透析患者で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
透析患者は運動能力の低下、筋力低下、身体活動量の減少が見られやすく、これらは心血管疾患のリスクを高め、全身状態の悪化に繋がり、結果として生命予後を悪化させることが明らかになっています。そのため、身体活動量の維持・向上が重要視されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 透析導入の原因疾患としてかつては慢性糸球体腎炎が最多でしたが、近年では糖尿病性腎症が最も多く、その割合は増加傾向にあります。慢性糸球体腎炎の割合はむしろ減少傾向にあります。正しくは:透析導入の主な原因となる疾患で、糖尿病性腎症が占める割合は毎年増え続けています。選びやすい理由:慢性糸球体腎炎が腎臓病の主要な原因であるという一般的な知識から、増加傾向にあると誤解しやすいかもしれません。混同注意:過去の統計データと現在の傾向、特に糖尿病性腎症の増加傾向と混同しやすいです。
- 2. 日本の透析患者数は、高齢化や糖尿病患者の増加などを背景に、この10年間で一貫して増加傾向にあります。正しくは:透析を必要とする患者さんの総数は、この10年間で一貫して増加し続けています。選びやすい理由:医療の進歩により病気が減っているという漠然としたイメージから、患者数が減少していると誤って判断してしまう可能性があります。混同注意:特定の疾患の減少傾向と、透析患者全体の傾向とを混同しやすいです。
- 3. 正解。透析患者において、身体活動量の低下はサルコペニアやフレイルの進行、心血管疾患リスクの増加に繋がり、結果として生命予後を悪化させることが多くの研究で示されています。適切な運動療法や身体活動の維持が推奨されます。正しくは:選択肢は正しい記述です。選びやすい理由:この選択肢は医学的な常識と一致しており、透析患者特有の状況を理解していれば選びやすいです。
- 4. 日本において、新規に透析を導入する患者さんのうち、9割以上が血液透析を選択しています。腹膜透析は導入されるケースが比較的少ないです。正しくは:新たに透析を開始する患者さんのうち、最も多く選択されるのは血液透析です。選びやすい理由:腹膜透析が自宅で行えるなどの利点があるため、選択されることが多いと誤解する可能性があります。混同注意:透析方法の種類とその選択割合、特に血液透析と腹膜透析の割合を混同しやすいです。
- 5. 透析患者の主な死因の第一位は心不全や心筋梗塞などの心血管疾患であり、次いで感染症が多いです。悪性腫瘍も死因の一つですが、第一位ではありません。正しくは:透析患者さんの主な死因として最も多いのは、心血管疾患です。選びやすい理由:一般的に日本人の死因で悪性腫瘍(がん)が第一位であるという知識から、透析患者もそうだと誤解しやすいです。混同注意:一般人口の死因と透析患者の死因の違いを混同しやすいです。
国試ポイント
透析患者の疫学的状況(原因疾患の割合、患者数の推移、透析方法の選択割合、死因)と、透析患者における身体活動の重要性に関する知識が問われています。統計データに基づいた正確な理解と、OTとして介入が求められる身体活動の観点からの予後への影響を関連付けて理解しているかが重要です。
混同注意
一般人口の統計データ(死因、疾患割合)と透析患者特有の統計データを混同しないこと。また、過去のデータと最新の傾向の違いを把握しておくことが重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、最新の疫学データ(特に日本透析医学会の統計)に基づいた原因疾患の割合、患者数推移、主要死因、および身体活動・運動療法の重要性に関する知識が問われると予想されます。具体的な介入方法や評価指標についても確認が必要です。
関連知識
日本透析医学会の「わが国の慢性透析療法の現況」報告、糖尿病性腎症の増加、高齢化社会における透析患者数の推移、透析患者におけるサルコペニアやフレイルの概念と介入の重要性。