廃用症候群における症状と治療の組合せで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
廃用症候群では、不動により血流が停滞しやすくなるため、深部静脈血栓症のリスクが高まります。深部静脈血栓症が発症した場合、血栓の拡大や肺塞栓症への進展を防ぐために、抗凝固療法は必須の治療となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 筋萎縮の治療として装具固定は適切ではありません。装具固定は不動状態を促進し、かえって筋萎縮を悪化させる可能性があります。正しくは:筋萎縮には、積極的に関節運動を行ったり、負荷をかけた運動療法を実施したりすることが効果的です。選びやすい理由:装具が何らかの治療効果を持つという漠然としたイメージから誤って選んでしまうかもしれません。混同注意:装具は関節の安定性確保や変形予防には使われますが、筋萎縮の改善を目的とするものではありません。
- 2. 骨萎縮の治療として機能的電気刺激は直接的な効果が薄いです。機能的電気刺激は主に筋力の維持・増強や痙縮の抑制などに用いられます。正しくは:骨萎縮には、骨に垂直方向の負荷をかける荷重運動や、薬物療法(ビスホスホネート製剤など)が有効です。選びやすい理由:電気刺激が何らかの生理的な変化を促すという知識から、骨にも良い影響があるのではと誤解する可能性があります。混同注意:機能的電気刺激は筋肉の活動を促すものであり、骨の代謝を直接的に改善する治療法ではありません。
- 3. 下肢浮腫に対し安静を保つことは、かえって症状を悪化させる可能性があります。廃用症候群による浮腫は、筋ポンプ作用の低下や重力の影響が大きいため、安静により改善することは期待できません。正しくは:下肢浮腫には、適度な運動による筋ポンプ作用の促進、弾性ストッキングの着用、下肢挙上などが有効です。選びやすい理由:浮腫に対して「休む」という考え方が短絡的に結びつきやすいかもしれませんが、原因が廃用であれば逆効果です。混同注意:心不全など他の原因による浮腫では安静が推奨される場合もありますが、廃用症候群による浮腫とは機序が異なります。
- 4. 起立性低血圧の治療として塩分制限は不適切です。起立性低血圧では循環血液量の減少が原因の一つとなるため、むしろ適度な塩分と水分摂取が推奨されることがあります。正しくは:起立性低血圧には、急な体位変換を避ける、弾性ストッキングを着用する、十分な水分・塩分を摂取する、昇圧剤を使用するといった対策が有効です。選びやすい理由:高血圧症の治療で塩分制限が一般的であるため、血圧関連の症状で塩分制限を連想しやすいですが、起立性低血圧では逆効果です。混同注意:高血圧症の治療と、起立性低血圧の治療を混同する可能性があります。
- 5. 正解。深部静脈血栓症は廃用症候群の合併症としてリスクが高まります。血栓形成を予防・治療するためには、抗凝固薬を用いた療法が標準的かつ最も適切な治療法の一つです。
国試ポイント
廃用症候群の各症状に対する基本的な病態理解と、それぞれの症状に対する適切な治療法を正確に結びつけられるかが問われています。特に、誤った治療法が症状を悪化させる可能性についても理解している必要があります。
混同注意
各症状に対して、一見関係がありそうに見えても実は逆効果であったり、別の疾患に対する治療法であったりする選択肢が散りばめられています。例えば、血圧と塩分、浮腫と安静など、一般的な知識と廃用症候群の病態を正確に区別する必要があります。
次に同じ論点が出たら
この論点が次に問われる場合、他の廃用症候群の症状(例:褥瘡、無気肺、嚥下障害)とそれに対する治療・予防策の組み合わせや、各症状のメカニズムをより深く問う問題が出題される可能性があります。また、廃用症候群の予防的介入に焦点を当てた問題も考えられます。
関連知識
廃用症候群の主要な症状(筋萎縮、骨萎縮、循環器系変化、呼吸器系変化、褥瘡、精神機能低下など)とその原因、そしてそれぞれに対するリハビリテーションを含む治療・予防策について理解しておくことが重要です。特に、深部静脈血栓症は生命に関わる合併症であるため、その早期発見と適切な対応は作業療法士にとっても重要な知識です。