軽度の意識障害の評価に重要な検査はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
脳波は、脳の電気的活動を直接記録する検査であり、意識レベルの変動、特に軽度の意識障害(傾眠、混濁、せん妄など)に伴う脳活動の変化を客観的に捉えることができます。意識障害の原因となる脳機能の異常(てんかん性放電、徐波化など)を検出するのに極めて有用です。他の選択肢は、高次脳機能評価や人格評価、脳の構造評価など、目的が異なります。
選択肢ごとの解説
- 1. 光トポグラフィーは脳活動に伴うヘモグロビン濃度の変化を測定するもので、主に高次脳機能や精神機能の評価に用いられますが、意識レベルの直接的な軽度な変化の検出には適していません。正しくは:意識障害の評価に直接は使われない。主に精神疾患や高次脳機能障害における脳機能評価に用いられる。選びやすい理由:脳の活動を視覚化する検査であるため、意識に関する評価に使えそうに思えるかもしれない。混同注意:脳波や他の脳画像診断法(fMRIなど)と混同しやすいが、目的が異なる。
- 2. 機能的MRIは脳の特定の活動部位を血流変化で検出するもので、高次脳機能や認知機能の研究に用いられますが、リアルタイムでの軽度意識レベルの変動評価には不向きです。正しくは:意識障害の急性期の評価や軽度な意識レベルの変動をリアルタイムで捉えるのには適さない。主に研究目的で高次脳機能の評価に用いられる。選びやすい理由:脳機能の評価に広く使われるため、意識障害の評価にも応用できそうに思える。混同注意:通常のMRIや脳波検査と混同しやすいが、測定原理と目的が異なる。
- 3. MMPIは心理検査の一種で、人格特性や精神病理を評価するために使用されます。意識レベルの評価とは直接的な関連はありません。正しくは:人格特性や精神病理を評価する心理検査であり、意識レベルの評価には用いない。選びやすい理由:精神機能に関連する検査であるため、意識障害と関連付けて考えてしまうかもしれない。混同注意:意識障害を評価する検査(JCS, GCSなど)や、認知機能を評価する検査(MMSE, HDS-Rなど)と混同しやすい。
- 4. 正解。脳波は脳の電気的活動を直接測定するため、意識レベルの軽度な変化、例えば傾眠や意識混濁などの評価において、その程度や原因を把握する上で非常に重要な検査です。特に、意識障害の原因特定や経過観察に不可欠です。正しくは:選択肢は正しい。選びやすい理由:脳波はてんかんの診断など、より重篤な脳機能障害のイメージが強いが、軽度な意識障害の評価にも有効であることを理解しておく必要がある。混同注意:他の脳画像検査(CT, MRI)は脳の構造的異常をみるのに対し、脳波は脳の機能的(電気的)活動をみるという違いを明確にしておく必要がある。
- 5. WAIS-Ⅲは知能を総合的に評価するための心理検査です。意識障害が重度であれば実施困難であり、軽度の意識障害の『評価』という目的には直接適していません。意識レベルが安定した後の認知機能の評価に用いられます。正しくは:知能を評価する心理検査であり、意識障害がある場合は実施が困難であるか、適切な結果が得られない。意識レベルの評価には直接用いない。選びやすい理由:高次脳機能の一部として意識も含まれると考え、知能検査が関連すると誤解するかもしれない。混同注意:意識レベルの評価尺度(JCS, GCS)や、簡易的な認知機能スクリーニング(MMSE, HDS-R)と混同しやすい。
国試ポイント
意識障害の評価において、各検査がどのような役割を持つかを正確に理解しているかが問われています。特に、機能的評価と構造的評価の違い、そして意識レベルの直接的評価に何が有効かを見分ける能力が重要です。
混同注意
脳波と他の脳画像検査(CT, MRI, fMRI)の目的の違い、また心理検査(MMPI, WAIS-Ⅲ)が意識レベルの直接評価には不向きであることを混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
この問題で理解すべきは、意識障害の評価体系全体です。次にこの論点が出たら、「意識障害の評価尺度(JCS, GCS)の種類と特徴」、「意識障害の原因検索に用いる画像検査(CT, MRI)と脳波の使い分け」、「意識障害が回復した後の高次脳機能評価に用いる検査」などが問われる可能性があります。
関連知識
Japan Coma Scale (JCS)やGlasgow Coma Scale (GCS)といった意識レベルの評価尺度。CTやMRIが脳の構造的異常(出血、梗塞、腫瘍など)の検出に優れること。脳波がてんかん、脳炎、代謝性脳症、頭部外傷後の意識障害などで活用されること。