ICUでの早期リハビリテーションにおける作業療法士の役割で最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
集中治療室(ICU)での早期リハビリテーションにおいて、作業療法士は患者の現状評価に基づき、将来的な生活、特に退院後の日常生活活動(ADL)能力や活動参加の可能性を早期から予測する役割を担います。これにより、リハビリテーションの目標設定、必要な介入の計画、および多職種連携の方向性を定め、患者と家族に対する情報提供や心理的準備を支援することができます。
選択肢ごとの解説
- 1. 栄養管理は主に医師、看護師、管理栄養士が担当する業務であり、作業療法士の直接的な役割ではありません。正しくは:作業療法士は、栄養状態が活動に与える影響を理解し、チームとして連携して栄養管理に関する情報共有やアドバイスを行うことはありますが、直接的な管理は行いません。選びやすい理由:ICUの患者は栄養状態が重要であるため、リハビリテーションに関わる職種も関心を持つべき領域であると錯覚しやすい。混同注意:多職種連携における情報共有や、摂食嚥下機能訓練が栄養摂取に間接的に関わることと混同しやすい。
- 2. 摂食嚥下機能の治療は主に言語聴覚士(ST)が専門的に行います。作業療法士は、食事動作の介助や環境調整、あるいは食事姿勢の指導など、摂食嚥下に関連する間接的な支援を行うことはありますが、直接的な「治療」はSTの役割です。正しくは:作業療法士は食事動作に関する介入や環境設定を通じて、摂食嚥下機能訓練を支援することはできます。選びやすい理由:作業療法士も食事動作に関わるため、摂食嚥下全般にわたる治療も行うと誤解しやすい。混同注意:食事動作の自立支援や食事環境の調整といった作業療法士の役割と、摂食嚥下機能そのものの専門的な治療(STの役割)とを混同しやすい。
- 3. スタッフの配置は、病棟全体あるいは部署全体の運営管理に関わる業務であり、主に病棟管理者や部門長、あるいは人事担当が担う役割です。作業療法士が単独で判断する役割ではありません。正しくは:作業療法士は、患者のリハビリテーションニーズに基づいて必要なリソース(人員、時間など)をチームに提案することはありますが、スタッフ配置の最終的な判断は行いません。選びやすい理由:チーム医療において重要な役割を担う作業療法士が、全体を見渡す中で配置にも意見を出すべきだと誤解する可能性がある。混同注意:個々の患者に対するリハビリテーションプログラムの調整や資源配分と、組織全体のスタッフ配置の判断を混同しやすい。
- 4. 医療機器の整備や管理は、主に看護師や臨床工学技士の役割です。作業療法士は、機器が安全に設置されているかを確認し、リハビリテーション活動の際に安全に配慮することはありますが、整備・管理そのものが専門業務ではありません。正しくは:作業療法士は、医療機器に配慮しつつ安全にリハビリテーションを行うための環境設定に関与します。選びやすい理由:ICU環境下でリハビリテーションを行う上で、医療機器への理解や配慮が不可欠であるため、その整備も役割の一部だと錯覚しやすい。混同注意:医療機器の安全な取り扱いに関する知識と、機器の専門的な整備・管理業務(看護師、臨床工学技士の役割)とを混同しやすい。
- 5. 正解。ICU早期リハビリテーションの段階から、患者の現在の身体機能、認知機能、精神状態などを評価し、将来的な退院後の生活を見据えて、どのようなADLレベルに到達しうるか、どのような支援が必要になるかを予測することは、作業療法士の重要な役割です。これにより、早期から目標設定や多職種連携が可能となり、患者と家族への情報提供にも繋がります。
国試ポイント
作業療法士の専門性、特に多職種連携の中での固有の役割を問う問題です。ICUという特殊な環境における「早期」リハビリテーションの文脈で、作業療法士が持つべき視点(「生活」や「ADL」「退院後」を見据える視点)を理解しているかが試されます。
混同注意
他職種(医師、看護師、言語聴覚士、管理栄養士、臨床工学技士など)の専門業務と作業療法士の業務範囲を混同しやすい。特に、多職種連携で共通の目標を持つ場合でも、各専門職の役割の「主たる責任範囲」がどこにあるかを正確に理解する必要があります。
次に同じ論点が出たら
ICUにおける作業療法士の介入内容、具体的な評価項目、多職種連携の具体的な事例、あるいは特定の疾患(脳卒中、呼吸器疾患など)におけるICU期のリハビリテーション目標などが問われる可能性があります。また、ICU退室後の回復期や維持期における作業療法士の役割との関連性も考えられます。
関連知識
ICUにおけるリハビリテーションの目的と効果(廃用症候群の予防、早期離床、認知機能低下の予防など)、集中治療後症候群(PICS)の理解、各専門職の業務範囲、生活機能評価(ADL、IADL)の知識。