状態の一部と誤解する可能性がある。混同注意:'S'(主観的情報)と'O'(客観的情報)。
- 2. これは将来の実施計画を示しており、'O'(Objective: 実際に観察されたり行われたこと)ではなく、'P'(Plan: 今後の計画)に該当します。正しくは:P: 作業療法においてズボンの着脱練習を3回行う予定である。 または O: 作業療法においてズボンの着脱練習を3回実施した。選びやすい理由:'O'が「行動」を指すため、訓練自体を'O'の一部と誤解する可能性があるが、これは「予定」である点が誤り。混同注意:'O'(過去の客観的事実)と'P'(今後の計画)。
- 3. 正解。'A'(Assessment)は、SとOの情報を分析・統合し、患者の問題点、潜在能力、そして目標設定の根拠を記載する部分です。目標自体は'P'に記載されることも多いですが、「目標設定」という行為やその内容の決定はアセスメントの結果として行われるため、'A'に含める記述として適切です。選びやすい理由:目標は'P'(Plan)に書かれるという知識があるため、'A'と迷うことがある。しかし、'A'は目標の根拠や設定の判断を示す部分であり、目標設定自体は'A'の範疇である。混同注意:'A'(評価・分析・目標設定の根拠)と'P'(具体的な介入計画・目標の明記)。
- 4. Brunnstrom法ステージは、客観的な評価によって得られた患者の現在の状態を示す数値であり、'P'(Plan: 今後の計画)ではなく、'O'(Objective: 客観的情報)に分類されます。正しくは:O: Brunnstrom法の評価結果は上肢Ⅴ、手指Ⅴ、下肢Ⅳであった。選びやすい理由:'P'が「現在の状態」を指すと誤解する可能性がある。混同注意:'O'(客観的評価データ)と'P'(今後の計画)。
- 5. 患者自身の言葉や感じたことを直接引用したものであり、'P'(Plan: 今後の計画)ではなく、'S'(Subjective: 主観的情報)に分類されます。正しくは:S: 患者から「昨夜、右手を使って箸を動かせました」という発言があった。選びやすい理由:'P'が「患者からの情報」を指すと誤解する可能性がある。混同注意:'S'(主観的情報)と'P'(今後の計画)。
国試ポイント
SOAP形式の記録における各項目の正確な理解と分類能力が問われています。特に、S(主観的情報)、O(客観的情報)、A(評価・分析)、P(計画)の具体的な内容を区別できるかが重要です。目標設定がAとPのどちらに属するかという判断は、SOAP記録の理解度を測る上で頻出のポイントです。
混同注意
特に目標設定に関して、目標自体は具体的な介入計画の一部として'P'(Plan)に記載されることも多いですが、目標を『設定する』行為や、その目標に至る『根拠』は'A'(Assessment)で述べられるべき内容であり、この区別が混同されやすい点です。また、客観的情報(測定値や評価結果)と主観的情報(患者の発言)の区別、および現在の事実(O)と今後の計画(P)の区別も混同されがちです。
次に同じ論点が出たら
SOAPの各項目について、記載されている情報が『誰からの情報か(患者自身か、療法士の観察か)』、『事実か(過去・現在)、計画か(未来)』、『生データか、解釈・分析か』という観点で詳細に吟味すること。特に目標設定については、『目標を決定した経緯や根拠』はA、『具体的な目標の羅列』や『その目標達成に向けた介入』はP、という違いを意識することが重要です。
関連知識
SOAP形式の記録法、作業療法における評価の項目と内容、リハビリテーション目標の設定方法(SMART原則など)、各評価尺度(Brunnstrom法など)とその解釈。