作業療法の評価で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
作業療法の基本的な概念として、人間の作業遂行は、個人の特性(人)、その個人が置かれている状況(環境)、そして行われる活動そのもの(作業)という3つの要素が複雑に影響し合う結果として生じるという考え方が重要です。これは様々な作業モデルの根底にある共通の理解であり、最も適切な記述です。
選択肢ごとの解説
- 1. MTDLPは観察や面接を通じて情報を収集するものであり、質問紙形式ではありません。正しくは:MTDLPは面接や観察、そして活動を通じてクライアントの作業遂行を評価するものです。選びやすい理由:MTDLPという略語が具体的な評価法として認識されにくく、何らかの質問紙ではないかと誤解されやすいかもしれません。混同注意:他の質問紙形式の評価ツール(例:COPM)と混同される可能性があります。
- 2. COPMはクライアント中心の評価ツールであり、クライアント自身の作業遂行上の問題点や満足度を自己評価によって把握することを目的としています。セラピストの意見が中心ではありません。正しくは:COPMは、クライアントが自身の作業遂行における問題や満足度を評価する、クライアント中心の評価ツールです。選びやすい理由:すべての評価にセラピストの専門的な視点が必要不可欠であるため、COPMもセラピストの意見が中心だと勘違いしやすいかもしれません。混同注意:客観的な機能評価や疾患評価など、セラピストの専門知識が中心となる評価と混同される可能性があります。
- 3. MOHOは「意志(volition)」「習慣化(habituation)」「遂行能力(performance capacity)」の3つの下位システムとその相互作用、そして環境の要素で構成されます。運動面や精神面はその遂行能力の一部として含まれる概念ですが、MOHOの主要な構成要素として挙げられるのはこれらではありません。正しくは:人間作業モデル(MOHO)は、意志、習慣化、遂行能力、そして環境の相互作用を重視するモデルです。選びやすい理由:作業療法において運動機能と精神機能が重要な要素であるため、MOHOもこれらで構成されると誤解しやすいかもしれません。混同注意:ICF(国際生活機能分類)のような、身体機能や精神機能を主要な構成要素とするモデルと混同される可能性があります。
- 4. クライアント中心の実践においては、クライアントが自身の状況を理解し、意思決定に主体的に関わることが重要であるため、評価結果は必ず本人に共有されます。正しくは:クライアント中心の実践では、評価結果をクライアント本人と共有し、共に目標設定や介入計画を立てていきます。選びやすい理由:時にはクライアントの精神的な負担を考慮して情報開示を控える場合があるため、一概にすべて開示しないという選択肢が正しいように感じられるかもしれません。しかし、クライアント中心の原則としては開示が基本です。混同注意:医療における情報開示の倫理的な側面や、病状告知の難しいケースと混同される可能性があります。
- 5. 正解。作業療法における作業遂行の理解は、個人(人)、環境、作業の3つの要素が複雑に相互作用する中で実現されるという基本的な考え方に基づいています。この選択肢は、この重要な概念を正確に表現しています。正しくは:この記述は正しいです。選びやすい理由:特にありません。作業療法の基本的な概念を問うものであり、正しい理解があれば選べる選択肢です。混同注意:作業遂行の概念が単純に個人や環境のみで決定されると考えることと混同される可能性があります。
国試ポイント
作業療法の評価に関する基礎知識、特に様々な評価ツールの特徴、主要な理論モデルの構成要素、およびクライアント中心の実践の原則について理解しているかを問う問題です。作業療法の根幹をなす「人-環境-作業」の相互作用という基本概念の理解も重要です。
混同注意
各選択肢が、個別の評価ツールやモデルの表層的な知識と、その根底にある哲学や原則とを混同させるように作られています。特に、具体的な評価法の詳細と、それが依拠するモデルの基本構成要素を区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
この論点が出題された場合、受験者は各評価ツールの目的・対象・評価方法、主要なモデルの構成要素、そして作業療法の基本的価値観(クライアント中心、人-環境-作業の相互作用など)について、深い理解が求められます。
関連知識
COPM、MOHO、MTDLPなどの代表的な評価ツールや理論モデルの内容、クライアント中心の実践の原則、作業療法のパラダイムとしての「人-環境-作業」の相互作用。