橈骨遠位端骨折の術後に前腕から手関節の外固定を行った。外固定期間中の患肢への作業療法で最も優先されるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
橈骨遠位端骨折の術後、前腕から手関節まで外固定がなされている期間においては、固定されていない手指の関節を早期から動かすことが、拘縮予防、浮腫軽減、血行促進、腱の癒着防止、筋力維持に最も効果的であり、かつ骨折部位に影響を与えない安全な介入であるため、最優先されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 固定期間中は患部に炎症が起こりやすく、熱源を加えることで炎症が悪化したり、腫脹が増強したりする可能性があるため、一般的には推奨されません。正しくは:外固定を除去し、骨癒合が安定した後、関節拘縮や疼痛がある場合に、組織の伸張性向上や血行促進を目的に適用されることがあります。選びやすい理由:関節拘縮の予防や緩和に効果があるというイメージから、選択肢として魅力的ですが、時期が不適切です。混同注意:固定除去後のリハビリテーション内容と混同しやすいです。
- 2. 母指の内転位は機能的な肢位としては不適切であり、かえって母指対立位などの拘縮を招きやすいです。機能的な肢位としては、母指をわずかに外転・対立位とすることが一般的です。正しくは:母指は、他の指と向かい合わせにできるような機能的な肢位(軽度外転・対立位)で保持されるべきです。選びやすい理由:特定の肢位を保つことが拘縮予防に繋がるという考えから、安易に選択してしまう可能性があります。混同注意:機能的肢位や、他の関節の拘縮予防肢位と混同しやすいです。
- 3. 正解。橈骨遠位端骨折で前腕から手関節が外固定されている場合でも、固定されていない手指の関節は早期から能動的に動かすことが極めて重要です。これにより、関節拘縮の予防、浮腫の軽減、血行促進、腱の癒着予防、筋力低下の防止に繋がり、骨折部位に悪影響を与えることなく機能回復を促進できます。これは外固定期間中の作業療法で最も優先されるべき介入です。
- 4. 前腕から手関節が外固定されている場合、前腕の回内・回外運動は固定によって大きく制限されるか、あるいは固定具の下で無理に行うと骨折部位に負担をかけ、治癒を阻害する恐れがあるため禁忌です。正しくは:外固定が除去され、骨癒合が安定した後、医師の許可のもとで段階的に行うべき運動です。選びやすい理由:前腕の運動も重要であるという認識から選択しやすいですが、固定期間中であることを見落とす可能性があります。混同注意:固定除去後のリハビリテーション内容と混同しやすいです。
- 5. 外固定期間中に患肢を積極的にADLで使用することは、骨折部位に過度な負荷をかけ、治癒を阻害したり、再転位を引き起こしたりするリスクがあるため避けるべきです。この時期は安静を保ちつつ、固定されていない関節を動かすことが重要です。正しくは:骨癒合が安定し、医師の許可が出てから、段階的にADLでの使用を再開し、機能訓練を行うべきです。選びやすい理由:早期からの機能回復を目指すという考え方から、積極的に動かすことが良いと捉えてしまう可能性があります。混同注意:早期離床や早期リハビリテーションの一般原則と混同しやすいですが、骨折部の保護が最優先される時期です。
国試ポイント
橈骨遠位端骨折後の外固定期間中における作業療法について、固定部位と非固定部位の区別、およびその時期に応じた適切な介入の優先順位を問う問題です。特に、固定されている関節の運動や、骨折部位に負荷をかける活動は禁忌であり、固定されていない関節の自動運動が重要であるという基本原則を理解しているかが問われます。
混同注意
固定除去後のリハビリテーション内容(温熱療法や前腕回内外運動など)と、固定期間中のリハビリテーション内容が混同されやすいです。また、過度な安静と早期積極的介入のバランスを誤解しやすい傾向があります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、まず「いつの時期か(固定期間中か、除去後か)」と「どこが固定されているか」を明確に判断し、それによって動かしても良い関節と動かしてはいけない関節を区別します。また、各選択肢の介入がその時期・部位に対して安全かつ有効であるかを評価します。
関連知識
橈骨遠位端骨折の術後管理、外固定の目的と期間、関節拘縮の病態と予防、浮腫の管理、RICE原則(安静、冷却、圧迫、挙上)、手指の解剖と運動、腱の滑走性。