器質性精神障害の急性期の症状として最もみられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
器質性精神障害の急性期には、身体疾患や薬剤などによって脳機能が一時的に障害され、意識レベルの変動、見当識障害、注意障害、精神運動性興奮・抑制、幻覚・妄想などを特徴とする『せん妄』が最も高頻度で出現します。他の選択肢は、慢性の器質性精神障害や特定の局所脳損傷によって生じる症状であり、急性期の最も典型的な症状とは言えません。
選択肢ごとの解説
- 1. 失語は脳の損傷部位によって生じますが、器質性精神障害の急性期に最も普遍的に見られる症状ではありません。特にウェルニッケ失語やブローカ失語といった特定のタイプが、診断基準に照らして鑑別されます。正しくは:失語は脳卒中など特定の局所的な脳損傷でより顕著に見られますが、器質性精神障害の急性期にはせん妄が最も一般的です。選びやすい理由:脳機能の障害の一種であるため、器質性精神障害に関連すると誤解しやすいです。混同注意:広範な脳機能障害としての器質性精神障害と、特定の局所性脳損傷による症状を混同する可能性があります。
- 2. 正解。せん妄は、器質性精神障害の急性期に最も頻繁に見られる症状群です。意識障害、認知機能の急激な変動、幻覚、錯覚、精神運動興奮または抑制などが特徴で、身体疾患や薬物の影響によって引き起こされることが多いです。
- 3. 知能低下は、認知症などの慢性的な器質性精神障害で長期的に見られる症状ですが、急性期に突然主要な症状として現れることは稀です。せん妄は急性かつ可逆的な状態であることが多いのに対し、知能低下は慢性かつ進行性の変化を指します。正しくは:知能低下は慢性期の症状であり、急性期にはせん妄が最も一般的です。選びやすい理由:器質性精神障害が認知機能の障害を伴うため、知能低下も関連すると考えがちですが、急性期と慢性期で主要な症状が異なります。混同注意:認知症などの慢性的な認知機能障害と、急性期の器質性精神障害の症状を混同する可能性があります。
- 4. 性格変化は、前頭葉機能障害など特定の脳の損傷や慢性的な経過の中で見られる症状ですが、器質性精神障害の急性期に最も普遍的に現れる症状ではありません。急性期にはより意識レベルや認知機能の急激な変化が顕著です。正しくは:性格変化は慢性的な器質性精神障害や特定の部位の損傷で生じますが、急性期にはせん妄がより一般的です。選びやすい理由:脳の機能障害によって性格が変わることがあるため、器質性精神障害と結びつけやすいです。混同注意:慢性的な脳器質性疾患による高次脳機能障害と、急性期の病態を混同する可能性があります。
- 5. 健忘症候群は、記憶障害が中核となる症状ですが、器質性精神障害の急性期にはせん妄として意識障害や全体的な認知機能の変動が先行することが多いです。健忘症候群はより特定の脳部位(海馬など)の損傷や慢性的な病態で目立ちます。正しくは:健忘症候群は特定の記憶領域の障害であり、急性期の器質性精神障害ではせん妄による広範な認知機能の障害がより典型的です。選びやすい理由:記憶障害は認知機能の一部であるため、器質性精神障害と関連が深いと思われがちです。特に認知症と混同しやすいかもしれません。混同注意:広範な認知障害を伴うせん妄と、記憶のみに特化した健忘症候群を混同する可能性があります。
国試ポイント
器質性精神障害の急性期と慢性期の症状の違い、特に急性期に最も多く見られる症状を正確に理解しているかどうかが問われる問題です。せん妄の定義と特徴を把握していることが重要です。
混同注意
せん妄と認知症(特に急性発症に見えるもの)、あるいはせん妄と統合失調症などの精神病性障害を混同しやすいです。せん妄は意識レベルの変動があり、急激な発症と変動性、可逆性が特徴です。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、せん妄の具体的症状、鑑別診断、原因、あるいは高齢者に多い理由などが問われる可能性があります。また、せん妄状態の患者への具体的なOT介入についても理解が求められるかもしれません。
関連知識
せん妄の診断基準(DSM-5など)、原因(身体疾患、薬剤、環境要因など)、治療とケアの原則、認知症との鑑別点、アルコール離脱せん妄などの特定のせん妄病態。