右利きの患者の頭部CT(別冊No. 1)を別に示す。最も考えられる症状はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
下図のCT画像では、左頭頂葉に低吸収域が認められ、脳梗塞などの病変が示唆されます。左右失認は、左頭頂葉、特に角回や縁上回といった部位の損傷によって生じる代表的な高次脳機能障害です。ゲルストマン症候群(左右失認、手指失認、失書、失算)の主要な構成要素の一つとしても知られています。右利きの患者にとって、左半球は優位半球であり、この部位の損傷はこれらの症状を引き起こす可能性が高いです。
選択肢ごとの解説
- 1. 左半側空間無視は右半球(特に右頭頂葉下部、右下側頭皮質、右前頭前野、右視床、右基底核など)の損傷で生じやすいです。下図のCT画像は左半球に病変を示唆しているため、この症状は考えにくいです。正しくは:右半球に病変がある場合に、左半側空間無視が考えられます。選びやすい理由:画像所見が不明確な場合、脳損傷と機能障害の関連を一般的な知識で推測し、関連する選択肢を選んでしまう可能性があります。混同注意:右半球損傷と左半側空間無視の関連性
- 2. 視覚失認は後頭葉や側頭葉の損傷、特に両側性の損傷で起こりやすいです。下図のCT画像は左頭頂葉の病変を示唆しており、視覚失認を直接示唆する所見ではありません。正しくは:後頭葉や側頭葉の損傷、特に両側性の損傷がある場合に、視覚失認が考えられます。選びやすい理由:脳損傷後の高次脳機能障害として視覚失認も有名であるため、知識がある場合に選択肢として考えてしまう可能性があります。混同注意:失認の種類と責任病巣
- 3. 着衣失行は通常、右半球の損傷、特に右頭頂葉の損傷(空間認知障害を伴うことが多い)で生じやすいです。下図のCT画像は左半球に病変を示唆しているため、この症状は考えにくいです。正しくは:右半球(特に右頭頂葉)に病変がある場合に、着衣失行が考えられます。選びやすい理由:失行の中でも着衣失行は比較的耳にする機会が多いため、知識がある場合に選択肢として考えてしまう可能性があります。混同注意:失行の種類と責任病巣
- 4. 正解。下図のCT画像は左頭頂葉、特に角回付近に低吸収域を示しており、脳梗塞などの病変を疑わせます。左右失認は、ゲルストマン症候群の構成要素の一つであり、左頭頂葉の損傷(特に角回や縁上回)と強く関連しています。右利きの患者の場合、左半球が優位半球となるため、この部位の損傷は左右失認を引き起こす可能性が高いです。選びやすい理由:他の高次脳機能障害と比較して左右失認は知名度が低いと感じる受験生もいるかもしれませんが、責任病巣と直接的に結びつく症状です。
- 5. 片麻痺は、運動野を含む錐体路の損傷で生じ、通常は病変の対側に麻痺が出現します。左頭頂葉の病変では、感覚障害や高次脳機能障害が主症状となることが多く、運動野に直接的な影響がない限り片麻痺は典型的ではありません。下図のCT画像では、運動野への直接的な損傷は明瞭ではありません。正しくは:運動野やその下行路に病変がある場合に、片麻痺が考えられます。選びやすい理由:脳卒中後の最も一般的な症状の一つであるため、安易に選んでしまう可能性があります。混同注意:脳損傷の部位と症状(運動麻痺と高次脳機能障害の区別)
国試ポイント
脳の責任病巣とそれに対応する高次脳機能障害を正確に理解しているかが問われています。特に、左右失認が左頭頂葉(角回)損傷と強く関連しているという知識が重要です。画像読影によって病変部位を特定し、その部位から最も可能性の高い症状を導き出す能力が求められます。
混同注意
半側空間無視(右半球損傷)、視覚失認(後頭葉・側頭葉損傷)、着衣失行(右頭頂葉損傷)など、他の高次脳機能障害とそれぞれの責任病巣の区別。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まずCT画像から病変の部位(左右、葉、皮質・皮質下)を正確に特定する。次に、その部位と強く関連する高次脳機能障害や神経症状の組み合わせを思い出す。特に、優位半球の損傷で生じる高次脳機能障害には注意が必要である。
関連知識
ゲルストマン症候群の4徴候とその責任病巣(左角回)、高次脳機能障害の種類と責任病巣、優位半球と劣位半球の機能の違い。