摂食嚥下の咽頭期に生じる現象で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
咽頭期は、食塊が咽頭を通過し食道へと送られる段階です。この際、誤嚥を防ぐために気道が閉鎖されます。喉頭蓋が下向きに倒れることで、喉頭蓋谷に食塊が入り込むのを防ぎ、同時に気管への入り口を物理的に塞ぎます。この動きは嚥下反射の一部として神経学的に制御されており、食物が食道へ安全に誘導されるために不可欠な生理現象です。
選択肢ごとの解説
- 1. 息を吸い込むこと(吸気)は呼吸運動であり、嚥下中は気道が閉鎖されるため、嚥下(特に咽頭期)と同時に起こることはありません。むしろ、嚥下時には一時的に呼吸が停止します(嚥下時無呼吸)。正しくは:嚥下時は、誤嚥防止のため一時的に呼吸が停止します(嚥下時無呼吸)。選びやすい理由:呼吸は常に意識せず行われるため、嚥下と同時進行すると誤解されやすいです。混同注意:呼吸運動と嚥下運動の同時性に関する誤解。特に嚥下時無呼吸の概念との混同。
- 2. 食べ物を噛み砕くこと(咀嚼)は、摂食嚥下の準備期に起こる生理現象です。咽頭期は、食塊が口腔から咽頭へ、さらに食道へと送られる段階であり、咀嚼は既に完了しています。正しくは:食べ物を噛み砕くこと(咀嚼)は準備期に起こります。選びやすい理由:摂食嚥下の一連の流れの中での行為であるため、漠然と嚥下に関連すると感じやすいです。混同注意:準備期(口腔準備期)と咽頭期の混同。
- 3. 正解。咽頭期には、食塊が気管へ流入するのを防ぐために、喉頭蓋が下向きに倒れて喉頭入口部を閉鎖します。これは嚥下反射によって引き起こされる重要な誤嚥防止機構です。選びやすい理由:咽頭期の最も特徴的かつ重要な誤嚥防止メカニズムであるため、正解として選びやすいです。混同注意:喉頭挙上や声帯閉鎖など、他の気道閉鎖メカニズムとの混同は少ないですが、一連の動きの中で理解することが重要です。
- 4. 鼻咽腔が開いた状態になることは誤りです。咽頭期には、食塊が鼻腔へ逆流するのを防ぐために、軟口蓋が挙上して鼻咽腔が閉鎖されます。これは嚥下反射の一部です。正しくは:鼻咽腔は、軟口蓋の挙上によって閉鎖されます。選びやすい理由:咽頭部の構造の一部であるため、関連する動作と誤解されやすいです。混同注意:鼻腔への逆流防止メカニズム(軟口蓋の挙上)と咽頭期における開口部の閉鎖に関する知識の混同。
- 5. 輪状咽頭筋(上部食道括約筋の一部)は、食塊が咽頭から食道へ流入する際に弛緩し、食塊が通過した後に収縮して逆流を防ぎます。嚥下時の咽頭期後期から食道期にかけては弛緩することが生理的です。収縮したままでは食塊が食道に入れません。正しくは:輪状咽頭筋は嚥下時に弛緩し、食塊が通過した後に収縮します。選びやすい理由:括約筋が食塊の動きに関わることは知られているため、その機能(収縮・弛緩)を混同しやすいです。混同注意:輪状咽頭筋の収縮と弛緩のタイミングと機能。特にアカラシアなど病態の知識との混同。
国試ポイント
摂食嚥下の各段階(先行期、準備期、口腔期、咽頭期、食道期)における主要な生理現象と、それぞれの段階で関与する解剖学的構造と機能的役割を正確に理解し、誤嚥防止のメカニズムを覚えることが重要です。
混同注意
咽頭期の出来事と口腔期や食道期の出来事を混同しやすいです。特に、嚥下反射で一連の流れとして起こる喉頭挙上や気道閉鎖、輪状咽頭筋の弛緩など、詳細なイベントの順序と機能を区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、摂食嚥下の段階ごとの時間的順序と、その段階で最も特徴的かつ誤嚥防止に寄与する生理現象に注目して判断します。特に気道閉鎖に関わる要素が問われることが多いです。
関連知識
嚥下反射の求心路(三叉神経、舌咽神経、迷走神経)と遠心路(三叉神経、顔面神経、舌下神経、迷走神経)、嚥下中枢(脳幹)。また、嚥下運動に関わる主要な筋群(舌筋群、咽頭収縮筋群、喉頭筋群)とその神経支配。誤嚥性肺炎のメカニズムと予防策。