手背の熱傷に対する急性期のスプリントの関節角度で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
手背熱傷では、MP関節を屈曲位に保持することで、MP関節の側副靭帯を伸張させ、拘縮を予防することが極めて重要です。この肢位は、側副靭帯を伸ばして短縮を防ぐ「機能的肢位」または「intrinisc plus position」とも呼ばれ、指の機能維持のために不可欠です。MP関節を伸展位に固定すると、側副靭帯が短縮し、MP関節の屈曲拘縮を招きやすくなります。
選択肢ごとの解説
- 1. 手背熱傷の場合、手関節は伸展位(通常20〜30度伸展)に保持することが推奨されます。屈曲位は患部の緊張を高め、拘縮を促進する可能性があります。正しくは:手関節は20〜30度伸展位にする。選びやすい理由:関節を軽く曲げるのが良いのではないかという感覚から選んでしまう可能性がありますが、熱傷の種類と部位によって適切な肢位は異なります。混同注意:手掌熱傷では軽度屈曲位が推奨されることがあるため、混同しやすいです。
- 2. 正解。MP関節を屈曲位に保持することは、側副靭帯が最大限に伸張されるため、拘縮を予防する上で最も重要な肢位です。特に50〜70度の屈曲位が推奨されます。
- 3. PIP関節は軽度屈曲位(通常10〜20度屈曲)に保持することが推奨されます。過度な屈曲はPIP関節の伸展拘縮を招く恐れがあり、また完全伸展位も靭帯が短縮するリスクがあります。正しくは:PIP関節は10〜20度屈曲位にする。選びやすい理由:MP関節と同じく屈曲位が良いという一般論から、角度はともかく屈曲しているという点に注目して選んでしまう可能性があります。混同注意:MP関節の適切な角度と混同しやすいです。
- 4. DIP関節はPIP関節と同様に軽度屈曲位(通常0〜10度屈曲)に保持することが推奨されます。特定の角度を強く保持するというよりも、機能的な肢位を維持することが重要です。正しくは:DIP関節は0〜10度屈曲位にする。選びやすい理由:指の関節なので、ある程度の屈曲が必要という感覚で選んでしまう可能性があります。混同注意:PIP関節やMP関節の適切な角度と混同しやすいです。
- 5. 母指は橈側外転位だけでなく、対立位(掌側外転位)も保持し、母指球筋群の短縮を防ぐことが重要です。具体的な角度より機能的な対立位を意識します。60度という具体的な数字が強調されすぎている点も不適切です。正しくは:母指は橈側外転・対立位にする。選びやすい理由:母指の外転が重要であることは事実なので、正しいように見えてしまいます。具体的な数字に惑わされやすいです。混同注意:母指の機能的な肢位を具体的に理解していないと、この選択肢を選びがちです。掌側外転(対立)も重要です。
国試ポイント
熱傷の種類(手背・手掌)と部位に応じた適切なスプリント装着角度を理解しているか。特にMP関節の側副靭帯の特性と、それに基づく拘縮予防のための肢位(intrinisc plus position)の知識が問われています。
混同注意
手背と手掌の熱傷で推奨されるスプリント肢位の違い、特に手関節の角度やMP関節とPIP関節の適切な屈曲・伸展角度が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
この問題でMP関節の屈曲位を理解できていれば、次は手関節やPIP/DIP関節の適切な肢位、または手掌熱傷時のスプリント肢位が問われる可能性があります。また、熱傷以外の疾患におけるスプリントの目的と装着角度も確認しましょう。
関連知識
熱傷の病態生理、拘縮の種類と予防、手の機能解剖(特に靭帯の走行と伸張位)、スプリント療法の原則(静的スプリント、動的スプリント)、熱傷以外の疾患におけるスプリント肢位(例:関節リウマチ、末梢神経麻痺)。