疾患と作業種目の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
パーキンソン病では、姿勢反射障害により後方突進現象が見られやすく、バランスを崩しやすいという特徴があります。上方への輪通しは、上肢のリーチ動作と体幹の伸展を促すことで、姿勢保持能力の向上や、すくみ足・突進歩行の改善に効果が期待できます。
選択肢ごとの解説
- 1. 関節リウマチの活動期に粘土細工を行うと、手指関節に過度な負担をかけ、炎症を悪化させる可能性があります。特に手指の変形がある場合、関節保護の観点から推奨されません。正しくは:関節リウマチで粘土細工を行う場合は、炎症が落ち着いた慢性期で、関節保護を考慮した上で、適度な負荷で行う必要があります。あるいは、関節に負担の少ないペーパークラフトなどを選択します。選びやすい理由:手指の巧緻性を高める活動として一般的なため、選びやすいですが、疾患活動期には不適切です。混同注意:手指巧緻性練習の一般論と関節保護の原則。
- 2. 小脳梗塞では、運動失調や協調運動障害、平衡機能障害が見られます。切り絵は、ハサミを正確に操作し、細かい作業を行うため、運動失調が顕著な場合には困難であり、かえってフラストレーションの原因となります。正しくは:小脳梗塞の回復期であれば、手先の精密な動きを必要としない、比較的単純な作業から段階的に導入し、徐々に複雑な切り絵に移行するなど配慮が必要です。あるいは、大まかな動きでできる作業(例:大きなブロック遊び)から始めるのが適切です。選びやすい理由:手先の器用さを要する活動として、機能訓練になりそうだと考えがちですが、失調症状が強いと困難です。混同注意:手指の巧緻性訓練と運動失調に対する代償的アプローチ。
- 3. 脊髄小脳変性症では、小脳症状による運動失調、特に体幹失調や四肢失調が進行性に現れます。卓球は、素早い重心移動、正確なラケット操作、眼球運動の協調性が必要なため、これらの機能が低下している患者には困難であり、転倒リスクも高くなります。正しくは:脊髄小脳変性症では、バランス能力を維持・向上させる目的で、安定した支持面でのゆっくりとした運動や、自転車エルゴメーターなど比較的安全な運動が推奨されます。選びやすい理由:全身運動としてリハビリテーションになりそうだと考えがちですが、進行性の神経変性疾患であり、運動失調により難易度が高すぎます。混同注意:運動全般のリハビリテーションと、疾患の特性に合わせた運動選択。
- 4. 正解。パーキンソン病では、姿勢反射障害や前傾姿勢、すくみ足が見られやすいです。上方への輪通しは、視線を上に向け、上肢を上げることで、体幹の伸展と重心の上方移動を促します。これにより、姿勢の改善やバランス能力の向上、すくみ足の軽減が期待できます。選びやすい理由:パーキンソン病の症状に対する具体的なアプローチとして理にかなっているため。
- 5. 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者は、呼吸困難感(息切れ)が主な症状であり、特に上肢挙上動作は呼吸筋に負担をかけ、呼吸困難感を増強させます。デコパージュは、細かい作業でありながら、上肢の持続的な挙上を伴うことが多いため、COPD患者には呼吸困難感を誘発しやすい活動です。正しくは:COPD患者の作業活動では、上肢挙上を伴わない、座ってできる比較的負担の少ない活動(例:書類整理、塗り絵など)や、呼吸困難感に合わせて休憩を取りながら行える活動が適切です。選びやすい理由:座ってできる手作業であるため、比較的負担が少ないと思われがちですが、上肢挙上による呼吸への影響を見落としやすいです。混同注意:活動の座位姿勢と、上肢挙上による呼吸器系への影響の理解。
国試ポイント
パーキンソン病の症状と、それに対する作業療法の適用を理解しているか。
混同注意
パーキンソン病における動作緩慢と固縮の区別、またそれぞれの症状に対する作業療法の選択。
次に同じ論点が出たら
パーキンソン病患者の姿勢反射障害やすくみ足に対する具体的な動作改善介入の選択肢が出た場合、身体の重心移動を伴う上方へのリーチ動作や大股歩行、メトロノーム使用など、重心の前方移動を促す活動が適切と判断する。
関連知識
パーキンソン病の四大症状(振戦、固縮、無動・寡動、姿勢反射障害)と、生活指導・環境調整、理学療法、薬物療法との連携。