椅子座位で高齢者が食事をする際に誤嚥のリスクを高める動作はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
上を向く動作は、喉頭蓋が気道を閉鎖するのを妨げ、食べ物や唾液が気管に入りやすくなるため、誤嚥の危険性を著しく高めます。特に高齢者は嚥下反射の遅延や筋力低下があるため、この姿勢は非常に危険です。
選択肢ごとの解説
- 1. 頬杖は姿勢を不安定にする可能性はありますが、直接的に誤嚥のリスクを著しく高める動作ではありません。むしろ、片麻痺などで体幹が不安定な場合に一時的に体勢を保持しようとすることがあります。正しくは:正しい食事姿勢を保つため、仙骨座りや骨盤後傾を避け、坐骨で座ることを意識し、必要に応じて体幹をサポートするクッションやアームレストを活用します。選びやすい理由:一見行儀の悪い姿勢に見えるため、誤嚥と結びつけてしまいやすいかもしれません。しかし、誤嚥のメカニズムとは直接関係が薄いです。混同注意:不適切な姿勢と誤嚥リスクの直接的な関係を混同する可能性があります。
- 2. 顎を引く動作は、嚥下反射を促し、食道への通過をスムーズにするために推奨される姿勢です。これにより、気道が閉鎖されやすくなり、誤嚥のリスクを低減します。正しくは:顎を引く動作は、誤嚥予防に効果的なため、嚥下訓練や食事介助の際にも指導される基本的な姿勢の一つです。選びやすい理由:極端に顎を引きすぎると食べ物が口腔内に停滞する可能性もありますが、一般的には誤嚥予防に有効な姿勢です。混同注意:誤嚥予防に有効な姿勢と、誤嚥を招く姿勢を混同する可能性があります。
- 3. 正解。上を向く動作は、喉頭蓋が開きやすくなり、気道が広がるため、食べ物や飲み物が気管に入りやすくなり、誤嚥のリスクが著しく高まります。特に嚥下時にこの姿勢をとると危険です。正しくは:食事中は、顎を引き気味にして正面を見るか、やや下方を見る姿勢が誤嚥予防に効果的です。選びやすい理由:特にありません。嚥下のメカニズムを理解していれば、上を向くことが誤嚥リスクを高めることは明確です。混同注意:嚥下時の頭部の適切な位置と誤嚥のメカニズムに関する知識が曖昧な場合に、他の選択肢と迷う可能性があります。
- 4. 頷く動作は、通常、顎を引く動作を含み、一時的に頭部が下方に動くため、誤嚥のリスクを高めるものではありません。むしろ、嚥下準備やコミュニケーションの一環として自然に行われる動作です。正しくは:頷くことは、食事中のコミュニケーションや、咀嚼・嚥下のリズムを取る上で自然な動作であり、通常は誤嚥に直接つながりません。選びやすい理由:頭部の動きがあるため、一時的に誤嚥リスクにつながる可能性があると考えるかもしれませんが、顎を引く方向への動きであれば問題ありません。混同注意:頭部の動き全般と誤嚥リスクを混同する可能性があります。
- 5. 横を向く動作は、片側麻痺などがある場合に、健側へ食べ物を誘導し、咽頭の一側性を利用して誤嚥を防ぐために意図的に行われることがあります。そのため、一概に誤嚥のリスクを高めるとは言えません。正しくは:嚥下障害の種類によっては、横を向く姿勢(顔を回旋させる姿勢)が誤嚥防止のために有効な体位として指導されることがあります。選びやすい理由:食事中に集中しない姿勢に見えるため、誤嚥につながると思われがちですが、嚥下障害のある方にとっては治療的意義を持つこともあります。混同注意:一般的な食事マナーと嚥下障害における治療的姿勢を混同する可能性があります。
国試ポイント
本問題は、高齢者の嚥下障害とその予防策に関する基本的な知識、特に食事中の適切な姿勢について理解しているかを問うものです。誤嚥を誘発する姿勢と、誤嚥を予防する姿勢を明確に区別できることが重要です。
混同注意
顎を引く動作(誤嚥予防に有効)と、上を向く動作(誤嚥リスクを高める)は対極にあり、特に混同しやすいポイントです。また、横を向く動作が嚥下障害の種類によっては治療的意義を持つ点も、正しく理解していないと誤解を招きやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、誤嚥予防のための具体的な食事姿勢(頸部屈曲位、健側への顔面回旋位など)や、嚥下反射を促すためのアプローチ(アイスマッサージなど)について問われる可能性があります。また、嚥下障害のアセスメントツール(反復唾液嚥下テスト、水飲みテストなど)に関する知識も重要です。
関連知識
嚥下5期(先行期、準備期、口腔期、咽頭期、食道期)、喉頭挙上、喉頭蓋反転、嚥下反射、誤嚥性肺炎のメカニズム、嚥下調整食、嚥下補助食品、食事介助時の姿勢、嚥下訓練(間接訓練、直接訓練)。